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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
七章 館城建築
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5



 資材集めなど、建物を建てるために必要な物資を集めるのも公也が行うべき仕事であるが。それ以外にもやるべきことはある。そもそも建物を建てるにしてもどう立てるのか、どこに立てるのか、どれくらいの大きさにするのか。建物を隣接して建てる、繋げて建てる、建てた建物に連絡通路をつけるなど、様々な形で城魔の城の一部として成立させられるのはどういった形になるのかを調べるためにもやることはいろいろとある。

 仮に建物を建てて連絡通路をつなげれば成立するのならば、いろいろな意味で楽になる。ペティエットが通路を通ることができるかどうかだけで判断できるので比較的やりやすいだろう。もっともその前提として小さいながらもちゃんとした建築物を建てたうえで通路をつなげる必要性もあるので手間はかかる。まあ、一度検証さえすれば後も同じやり方で増築できるので問題はないだろう。それができるにしても別の手段での検証もやるのもありだ。上に横に下に、増築手段はいろいろとある。


「ヴィラ、上から見て曲がってたり場所が悪そうだったら言ってくれ」

「ええ、かまわないわ……かまわないけど、私がいったことが当てにならないかもしれないよ?」

「わたしも見届けるのです。でも建築の知識はないのであまり頼りにはしないでほしいのです!」

「…………メル、あなたもいるわけ? キイ様はあなたには頼んでないけど?」

「頼まれずともやるのは構わないと思うのですよ?」

「とりあえず、二人とも頼むな」


 口喧嘩になりそうなので早々にその問題を収めるため公也が口出しする。二人とも公也にはしっかり従うので指示さえすればとりあえず問題はない。仲が悪いのはやはり相性が悪いからか。


「まずはこのあたり……」

「どのくらいの大きさの建物を建てるの?」

「図面はどこにあるのです? 一応確認しておきたいのです」

「ああ、これだ。そこそこ大きい建物を建てるつもりだ……まあ、城だしな」

「石材を柱とするのかしら? それとも壁が石で柱は木とか?」

「資材は取ってきたものを利用するのですよね。加工はどうするのです?」

「加工は俺が基本的にする。魔法ならどうとでもなるしな。ロムニルやリーリェに頼むのも最悪ありだし……」

「壁の範囲、大きさ、土台の問題もありそうなのです」

「魔法陣でどうにかなるものじゃないかしら?」

「そこまで魔法は万能ではないと思うのです……一応ある程度ちゃんとしたものを作ったうえで魔法陣で補強するほうがいいと思うのですよ」

「とりあえずどうするかはともかく、大まかに範囲を区切ってからにしよう」

「先に館を建てる前に厩舎を建てるのです。厩舎が城の一部になるかはわからないのですけど、通路をつなげるだけで城に含まれるかどうかの検証を行うのなら厩舎でもいいのです。今の仮の厩舎じゃなくちゃんとしたものを作っておいたほうがいいのではないです?」

「厩舎は城の外に接続させたいな……ああ、城の外といっても、外壁、城壁の外に作っておきたいというか」

「城壁の内と外はしっかり分けるのね。城の内側に厩舎があるとワイバーンたちには狭いでしょうし」

「……確かに壁と城の間、というのは狭いですね。そこはどこかにワイバーン用の移動路をつくるのもありだとおもうのです。でもそれはそれで負担になるですし、壁の安定が崩れるかもしれないのです……確かに外のほうがいいのです? でも今の厩舎のある場所は映したほうがいいと思うのです。城壁をどこにするか次第だとも思うのですけど。それよりも城壁はどこにするのです? 建物を建てる大きさよりも先にそっちを決めたほうがいいのではないですか?」

