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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
二章 魔法使い
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「呪文の検証も楽ではないね」

「魔法を使うのに魔力消費する以上、一度にできる検証は少なくなる」

「君はまだまだ余裕がありそうでいいね。まあ、個人の魔力に関しては才能だからねえ」

「魔力に関してはどの程度分かっている?」

「いやあ、魔法と違って魔力は全然なんだよ……君の方はどうかな?」

「……こちらも魔力に関しては、少しな」


 魔法に関しては公也は魔法を食らうことでその情報を得ているが、魔法を使うために必要なエネルギー源である魔力の方は魔法以上にわからない代物となっている。魔力を食らう、というのは魔法と一緒に魔力を食らっているわけであるし、生物を食らう場合その生物が有する魔力を食らっていることになる。しかし魔法を食らう時と違って魔力を食らうことで魔力の知識を得ることができていない。これは食らっているのが魔力自身ではなく魔力を有するもの、あるいは魔力が変化したものだからだろう。であれば魔力そのものを食らえば魔力のことを認識できる……ということになるのだが、問題はその魔力を認識できない点にある。

 魔法使いの中には個人の魔力量、あるいは魔法を使う際の魔力の流れなど、そういったものを認識できる存在はいる。しかし、それは魔力そのものを認識するわけではない。ましてや公也はそこまで認識力は高くなく、魔力そのものの認識ができない。そもそも目で見えない時点で喰らうことができるかは不明である。

 実の所、別にそれそのものを認識していなくとも暴食の力で食らうことができないわけではない。だが魔力を食らうことはできない。これに関しては魔力が実体としてこの世界に存在しないものだからだろうか。と、考察はいろいろできるのだが、現状あくまで考察にしかなっていない。一度でも魔力を食らうことができればその存在に関して理解が進むのであるが、出来ない以上は今のとこ仕方がない話になる。


「ふむ……魔法と違って魔力は研究が進まない。実体が知れないものだから仕方ないかもしれないね」

「確かに」

「ただいま……あら、お客様? ああ、違うわね。確か作業の依頼をしていたんだったかしら」


 公也たちがいろいろと話している中、この家に帰還してきた人物がいる。ちなみにヴィローサやフーマルは現在も作業中。ヴィローサは公也が楽しそうに話しているのをぐぬぬと見つつ歯噛みしながらの作業である。

 この家に帰ってきたのは女性、やはり男性と同じく魔法使いらしい女性だ。


「ただいま、ロムニル」

「ああ、おかえりリーリェ。いやあ、実はね、頼んだ仕事をしてくれている彼らなんだが、そのうちの一人が魔法使いなんだよ。しかも僕らの考えと同じ魔法に対しての結論を持っている魔法使いで、凄くいい話し合いができる相手なんだ!」

「あら、そうなの? ふーん、それはいいわね。私たちは少数派だもの、一人でも同じ意見の魔法使いが増えてくれるのはうれしいわ」

「それに下手をすれば僕らよりも魔法について詳しいんだ!」

「へえ! それは実に話を聞いてみたいわね!」

「ああ、いいよね?」

「……それは構わないが、さすがにそろそろ時間が怪しいと思う」

「ん……? ああ、確かに。そうか、リーリェが帰ってきたということはもう遅い時間か」


 仕事自体はそれなりに早めの時間からやっている。しかし、色々と話し合いや考察、検証で時間を使っていたからかもう結構な時間が過ぎていた。普通ならば昼に空腹で時間経過を気づきそうなものと思うのだが、公也やヴィローサはそれほど食事を必要とせず。フーマルは黙々と作業だけをして、公也と話していた男性……ロムニルと呼ばれた男性は研究馬鹿でそういった話をしているせいで空腹に気が付かない。

 そうして昼をぬいていたため、ぐうとロムニルのお腹の音が鳴る。


「あ……話に熱中していたから昼食を食べてなかったよ」

「もう。まあ、私もあまり文句は言えないけどね。ちゃんと食べなさい。今から作るわね……夕食になるけど」

「ああ、ありがとう」

「……ところで、仕事の方はどういう扱いに?」

「ん? ああ、君たちか。そうだね、えっと、どれくらいやってくれた? 君以外にも二人……うーん、一人は妖精だから一人になるのかな? やってたみたいだけど、どんな感じだい?」

