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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
二十二章 冥精
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「あら? もうそっちはいいの?」

「ああ。とりあえず話はついたから」

「そう。ならこっちの話し合いに参加してもらえる? ちょうどいいというか、精霊の扱いも決まったみたいだし、今回の件についての話し合いをするなら色々決めやすくなるわね」


 プルートの今後、所在に関しての話は終わり、あとはエルフとの話し合いとなった現状。公也はハルティーアのところに来た。まあつまりはエルフの村で行われているハルティーアたちとエルフたちの話し合いに参加する、という感じになる。現状エルフたちとの話し合いは決していいといえる状況ではなく、では悪い状況かといえばそうでもない状況になっている。ハルティーアたちが厳密にプルートをエルフの村から引き離したというわけではないがその事実、エルフの村にきてプルートをどうにかした側であるという事実は理解している。というより一部のエルフ、公也たちが話をしようとしたエルフからそのあたりの話は行っている。事前にそのあたりがきちんと伝えられていることもあってプルートの不在、どうなったのかどこに行ったのかに関してはすでにわかっている。


「お前がキミヤ・アンデール……人間の王か」

「ええ、まあ。王といっても小さな国の王でしかありませんが」

「ふん。我らにはどうでもいい話だ」

「あなたはこの村の長ですか?」

「…………まあそのようなものだ。明確に誰が村を取りまとめるか、治めるかとかは決めてはおらんがな」


 エルフたちは別に誰が村をまとめるか、というのは特別決めていない。大体は老齢の年長者がみんなの話を聞き取りまとめるということが多いが、厳密な意味で村長という明確な立場を決めたりはしていない。それが必要ないというのもある。そこまでしなくともある程度エルフの村は問題なくやっていけているのだから。一人が取りまとめるというよりは老齢のエルフたちがまとめる、長老会みたいな、そんな風になっている感じだ。絶対的な決定権はないとしても老齢のエルフに聞けば、話せば、相談すれば、ある程度はどうにかなる、そんな感じである。

 そんな感じではあるが、それでもある程度取りまとめる役、老齢のエルフの中でもリーダー的に頼られる存在、まとめ役になる存在はいる。あえて言うならその人物がエルフの村の村長、長老とでもいう存在だろう。本人はあまり自分がそうだというつもりはないが、大体はそうなっている。それが今話している彼だ。


「そんなことはどうでもいい。この村から引き離した精霊は今どうしている?」

「大人しくさせている……返せ、というつもりがあったりするのか?」

「まさか。我らの村に精霊など必要ない。我らが普段通り、いつも通り過ごすのにそのようなものは必要がない。精霊がいるため周りに獲物が寄ってこなくなるのも困るし、精霊がいることでその気配を感じて萎縮してしまうのも困りものだ。そもそもいてほしいなどと思ったことはない」

「だが歓迎はしたんだな」

「しなければ何をするかもわからぬ。精霊には基本的に触れないほうがいい、触れるのであれば良くして良くあってもらわなければいけない、そのような取り決めだ。どこもそれはほとんど変わらぬだろう」


 神のような扱い、それも荒神、祟り神のような存在に近い。祀ることで良い影響をもたらすように、とするのと同じで良く接することで良い結果を返す、相手も心ある生き物だ。いいことをされればいいことを返す、別に珍しくもない当然の成り行きである。ただ、そう接したがゆえに逆に自分は何をしてもいいと調子に乗ることもあるので厄介なところではあるが、とりあえず今回はそこまで過剰なことにはなっていない。それでも歓迎に乗ってプルートによってエルフの村はなかなか消耗が大変なことになってしまったが。


「それで大人しくさせた……ということは始末したわけではないのだな?」

「そちらには特に被害……死者が出たというわけではないんだろう?」

「そうだ」

「なら殺したりする必要もないだろう。ただ、彼女が今回のことで報復を考えたりする以上、管理、監視、監督する必要はある」

「……そこまで横暴ではないと思うが、危険はないわけではないな」

「だからとりあえずこちらで預かりたい。別にエルフの村は彼女を必要としているわけでもないし、いてもらう必要もない、むしろ追い出したいはずだ。なら何も問題はないだろう?」

「……確かに。だがそちらで管理するといっても相手は精霊だ。可能なのか?」

「これでも結構な魔法使いだ。封印、隔離、それくらいならできる。まあ、彼女をどうにかできる存在は俺以外にもいるし、最悪殺さなければならないならそうする。その選択を間違うつもりはない」

「……………………」

「それとも実力を見せる必要があるかな?」


 魔法を使う事前の段階、魔力を使い魔法を構築している公也。その気配を一瞬で察知しエルフの長はすぐに答える。


「必要ない! まったく……人間のくせに頭のおかしい強さを持っているようだな」

「でなければ精霊を抑え込むなんて簡単にできることじゃないだろう。そして俺のところには俺に加え竜の化身のような存在や、ちょっと特殊で強力な要請もいる。俺の住んでいるところには実力のある存在も多い。監視、管理くらいなら何とかなると思う」

「…………ふん。どちらにせよ我らでは精霊をどうにかできぬ以上そちらに任せる以上の選択肢はないのだ。好きにするがいい」


 公也たちがどういう存在であり、どう精霊を管理するか、本当に管理しきれるか。公也の強さをその発動前の魔法の魔力で感知したエルフの長、そして周囲のほかのエルフであるが、そこは絶対にできるといえるものではないだろう。ただ精霊はエルフではどうにもできなかった相手。公也たちは確かにそれを抑え込んでいた。そして自分たちではどうにもならないのだから公也に任せる以上のことは選べない。結局のところ最終的にそういう話になるのである。



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