表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
四十七章 旅の道連れ
1527/1638

9





 海の方に来て、公也たちは特に大きく変わりない状況であった。正確に言うなら島の内の方、魔物がほとんど発生しない地域と比べれば魔物が多いし自然も豊かだしといろいろとあるわけだが、それ自体は川の方と大きく変わりがない状況である。


「……こちらもやはり危険ですね」

「見て回るところは多少ある、という感じかしら。食べ物も内の方と川や海の方だと結構違うみたい」

「直接獣や魔物を撮って食材とする、森みたいな緑の多い地域も増えているから自然の食材の入手も増えているみたいだ」

「中の方は基本的に畑や牧畜ですよね。安定供給はできますけど……レパートリーが」

「あまり緑もないから種類がどうしても限定される感じだろうな。逆にこちらでは畑や牧畜がされていない」

「全くないわけではないですが広い範囲ではされていません。魔物が出てくることが多くなるからでしょう」


 内の方と外……川や海の方では生活環境がそもそも違っている。流石に王都など重要拠点ともなるような場所は分からないが、内の方では畑や牧畜が盛んでそれらがその地の食糧確保の重要な要素となっている。それも魔物が出ないからこそ、獣すら数が少ないからこそ。もしまともに狩りや採取などの手段で食料を確保しようとしたならば確実にすぐに飢えてしまうことは間違いない。そもそも森も多くないし緑も少ない。そのあたりを多少魔法道具なども用いながら何とか改善し対処しているのが現状なわけである。あるいはある所から食料を遅らせているのもないわけではないだろうが……ともかく、内の方ではどうしても食糧事情の問題があってあまり多種多様な食料確保ができる状態にはない。上の方、王都などでは取り寄せるなどして豊富な食料がある……かもしれないが。そこは行っていないので現状判断できない。

 外の方、川や海の方では魔物の発生の問題もあって畑や牧畜は盛んではない。全くしていないわけではないが、どうしてもその規模は小さくなる。どちらかというと川や海の近くということで地脈の影響が増えることにより自然、森など草木が増え、当然そこから得られる採取できる食料、またそういった緑を食料とする獣や魔物が増えていることもありそれらを狩猟するなどして食料を確保している。場所にもよるが一方では畑や牧畜を行っておらずもう一方は行っているみたいな片面だけとかになっているところもある。海の近く、川の近くであれば森や木々が絶対的に増えるということもなく、そのあたりのバランスの問題もあって食糧事情は簡単に済む話にはなっていない。


「わざわざこちらの方に街を作ってまで住む必要はあるのでしょうか?」

「内から追い出されて外に住むしかなくなった、とか。あるいは魔法道具関連で魔物の確保が必要であるため外の方に出るようになった結果、街があった方がいいとかで最初は小さな規模だったのが大きくなったとか。そもそも人が住む地域を負や痛いとかで開拓してきたとか。色々と理由は思いつく。もしかしたらまだ冒険者が残っていた時代に作られたとかの可能性もあるだろう」

「流石にそこまで古くはないと思いますが。海や川から以前見たような魔物が現れる可能性もあるのですしずっと残っているのは難しいでしょう」

「……こちらだと魔物対策も難しいだろうからな。魔法道具で倒しきれる魔物ならともかく倒せない魔物が出てきたらどうしようもないだろう」

「でも国は残っているみたいですし、そこまで危険な事態にはならなかったのではありませんか?」

「いや……もしかしたら未管理地域と言われている場所がその関係の影響があったとかそういう可能性はある。それに流通している魔法道具だけが魔法道具の全てじゃないだろう。とっておきの隠し玉がある可能性もある。あるいは何らかの結界的なものがある可能性もある。そもそもいろいろ謎が多い場所だからな。何があってもおかしくはない……まあそれはこの国に限った話だけではないだろうが」

