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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
八章 冬期来訪
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 新年間近。公也はクラムベルトと、この城に来たキアラートの人間を含めた多くの人間と共に王都に向かった。基本的に公也が行うのは貴族としてパーティーに出たりと行事に参加したり。もちろん公也にそれらの詳しい事情は不明なわけだが、そのあたりはクラムベルトが調整したり事前に必要な情報を教えたり、ただ参加するだけのものから公也自身が動いていろいろとやらなければいけないことがあるものの必要な行動に関してまで、色々と。そうした最中公也が貴族関係からの情報収集を行ったり、ちょっとした話しやすい相手に付き合ったり、たまに公也を馬鹿にする貴族に冷静にどうでもいい感じに相手をしたりしつつ、クラムベルトはクラムベルトで独自に情報収集したり公也、アンデルク城、アンデール領に関しての現状を報告したり、公也が連れてきた城では仕事のない人員を王国側に還したりといろいろとやっていた。

 とはいえ公也のやるべき仕事はそれくらいで基本的に自由にあれこれやれるというわけでもなく、大体のことは王都で貴族関連のことで拘束され、新年の始まりの行事が終わるまでは特に帰ったりもできず、どこかに行ったりもできず、また冒険者としてのあれこれもできず。やれることも特になく貴族としての立場で過ごすだけ。これといって何もない日々であった。






 と、公也のほうはそんな感じだがアンデルク城ではそれなりに賑やかである。特に女性陣が。いや、そもそもアンデルク城に残っている現在の人員はほぼ女性人である。残っている男性陣といえばフーマルとオーガン、あとはロムニルくらいではないだろうか。残っている女性陣はヴィローサ、リーリェ、ペティエット、フェイとウィタ、雪奈、アリルフィーラ、メルシーネ。女性陣にフェイを含めるのは少々怪しいところ、メルシーネは今回公也と一緒に行くことはせず公也はワイバーンに乗って王都に向かった形になっている。さすがに竜そのものであるメルシーネは動かしがたく、戦力としての要素も大きく、竜人の状態でも扱いは難しいので残る形になった。まあ残った女性陣の云々に関してはともかく、フーマルたちと比べ彼女たちは新年ということもあって年越しのためにいろいろとやりながら新年の準備で色々と忙しいという形だ。男性陣はこういう時頼りにならない。ロムニルは生活能力が極低でオーガンは普段城のことにはあまり関わらずアンデルク城のワイバーンの世話ばかり、フーマルくらいは手伝いくらいはするかもしれないが生活関係の能力は低い。結局残った男性陣はそういう方面では頼りにならないのである……公也がいても大して頼りにならないし、クラムベルトもそういう方面はあまり強くないだろう。アンデルク城の男性陣は生活能力がかなり低いダメ男ばかりである。

 もっとも残った女性陣でもアリルフィーラやウィタはその方面には強くない。そもそもろくに活動しない。大体が部屋でゆっくりしていることが多い……まあウィタはフェイに連れられていろいろとやっていることもあるので本当に何もしないのはアリルフィーラくらいか。いや、なんだかんだでアリルフィーラもこき使われることを望みいろいろと何かないかと訊ねることもあるのでそれなりに活動はしているかもしれない。実働能力はともかく。


「ヴィローサちゃんも手伝ってくれるのはいいけど、その大きさだとあまりできることも少ないわね」

「いいもん。キイ様のために頑張るんだもの。ふーん」


 ロムニルと結婚しているリーリェは家庭のことの一環として年越しのあれこれに慣れている。なので彼女の指示を中心にそれぞれが必要なことの作業をすることになった。アンデルク城は城自体の環境に関してはペティエットの能力だけで清掃ができるので全くそちらに関しては問題ない。それとは別で用意するものや片付けるものなどもあるが……それに関しては現状アンデルク城で必要とするものはないだろう。そもそもの物資が少ない。新年などの家庭行事用に用意するような物品なんかもないくらいである。まあ簡単なものは自分たちで作ればいいとリーリェの指導で作られているが。一番用意するものとして頑張っているのは料理か。特にヴィローサが公也のために、と無駄に頑張っている。ほかの面々でも料理に関してはほどほど……そもそも家庭的な能力の高い人間はそう多くない。メルシーネは基本的に力仕事がメインである。男性陣よりも力という点では高いので。


「正直邪魔に感じる」

「なんですって?」

「喧嘩するなら出てってもらえる? ペティちゃんはまだそれなりにできるけど、別に必須というわけでもないし。面倒増やすくらいなら追い出すわよ?」

「はい……」

「ごめんなさい」


 仲が悪いわけではないが今回はペティエットの言い方が悪い……とはいえ、ヴィローサが邪魔に近いのは事実だろう。公也のため、という理由があるにしても。まあまじめにやっているうちはそこまで気になる物でもないのだが、喧嘩を始められるとリーリェとしてもイラっと来るのでそこは自重してもらいたいところらしい。重ねて言うが別にペティエットとヴィローサは仲が悪いわけではない。実際に邪魔くさかったのが原因である。


「リーリェ、何か他にやることはあるですか?」

「…………あまりメルに頼むようなことはないものね。暇は困る? それならここの仕事を手伝ってくれればいいわ。できるわよね?」

「新年行事とか特に詳しく知らないですけど手伝えと言われるのなら余裕でできるのです。仕え魔は家事も万能なのです。多分ですけど」

「多分……」

「多分?」

「多分って全然だめじゃないの」

「ヴィローサほどではないのです」

「なんですって?」

「ヴィローサちゃん?」

「……はい。ごめんなさい。キイ様のために大人しくしながら頑張ります」


 この場において一番の年上……精神的な面で言えばアンデルク城における女性の中で一番の年上であるリーリェはある意味まとめ役にはふさわしいのだろう。母は強し。いや、彼女はまだ子供を持っていないのだが。ロムニルとの間にいつ子供ができるのか。そもそも作るつもりがあるのかは知らないが。

 ところで雪奈やアリルフィーラ、ウィタ、そして冬姫たちに関してであるが、雪奈はいつも通り宿で過ごしている。アリルフィーラは基本的に家庭のことで役に立つことはないので雪奈に世話を任せている。彼女にとっては年越し客ということで色々な意味で充実することだろう。ウィタはフェイと一緒にそちらの手伝いに向かわせている。冬姫たちはそもそも城の方には来れないので自分の住む氷の城で年越し生活である。

 なお男性陣は普段通りである。年越し時も特に普段と変わらない……ちょっとした祝いという形で夕食が豪華になるくらいだろう。何とも役に立たない。力仕事くらいにしか使えないのではないかと思うくらい役に立たない。


※男女比で言うと女性の方が多いアンデルク城。出番という観点でもまだ引き揚げ人員が残っている段階でも女性の方が多い。男性陣増やしたいけど機会がない。

※主人公関連になると無理だが基本的な状態においてヴィローサより上に立てる数少ない立場のリーリェさん。ある意味では彼女がいるからこそうまくいっているところが多い。まとめ役としてとても重要。みんなのお母さん……? そこまでではないかも。

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