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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
五章 城生活と小期間の旅
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「貴族になっても生活は特に変わらないのねえ」

「変える必要があるのか? そもそもこの場所で過ごすうえでできることなんて大してないだろう」

「この城一つしかおいてないしね。一応外も君の領地扱い何だったっけ?」

「そういうことになってる。開拓してちゃんと人が住めるようになれば領地……ってことになるのか。住む人もいないけど」


 基本的に公也が貴族になったからと言って特に何か大きく変わったと言うことはない。公也がアンデルク城に戻りそれまでと変わらない日常……と言うほどではないが特に変わらない生活をしている。

 現状アンデルク城には公也、ヴィローサ、フーマル、ロムニル、リーリェのここに来るまで一緒に旅をしていた五人に加えキアラートの王城にて紹介され預けられた部下が何人か来ている。今の所彼らはアンデルク城にて暮らしているが別に特にこれと言って仕事があるわけではない。一応公也の貴族としての役割、仕事、務め、この国における貴族として参加するべき事項の日程に関してまとめたり、アンデルク城に関する情報をまとめ周辺の領地に関してのまとめをしたり、公也の家として見られるアンデールの家の状況やその他金銭管理などについてなどをまとめたりなど。そういった仕事をする人員だ。人数としては多くない。アンデルク城自体はそれほど大きくないし領地もほぼない状態、公也の家もそもそも新興のもので何もない状態、さらに言えば公也の貴族としての仕事に関して言えばその殆どは冒険者として生きる都合やアンデルク城の守りの問題もあり免除されている。公也の立場はかなり特殊なものだったりする。

 なお、メイドや執事などの類がいない。一応家に関してまとめている人間は執事に近い立場なのかもしれないがそもそもアンデルク城の管理に関して言えば別にそれほど執事やメイドは今のところ必要がない。アンデルク城はその城、城魔の意思であるペティエットが存在し彼女が城を管理している。城における彼女の管理は城そのものをある程度自由にすることができ、そのうちの一つに清掃が存在する。自動で部屋におけるゴミ、埃の類を清掃するものである。トイレなども自動で綺麗にするとても便利な城魔の能力……こうしてみるとやはり城魔は魔物と言える存在なのだろう。


「外で野菜とか育てないといけないわよね」

「肉ばっかりはちょっとね。僕らは買いに行けないし……キミヤ君に毎回買ってきてもらうのは大変だろう」

「それくらいは労力的に問題はない……ただ俺も旅に出るつもりだしな。戻ってくるがその間は俺が買い付けたりはできない。ヴィラとフーマルがいればある程度は何とでもなると思うが……」

「ヴィローサちゃん置いてくの?」

「場合によっては」


 ヴィローサがいればワイバーンは彼女に従う。現状アンデルク城においてワイバーンを従えることができるのは公也とヴィローサのみ。公也が出るならばヴィローサが残っていなければいけないことになる。


「師匠? 俺は行っちゃだめなんすか?」

「フーマルにはこの周囲の魔物を相手に戦うように指示を出させてもらう。強くなる目的ならまずこの近辺の魔物を相手にして鍛えるといい。この山を下りるくらいできないと困るだろう?」

「む……師匠は何も教えてくれないっすね」

「俺ができるのはせいぜい自分を鍛えることのできる環境を用意するくらいだよ。ヴィローサ、俺が出て行っている間はフーマルの安全を頼む」

「任されましたわ。フーマルが魔物に負けそうになった時魔物を毒殺させればいいのでしょう?」

「麻痺でもいいが、まあそういうことだな」

「むむむっ…………納得いかないっす。いや、理解はできるっすけどね」


 ヴィローサがあっさりと公也の言うことを聞いて公也から離れる道を選んだ、というのは彼女の色々な意味での心境の変化が大きいだろう。言うなれば今までと違い心の余裕ができた、といったところか。もっともこの城に公也がいる時は基本べったりではある。離れることを容認できるようになったと言うだけでその想いの程は変わっていない。そんなヴィローサは師匠である公也の代わりにフーマルの安全の世話をすることになるようだ。まあずっとそうしていると言うわけではなく、公也が一定期間この場から離れる場合に限るが。別に公也もずっと旅し続けるわけではなく、戻ってきてここで過ごす時間もあれば買い物などで近くの街に行ったりして少し離れる程度、そして数日から一週間ほど旅に出る程度など、そういった感じで色々とやっていくわけである。


