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 フーマル・サフラ・セイメイ・セージ・モミジ・リリエル・リーン・フラム




「ふう……アンデールの仕事も結構減ったな」


 フーマルが冒険者ギルドで冒険者の仕事を確認する。現在アンデールにおける冒険者の仕事は大分安定し少なくなっている。アンデルク山にアンデールと言う国ができてもう何年も経っている。いつまでも冒険者を動員しなければいけないような状況にはならない。まあこの世界において冒険者は雑事もその仕事内容に含むため決して仕事がなくなるということはない。急な力仕事に雇ったり危険に対処するために魔物退治のためなどで雇われたり。色々と仕事自体は多様に存在する。ただ、それでもアンデールでの仕事は少なくなった。アンデルク山の魔物が少なくなったりアンデール自体の国の安定、強者が増え自然と魔物にが逃げたり地脈的な安定が為され魔物少なくなり、そもそも魔物を狩り数を減らし繁殖で増えづらくなった、開拓し魔物がいられる場所が少なくなった、環境が変化した。理由は様々だがもっとも冒険者の出る開拓、探索、討伐の依頼が減った状況にある。冒険者としては仕事が少なくなりあまりいいことではないがアンデールに住む住人としてはありがたい変化だろう。

 またフーマル含めアンデールに所属する冒険者はどちらかと言うと国側に雇われている側面もある。冒険者ギルドへの依頼は当然そのギルドのある街などのものが基本だがアンデールは狭い国であり街の数も少なく、冒険者ギルドももともと出張所であったギルドが大きくなりちゃんとしたギルドとして成立しているものが一つあるくらい。依頼を出す側にも限度があるし、依頼を受ける冒険者もこの国では限りがあるだろう。もともと色々と会って小さな国ながら新興の国であったこともあって冒険者も多くきたが、今もそれが維持されているというわけではない。色々と会った結果、今では落ち着いている。それでも小さな国にしては数は多い、とはみられるだろう。


「僕たちとしては仕事が少なくなったのはある意味ありがたいですね」

「ここだとあんまりできることもねーしな。別に嫌なわけじゃねえけど、冒険者としてはやっぱでかい仕事に挑戦してみたいぜ」

「私としては外に出る機会が多い方がいろいろ探しやすいしいいねー」

「ま、楽な仕事ばっかよりはいいよね」

「……私はそういうのよくわからないなあ」


 セージたちのようにアンデール……厳密に言えば国と言うよりは国を治める王族に直接雇われているような立場の冒険者は少々珍しい、特殊なタイプである。そもそも冒険者は自由である、自由を求めるもの。国やら貴族やら王やら、あまり自分たちを束縛するような状況にはなりたくないものである。特に上位の冒険者となると冒険者自身がいろいろ特殊であることも多く、あまり面倒な束縛を受けたくはないと好き勝手やることも多い。一方で冒険者によっては安定した生活、賃金を目的に、あるいは比護や後ろ盾を目的に上位者と契約、雇われるようなこともあり得る。

 セージたちはどちらかというとそういうタイプではなく、公也に教えを請う、強くするための手助けをしてもらう対価でこのアンデールに雇われることとなった。もっとも雇われてはいるが基本的には自由である。ギルドの依頼でアンデールの外に出ること自体も自由であり、流石に本当に離れる、縁を切ることは難しいがある程度は好きにしてもいい。まあアンデールの詳しい事情、裏事情に関して知ってしまっている点もあって離れるのは許されないという部分もあるが。彼ら自身モミジと言う隠すべき問題を持っている人物が仲間にいるためあまり他のところでの活度は難しいので離れるつもりは特にないのが今のところの彼らの本心だろう。


「私はそもそも仕事かあまり関係ないかな。できる仕事も多くないし」

「……リーンさんは討伐などの戦闘向けの仕事以外はほとんど向いてないですからね」


 リーンたちはそもそも仕事に関してはあまり興味はないためやるときはやるしやらないときはやらない。というかリーンは性格的に戦う方面の仕事を受けることがほとんど、それ以外の仕事もできなくないが本人の気質や知識的にあまり好みではないし、やはりフラムの言う通り向いていない。フラムもどちらかというと向いていない……と言うより二人の場合は各々の能力、タイプ的に戦闘方面が向きすぎという感じなのでそっち方面がいい。

 ただ、彼女たちからすればアンデールは戦闘面の仕事が少ないという点で冒険者としては魅力が少ない。まあ今は、であるが。アンデールの状況の安定、強者が増えたことでそこまで戦闘力を必要とすることがない、ということだ。そしてリーンは現時点では冒険者としてあれこれ仕事をするよりも満足できるような相手がアンデールにはいる。彼女よりも強い圧倒的な強者、公也だったりヴァンデールだったりと。そちら戦う方が彼女としては楽しく、冒険者としての仕事はどちらかと言うと気晴らしでやる程度になっている。フラムのこともあるし仕事する必要性はある……とはいえ、アンデールの所属、国に雇われているため賃金自体の問題はない。


「みんなはどうするつもり? 師匠もいるし、自分はずっとここにいるだろうけど」

「立場的に他に移動するのは難しいですね」

「どこか行くにも王様に勝ってからからな」

「……つまり全員残るんだ」


 フーマルはリリファと結婚しているし公也には大きな世話になっている。獣人として里に戻る、もともとの出身地に戻る手もあるがやっぱり公也に対する恩とか、アンデールでの立場とか、リリファのもともとの仕事とかそういう方面でいろいろ問題がある。そういうことでフーマルはこの地に残る。その他の冒険者たちもそれぞれ事情がある。セージたちはモミジの関連、ヴァンデールもこの地に残るしいろいろな場所を巡るうえでアンデールの助け……特に公也と言う存在はモスマンの捜索においても役には立つだろう。そしてリーンは強い相手と戦うことを目的としている。そのため公也やヴァンデールを倒すまでは残り続けるだろう。ついでにこの地だと公也に舞い込んだ依頼で強者との闘いができるというのもある。

 そんな感じで冒険者は各々の理由でアンデールに残るようだ。まあ特に行くところもない、目的とするようなこともない人物も多いし、誰かについて行くことを選んでいるということで残る人物と一緒にいる、みたいな感じもあるだろう。何であれこの地に残ることは変わりない……それ以外のことはどうなるか。ちょっといろいろ複雑になるだろう。特にリーンやモミジにとっては。



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