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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
七章 館城建築
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「…………まあ、だいたいこんなものか?」


 かなり出来があまりよくないといっていい倉庫に使うような雑でのっぺりした感じの建物を建てた後、とりあえずそれでもいいので倉庫に通路をつなげ建物のつながりを認識できるかどうか、城魔、ペティエットが城から続く城の一部として認識できるかどうかの確認のための通路が一応の完成を見せる。建物と違いわざわざ壁とかをあまり気にする必要なく作れるから、続く通路、道をうまく作ればあとは柱と屋根でいいので作る分にはだいぶ楽であったといえる。まあ、一番困ったのは扉……城の壁に穴をあけること。作業としては問題なくできるにしても、城魔の体に穴をあけることであるし、城に侵入口を増やすということ自体不安が増える。さらに言えば壁の一部が失われているわけなのでその点でも問題はあるだろう。もちろんそのあたり補強はちゃんとしっかりと考えて加工したわけだが。


「とりあえずできたっすね……作りがいいとは言えないっすけど」

「うるさいわよフーマル」

「あまり余計なことは言わなくてもいいのです」

「まあ、ヴィローサちゃんやメルちゃんの言う通りね。否定はしないけど」

「うう、全員からぼろくそにいわれるっすよ師匠……」

「事実だからって相手の悪い部分をはっきり言わないほうがいいぞ……確かにフーマルの言う通り、作りはよくないけどな。そもそも俺はこういった建築自体初めてだから最初から完璧に作れと言われても困る」


 初めての試みですべて完璧にできるほうがおかしい、と公也は言う。それはそうなのだがここまでそれなりに何でもやってこれている公也なのでそのあたりハードルは高いといった感じだ。魔法で全部やっていればむしろまだ今よりはマシな出来だったかもしれない。中途半端に自力で建てようとするから余計に微妙だった可能性はある。リーリェやロムニルがその状況を見たら魔法はそこまで万能じゃない、公也の魔法の使い方はおかしいといったことは間違いないが。


「ペティ、とりあえず建物のつながりとしてはどうだ?」

「一応城の範囲には含んでる。城が増築する範囲として認識できるのは城からある程度の一定範囲。城が影響をもたらすことのできる地面の範囲までその範囲には含んでる」

「なるほど…………」


 城魔、ペティエットの能力である程度城の清掃など城における様々な処理を行う際、そのゴミなどは分解され無害、あるいは肥料などの有用なものに変化するなどされ処理される。わかりやすい例が排泄物だろう。公也の元の世界でもあったが排泄物を肥料として利用する手法があるがそれと同じように城魔も城の中にため込んだ排泄物などを利用できるように加工する。根本的には城の清掃が目的で加工はついでになるが。

 そうやって加工され肥料となった排泄物は城魔は城内で保持することはない。なぜか保有している水もそうだが、城魔は独特な能力で確保や処理を行う。具体的には城魔が加工し処理した排泄物、肥料は大地へと還している。アンデルク城付近で農作業ができるのはそれが要因ということになるだろう。もちろん限度はあると思われるが。また別に排泄物に限らず埃なども清掃で処理されているし、肥料として加工する中肥料にならない物質も含んでいるだろう。そういったものもそういったもので処理自体はされている。肥料としては使えずとも大地に還される。

 そしてその範囲が城魔の影響範囲、ということになる。かなり遠方に建物を作りそこにつながる建物の通路をつなげたとしても、それを城魔が自分の一部と認識するか? 結論から言えばしない。城魔が影響範囲として、認識できる範囲内にある建物しか城魔は自分の増築した建物として認識しない。そして影響範囲にあるだけではだめでちゃんと城魔本体につながってなければいけない。実にいろいろな意味で手間というか、面倒くさいというか。まあそもそも城魔が魔物である。城という明らかに生物でないという魔物であり、独特なルール、生態があったとしてもおかしくはない。


「とりあえず通路も含んで建物という認識にはなってくれるみたいだが……移動は可能か?」

「……………………ダメ、みたい」

「そうか」


 通路もその通路のつながる先の建物も城の一部と城魔は認めるらしい。これに関してはペティエットの判断ではなく、その本体である城魔の判断になる。そして建物としては認めてくれるがペティエットの移動できる範囲としては認めてくれないらしい。ペティエットは城魔に縛られ、城の外に出ることはできない。では城の外はどこからが外の判定となるのか? 外部につながっている部分は外か? 壁のない建物である範囲は外か? 例えば屋上はどうか? 通路は建物の一部、あるいは建物として認識される……屋根のあるなし、部屋のあるなしじゃなく建物は建物である、ということらしい。まあ、通路でもただ敷石を敷いただけというのであれば建物認識はされない。ちゃんと柱と屋根を作ったので建物認識されれている。しかし、壁はない。壁がなく外とのつながりがむき出しである。だからか、ペティエットがその通路に出ることはできないようだ。


「今回は残念だな……ペティ、もう少し改良する。あ、そうだ。新しく建てた建物のほうは城魔の一部として認識されているようだが、そちらの清掃とかペティエットの能力はちゃんと及ぶのか?」

「…………ん、あまり届かない。城魔の一部にはなっているけど私の能力は使えないみたい」

「……ということはちゃんとペティが移動できる範囲にしなければ建物を建てても利用価値は低くなるか」


 ペティエットの能力はペティエットの移動できる範囲に及ぶ……ペティエットの能力は城魔の能力になるわけだが、それを扱うのはペティエット、城魔の思考、意思を表す彼女になる。城魔はそれ単独ではただの城としてしか機能しない。ペティエットという意思の存在がいて初めて城魔は城魔という魔物らしい性質の存在として機能する。その特殊能力はペティエットなしでは成立しないということだ。

 そしてペティエットの特殊能力はペティエットが移動できる範囲にしか届かない……城魔と通路を通じてつなげはしたが、その先に移動できないためかペティエットの能力は新しく建てた建物には届かないようだ。あるいはそこにまだ行っていないからちゃんと認識できないため特殊能力が届かないのか。いろいろと可能性はあるがペティットは城魔という自分の本体に対して正しく認識できるわけではないので正確なところは不明である。


「移動できないと多分ダメ」

「つまりこの通路では移動できないから移動できる通路を作るべき、か。わかった。いろいろ試すからまた後で頼む」

「ん、わかった」


 とりあえず現時点ではどうしようもないのでペティエットが移動できるかどうかの確認のためのもろもろはまた後で、ということになった。



※城魔の適用範囲は広い。建物としては城そのものだけが初期状態だが地面もある程度は範囲に含む。

※ペティエットの移動は建物内のみ。ただしその建物基準が不明。柱を並べ屋根を付けただけの通路は連絡通路として城魔の建物のつながりには含んでいるが建物内という認識にはならない。

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