「……確実なことは言えませんね。でも比較的新しい方であると思います」

「補修の跡とかもあったしな。そこまでは古くはないかもしれない。どっちにしても昔に作られようと今に作られようとああいった街を作ることは必要なんだろう」

「大変ですね」


 人が普通に生活するだけならば魔物の少ない内陸側で生活するのが一番である。しかし人が生活する領域がその狭い範囲だけでは厳しいところがある。人が魔法道具を使い生活するようになり、人の数も増えていった。また魔法道具を用いても内陸側での発展は地に満ちる力、活力……この場合地脈の影響がそこまで高くない問題があって生存に必要な資源量に限度がある。畑や牧畜も際限なく食料とできるものを増やせるわけではない。ゆえにそれぞれで生活できるよう生活圏、生存できる場所を作りそこで生きなければならない。

 また魔物自体の生活圏、生存権をどうにかしないといけない問題もある。魔物をそのまま放置してしまえば地脈の影響受け自然豊かではない範囲に魔物が侵略してくる可能性もある。そういう問題もあり生活するだけではなく魔物の脅威を排除する理由もあって生活するのもあるだろう。

 理由は何であれ、彼らがこんな危険な方面にまで出向き生活する理由はあるということだ。そうでなくとも人は欲深いもの、繁栄のために人の手の及んでいない場所、魔物の生活圏に手を出すのは何ら不思議ではない。それ自体は悪いことではない……少なくとも人間にとっては。







「流石に近づかないのですね」

「近づかなくてもわかるだろう。遠目でもでかいのが見える」

「そうですね」

「恐らく浅瀬、海岸近くにも結構色々な魔物がいるだろう。それ自体はそこまで強くはないかもしれないが……どちらにしても面倒はあり得る」


 海の魔物も気になるところであるが、公也が気にしているのは海の下、地脈の流れの方だ。島の外周を取り巻くように地脈の流れが存在している。そこにブレがない。別れる部分もなく、何というかどう考えても人工的というか人の手が入っているとしか思えないくらいな綺麗さである。それは川の地脈の流れと同じ。方向も川のある方に……向かっているかはここからでははっきり確認できないが、そう考えられるくらいである。

 さて、公也はこれ以上は近づかない……川で迂闊に近づいた結果、陸に馬の魔物を上げてしまったし海でも同じことは起こり得る。放置はできないし、アリルフィーラたちのことを考えると下手に近づきそういった魔物を出してしまうのは危険である。ゆえに流石にここで近づこうとはしない……対処も魔法などを使わなければ面倒な問題もある。川と比べ海の方は街が海側から少し離れている。危険度の違いかは不明だが人の目が川の近くよりは届きにくいが……誰かが見ていないとも限らない。


「それで」

「未管理地域に行く。ここでこれ以上やれることはないだろうからな」

「……流石にそこで終了」

「いや。山の方に一度行ってみたいと思っている」

「まだ行くつもりなのですか?」

「そこで最後かな……首都は避けておいた方がいいと思うけど」

「わかりました。あの巨大な山を登り切るまでするかはわかりませんが……それ以上何かすることはないというのであれば、それで構いません。流石にそれまでずっとというのはもう諦めますが、それ以上は何か新しく予定を入れようとするのは拒否させてもらいます。アリルフィーラ様に関わる話だけでなく、アンデール……国の方の問題もありますし」

「ああ。流石に俺もそのあたりはわかってる」

「…………本当にわかっているんですか? その割に」

「それ以上は言わないでもらっていいかな……散々ハティに言われてるから」


 未管理地域に行き、山に登る……それでこの大陸での活動は終わるつもりのようだ。まあそれ以上は流石に国の方での仕事にも影響は出るかもしれない。いや、現状でも結構影響はある感じだが……ともかく、予定として山に登る……かは不明だが山の方に行った後はもう戻るだけ、そういうふうに決定した。流石にフィリアもそれ以上ああだこうだと言ってくるなら本気で喧嘩になる……勝ち負けはともかく、そういう状況になるのは良くない。フィリアがそうと決めた以上公也も覆すのはできない……まあ、公也も過度にこちらの大陸であれこれやりたいことがあるというわけでもない。興味はあるが急いで何もかもする必要はない。ゆえに、とりあえずこれでいいだろうという感じで流れが決定した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