「しーしょーう……話してないで仕事手伝ってほしかったっすよ……」

「そうね……キイ様と一緒に私も話したいわ。でも話に参加できるほどの知識もないし頭もよくないし……だからフーマルを手伝ってるしかなくてとっても苦痛だったわ」

「……悪い。すまなかった」


 流石にこの点に関して言えば公也が悪いのは事実なので公也は素直に謝るしかなかった。


「うん、仕事自体はちゃんとやってくれたようでいいよ。別にそこまで正確性も数も重視はしていなかったし。それに報酬に関してはちゃんと払う、って言ったしね。うん、量や出来じゃなくて一回の仕事に対しての報酬だからね。ちゃんと支払うよ……それで、これは指名依頼とは別になるんだけど、君と魔法に関する話をしたい。だから今日だけでなく、この家に明日も来てくれないかな?」

「……俺は構わないが」

「師匠、仕事しないのなら俺は冒険者ギルドで自分で仕事選んでやっていいっすよね?」

「ああ。ただ、一人でやる以上あまり無茶なことはするなよ?」

「了解っす。そこは師匠が図書館にいる時と同じっすから」


 フーマルは別にそこまで魔法のことに関して興味はない……冒険者として最低限扱える魔法の能力には興味があるが、研究者として魔法の深奥に挑むつもりはない。ゆえにこういった研究者同士の、深い話し合いは聞いていても仕方がないのでどちらかというと冒険者として実績の方を積みたい。その点に関しては公也がいないときと同じでやればいいので問題はない。


「ヴィラは?」

「私はキイ様の傍に居れればいいわ。魔法に関しては……まあ、ある程度は理解できるけど、キイ様やそっちの男みたいに深い部分は無理だから話には入れないわ。でも傍に居られればそれだけでいいから」

「そうか」

「じゃあ、そういうことでよろしく頼むよ」


 と、そんな感じに公也がこの家に来ることが決まった。明日だけか、それ以後も続くのか……まあ、そのあたりは彼らとの話し合いやその内容の充実次第と言ったところだろう。話が弾み、より深い内容に行きつき研究にまで行けばより長く通うことになるかもしれない。まあ、公也も魔法に関してばかりしているわけにはいかず、冒険者として活動する必要もあるのでずっと、毎日とはいかないが。それにここでばかり活動してもできることには限度がある。いずれは個々を去ることになるだろう。



「……ところで、俺はあんたたちのことをよく知らない」

「ああ、そういえば自己紹介もしてなかったっけ?」

「ちょっと、ロムニル? お仕事を頼んだ相手とはいえ、ちゃんと自己紹介くらいしたら?」

「ああ、うん。えっと、僕はロムニル・ギールセス。彼女は……」

「リーリェ・ギールセスです。ロムニルの妻よ。彼と同じく魔法使いだから、話し合いには私も参加するわね。よろしく」

「ああ、よろしく」


 そういうことでロムニルとリーリェの夫妻の家に公也とヴィローサが通うことになった。


※魔力に関してはほぼすべての世界において"世界に満ちる力"という設定のはず。この世界でも変わらず<希世力>になる。これは本来世界に存在するものというよりは世界を構築することになった物質とは別の世界の始まり、世界の発生時から分岐した力であり………………

※重要なことではないので話を切り上げる。本質的に魔力は個人が操ることで<希世力>から分岐したもの。<希世力>そのものはこの世界に満たされている力ではあるが世界が存在することで成立する力でもあり常に器の隙間、入ることのできる部分に満たされ続け…………

※想定した思考より分岐しているため要点のみ。暴食で魔力、あるいはそういう認識で魔法の源とされる力を食らうことはできない。実は作者側であまり設定が確立していない要素だからでもある。設定力不足。まあ暴食対象外としておけば何とかなるよね多分。

※実のところ厳密な意味で暴食で食らえないものはいくらかある。

※私も研究馬鹿になりたい……

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