「それにしても、なんでこの城にいる全員の料理を私が担当しなければいけないのかしら……」

「俺もやっているけど」

「そうね、その点に関してはキミヤ君には感謝するわ。ロムニルやフーマル君もやってくれないかしら?」

「実験みたいな形でならやれるかもね」

「……焼いたり煮たりくらいならできるっすよ」

「二人とも全然料理はしたことないものねえ……」

「大丈夫。私が手伝う。今はまだ覚えているところだけど」

「ありがとうペティちゃん」


 現在のこの城には城における家事の類を行う人間がいない。貴族としての仕事に関わる人間は連れてきたが貴族の家で仕事をする人間を連れてきていない。要はメイドや侍女、執事などの類がいないということである。ただそもそも家事でも清掃の類は必要なく料理や洗濯が少々問題と言ったくらいでそこまで必要とはしない。人数的にも今のところはまだ少々大家族といったくらいでしかない。とはいえ、料理やら洗濯やらの家事はそれなりに負担になるだろう。料理に関しては公也とリーリェが分担しているのが現状、それ以外はまちまちで個人で出来ることは個人で、まとめてやるべきことはまとめて交代制でやっているかんじだ。


「でも早めに城内で仕事をしてくれる人間は欲しいな」

「連れてくるのも簡単ではないけど、確かにいてくれた方がいいわね。私も研究の方に専念したい……」

「その間は僕が代わりに研究するよ」

「没頭しすぎないようにしなさいね? 一応ペティちゃんもやってくれて入るけど、この子だけでは全部をやりきるのは難しいわ。人を集めることに関してはどうなってるの?」

「どこから連れてくるか、って問題になるな。一応部下になった彼らと話して相談はしている……と言っても、やっぱり場所が場所で簡単ではないが」

「孤児とか連れてくる……と言うのも難しいか。困窮しているところに救いの手を……と言うのも狡い気がするし……でも贅沢は言えないから手段は選ばずでもいいんじゃない?」

「人数がいるよね。一応ここは城だし一人二人では済まないだろう。いくら城魔という魔物でペティ君がある程度環境改善ができるとはいえね」

「でもその前に住めるところを増やさないと辛くないっすか? 城の部屋も限界あるっすよね。城自体はでかいっすけど」


 色々と意見は出るが簡単に決められることではない。公也は一応は貴族であり財産の管理や家、城に所属する人間の記録や登録など、それなりに手間がかかる。給料の問題もある。食料も人数が増えるなら確保も手間だし城における部屋数の問題、外における安全の問題、人を連れてくるのもそこまで単純で簡単ではない。そもそもの食料自給の問題であまり人は増やしたくないと言うのが現在の状況だ。


「とりあえず周辺開拓からだな……色々と見て回りたいが、その前に現在の状況をある程度良くしないと」

「そうね……土地の利用も考えないと。山の上だから簡単ではないだろうけど」

「水の問題は……なぜか大丈夫なんだよね」

「城の上に水を集める装置がある」

「雨水を集めるものかな?」

「雨がなくても水が集まっているらしいぞ」

「…………魔物って謎だねえ」


 とりあえずまず周囲の開拓から始める。領地を貰ったとは言えそもそも何もないのが現状である。その状況を変えていくことが最初だ。




※領地持ちの貴族。ただし領民無し、領地は開拓して自分の領地として認定。いじめ?

※人手が欲しいが周りに人がいないうえに運搬も大変という過酷さ。普通に生活するだけならそこまで大変でもないので案外人では必要はなさそうな気もするが。

※城魔の城は生活環境の保全を行う。自動ゴミ掃除で清潔を、常に水を確保し洗濯もできます、暑さ寒さも一定範囲を維持します、薪がなくても料理の火くらいは賄いましょう。だいたいそんな感じ。なお後々機能追加もあり得るらしい。

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