「建物を建ててからのほうがよくないか? 城壁は最も外側の部分、城の一番外だ。先に内側に入れる建物を建ててからのほうがいいだろう」

「ペティがまた増築してって言ってくるでしょうけど、そうなるとまた広げるのに城壁は邪魔じゃない?」

「邪魔にはなると思う。でもその時は壁をまた作り直せばいいだけだ」

「それは面倒だと思うのです……でもご主人様がどうするつもりなのかはわかってるのでわたしはいいと思うのですよ」

「ペティのため、だったわね……城の外に出れないあの子のために本当の意味で外に自由に出ることができるわけではないけれど、城の外に出られるように、だったかしら」

「そうだ」


 公也が城を増築するのは城の住人のため……住む場所を増やす、広い部屋に住めるようにする、そういった住人のためのものでもある。しかし、何よりもペティエットのためというのが一番だ。二番目は雪奈の宿のため、だろう。ちなみに現在雪奈の宿は宿としてはほぼまともに機能していない。そもそもアンデルク城にくるような客人がそもそもいない。とはいえ宿としての機能自体はともかく、雪奈の人の世話という満足のため住人は何人か入れ替わりで雪奈の宿に泊まるという形で雪奈の世話を受けるようにしている。現在この地にいる人間は仕事もないし生活は自分たちだけでしなければいけないので一応リーリェやメルシーネ、アリルフィーラの女性陣の世話を受けている形だが彼女らがする以外のことは基本的に自分でしなければならない。それを宿で過ごす形で雪奈の世話を受ける形でだいぶ楽ができる。なお雪奈も一応女性陣の手伝いをしないわけでもないが彼女の場合は宿が本業なのでそちらのほうがメインだ。本来誰も泊まることはないものだったが。彼女の満足のため、泊まらせているのが現状である。さらに部屋を広げたいというのだからまた公也も大変な手間のかかる仕事である。

 まあ、ともかくいろいろとあるが公也が建物を建てるのはペティエットのため……特につなげる建物とは別の城壁を建てるのはペティエットのためだ。城壁を建てそれを繋げ城の一部と認識させ、城壁の内側を城の内部として意識させる。そうすれば外、天井のない空の見える城壁内部が外に近い環境として彼女は体験できるだろう。連絡通路でも外に近い雰囲気を感じられる。そちらは連絡通路から外れて出ることができるかの試し、そうした場合外に出てしまうと消える危険があるかどうかの確認などもいる。後者に関しては城壁で囲った場合城壁の内側を城と認識させた場合に外に出た場合どうなるか、というのも似通ったことになるかもしれないしそちらはまた別の形になるかもしれない。

 そういった様々な形でペティエットが外に出る、あるいは外に出るという形にできないか、という目的での建築である。もちろん城自体を広げたいという目的もある。将来アンデール領が発展したときに立派な城として中心的な場所をとして認識させるという意味もあって。


「まあ、みんなが満足して過ごせるのが一番だからな」

「キイ様も大変ね……私も精一杯手伝うわ、頑張りましょう」

「ヴィローサにできるのは大したことでもないのですけどね。わたしも手伝うのです。資材集めもできる限りしっかり頑張るのです」

「………………」


 ヴィローサを煽るような発言をするメルシーネ……別にメルシーネはヴィローサが嫌いなわけでも、わざと煽っているわけでもない。彼女のヴィローサに対してのこの態度は割と天然ものである……素でこれというのも少々あれだが。


「あまり口喧嘩するなよ? もちろん喧嘩もな?」

「しないですよ?」

「……しませんとも。ちょっとこいつの口の悪さにはイラっと来るけどね」


 ヴィローサが言っていいことではないと思われる。口の悪さだけで言えばむしろヴィローサのほうが普段は悪い。ある意味そんなヴィローサだからこそ散々に言われて結構な精神的な苦痛を感じているのかもしれない。これを機に自信の口の悪さも直せばいいのでは……と思うところだが、彼女の性質は毒、毒の妖精。その口の悪さは毒の性質によるもの、それが直ることはおそらくないだろう。直った場合アイデンティティーの崩壊を危惧しなければならない。


※魔法で全部作れば……と思うところだがそこまで魔法は万能ではない。建築後の隙間を埋めるとか程度ならある程度できても建物そのものを建てるのは流石に現象を引き起こす魔法でも無理……ではないが手間、仕組み、必要魔力量、その他諸々の面倒さがある。そもそもイメージ力もいるのでかなり成功率は低いしできてもまともなものができるかは不安である。

※主人公のイメージしている城というものはよくあるRPGゲームの城。

※学校の校舎に囲まれた中庭は学校という建物の内か外か。

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