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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
二十二章 冥精
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21




「ハティ。とりあえず終わったからエルフとの交渉をよろしく」

「……いきなり来て言うことがそれなのかしら? いえ、いいんだけど。それよりそっちは大丈夫なの?」

「ああ、問題ない」


 心配をかけるようなことは言わない。一度死んだということはわざわざ教える必要はないことである。言ったら言ったで少々別の意味で心配されかねない。アンデッドになったのか、とか。特殊能力のこともわかっていること以上のことを知らせ知られる必要はない。公也の能力に関しては可能な限り秘してる方がいい。アンデルク城でも多くの物は詳しく知らず、公也ですらそのすべてを知っているわけではない。


「…………………………そちらの方が精霊なのかしら?」

「ああ。死の精霊、冥精プルート……とりあえず今は話し合いをするということで従ってもらっている」

「別に従ってはいないわ。話し合いをするからということで話し合いをしましょうかということで今は何もしないだけよ」

「ええっと……大丈夫なのかしら?」

「ああ。問題ない。最悪どうにかして消し飛ばすだけだから」

「物騒ね……相手は精霊なのに」

「そうよそうよ。これが普通の人間の反応なのにね」


 精霊相手に対しての一般的な人間の反応はまだハルティーアの反応のほうが近いだろう。まあ、公也ほどの実力のある人間であればハルティーアとはまた違った反応をするだろう。そもそもハルティーアも精霊ということでその脅威性を感じている……いや彼女の場合は精霊という存在に対しての脅威を抱いているが、精霊に対して強者としての気配や雰囲気は感じていない。なので思考、知識としての精霊に対する感覚となっている。そういう点では微妙に普通ではない感じである。なお、ロムニルやシェリー、レリトンなど一緒についてきた人員の幾人かは精霊に対して恐れに近い感情を抱いている。


「……まあ、それはともかく、ハティはエルフたちとの交渉の方を頼む」

「ええ、まあ、いいけど、精霊と交渉したのはキミヤでしょう? そっちでした方がいいんじゃないの?」

「話し合いは今から。今後どうするかに関して……まあ、大まかな方針はあるが、細かくどうするかはまだだし、それについて話し合っている間、ハティはエルフと話し合いを、ということだ。後からするのにも時間はかかるし」

「…………別にいいけど。キミヤも一緒の方が話はスムーズになると思うんだけど?」

「確かに功労者がいる方がいいんだろうけど……」

「先にいくらか話しておくわ。その間に精霊と話し合いして、話の決着をつけてからエルフとの話し合いに移りましょうか。精霊の扱いが決まってからの方が今後の話し合いもしやすいでしょうし」

「…………わかった」


 公也としてはプルートと話し合っている間にハルティーアにエルフとの話し合いを進めてもらい、それぞれ同時進行で今回の件を終わらせて戻るつもりだった。しかしハルティーアの話によって残念ながらそうはいかないようである。まあ確かにそれぞれ同時に進めるよりは精霊の扱いを決めてからエルフとの話し合い、交渉、関係構築をした方がいい。一緒に来ただけのハルティーアが話し合うよりも精霊のことに決着をつけた公也が一緒の方が話し合いはいい方向に進む、そう考えられる。

 そういうことで先に話し合いの場の下地を作るのをハルティーアが担当し、公也たちが精霊プルートと話し合いをしその行方をどうするかを決めてから公也がハルティーアとエルフとの関係に関しての話し合いを進める、そういう形で物事を進める、そういう感じに話を進めた方がいいだろうということになった。まあまずは何より精霊プルートをどう扱うか、についての話が先になるだろう。





「そういうことで精霊との話し合いだ」

「エルフ側の人物がいないのですけど?」

「それは僕が担当するよ。一応エルフの関係者だしね」

「エルフの村の住人ではなく外に出て好き勝手生きてしかも人間をエルフの村に連れてくるエルフをエルフの村の関係者、とするのはどうにも不安というか迷うところがあると思うのですけど。まあエルフ側がそれでいいのならいいのです」


 プルートとの話し合い、それに参加するエルフ側の人物はアルディーノらしい。これに関してはエルフ側としては今回のことに直で参加せず、精霊のことを放置していた、問題解決に何も貢献していないから、ということになる。公也たちも別に解決に特別大きく貢献したわけではないというか、単純に今はエルフの村から引き離しているだけの状態でこれから問題を解決するという状況にあるのであり、これからどうにかするわけなのだが。

 まあエルフ側としては精霊が自分たちの袂から離れるのであれば特に関係のない話、という見方でもあるのだろう。だからアルディーノに任せても問題はない。そう考えているだけかもしれない。むしろアルディーノは外に関係するエルフである。これから先エルフの元に戻ってこない精霊のことに関してアルディーノが今後もかかわっていくのであればアルディーノに任せればいい。それに今回のことに関しては公也を連れてきた件などもアルディーノの関与があるものだ。ならアルディーノが話し合いをしたとしてもいいのだろう。


「私はなんでもいいんだけど?」

「偉そうにー」

「偉くはないかもしれないけど、あなたよりは強いわよ……あなたも妖精なのに変なの。あればかりは私もかなりやばいと思ったくらいよ? なんなのかしら」


 強い弱いで言えば精霊であるプルートはヴィローサよりは強い。ただ、ヴィローサの力に関しては精霊である彼女もかなり危険意識を抱いている。毒だから、というのもあるがその指向性、出力的な部分で彼女は脅威を感じた。まあずっと自分の死の力を使わなければ防げない力で攻撃され続ければ誰でも脅威を感じるものではないだろうか。


「とりあえず、俺とアルディーノ、プルートという感じで話し合いか」

「メルシーネ君とかは良いのかい?」

「メルとヴィラは俺の意見に寄るから……」

「ふーん? まあどうでもいいけど。するなら早くしましょうか。いつまでもくっちゃべってても仕方がないわ」

「そうだな。それじゃあプルートの扱いに関しての話し合いをしようか」


 そういうことで話し合いである。一応プルートに話し合いをさせるよう押さえつけている立場である公也たちの方が発言権は強い、主導権を持っているといえる。まあ大人しく従っているとはいえプルートは精霊、それも死の力を持っている存在。もし内容に納得がいかなければその力を持って反抗する可能性はある。なので話し合いはある程度相手の意思も汲んでしなければいけないだろう。なおこの中で一番危険なのはアルディーノである。まあアルディーノはエルフ側の代表、エルフとしてプルートをどう扱った方がいいかと誘導する意味の方が大きいのでそこまで意見は言ってこないだろう。




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