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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
四十三章 遺産
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「やはり情報はなしですか。冒険者であるということですしあれほどの実力者……聞く限りでは魔法も達者ということであれば当然有名なはずですが。仮に有名でなくとも情報が一切出てこないというのも妙な話です」

「一切出てこないってわけじゃないんですがね。そのほとんどが割と最近のものしかない、それも断片的に、という感じで」

「それだけの情報しか出てこないのがおかしな話だということです。まるで突然現れたかのようなものでしょう?」

「一緒にいたっていう……ゼーメストでしたか? あっちはそれなりに情報は追えましたけどね。もっともこちらはこちらで断片的、出てきたもの結構新しい感じです」

「そちらはまあまあ情報が入ってきます。もっともロラロンナ楽団との繋がりがある点からの情報が主となりますが。こちらと仲がいいということでその線でも調査の手は伸ばしましたが……」

「そちらもダメ。もっと遠くまで調査範囲を伸ばせればまだ情報が得られるかもしれませんけど」

「こちらだけでそうするのは難しいでしょう……彼に関しては別に敵対しているわけではありませんからそこまで情報収集する必要はないかもしれません。ですがやはり怪しい……というとあれですが、できる限り調べて知っておく必要はあります」

「ま、この国を救った英雄でもある。そして国に危機をもたらす最大最強の現況を倒した人物でもある。その心の内は如何に、その力をどう振るうのか。心配になる気持ちはわかりますよ。そこまで危険視する必要はないと思いますけどね」

「今回の件はよくわかりませんが、マギリアの方で進めて何か落ち着くところまではいくでしょう。何があるかはわかりませんが武力が必要なら後でこちらが動くか……もしかしたらマギリアたちでもなんとかできる程度の問題かもしれない。そちらは今は帰還待ちとして……もう一つの方。あちらはどうです?」

「今のところ大きな動きは特に。ま、そこまで人を簡単に送り調査できるわけでもないし戻ってくるのにも時間がかかりますよ。動きがわかったころにはもう別の動きに代わっているかもしれない。流石にいきなり軍を動かうとまではいかないだろうとは思いますけど。そこまで言ったら流石にその動きはすぐに伝わってくるのでまだ大丈夫でしょう」

「本当になぜ、と言いたいところです。件の彼を使いうまく調べられればいいですが」

「俺にも調査させている心のうちもわからない相手に行かせるのはどうなのかと思いますがね。実力は確かなんでしょうし、魔法使い至上主義に対して好意的ではないんでしょう。でもそれを他国の調査に使うってのはどうなんですかね? 相手の立場も結構なものって話ですけど」

「冒険者であるということならそちらから頼むことは不可能ではないはずです……まあ、話を振ってみるだけですよ、今のところは。相手の反応も見てどうするかを決める、見極めることとします」




「問題は解決……したのかしら? あのとんでもない巨大な、あのコースティンルクだったかしら、その魔法使いが話していた危険な魔物……魔法技術によって作られた魔物は消えた。キミヤが始末してくれたんでしょうけど、一体どうやったのかしら。ああ、そっちは追及しても仕方がないわね。あそこであれだけ見るな知られたくないて言っていたし……あれを一瞬で消すわけだし、相当やばいやり方なのはわかる。それは追及されたくないでしょうね……まあ、いいわ、もうそのあたりは何でも。今回の件に関しての報酬が厄介なのよね……あの封印とその先のことに関して、あまり詳しい情報もなかったしその調査というだけなら大したものではない。危険もほぼなかったし、一緒にいろいろ調べていっただけ。それだと報酬として支払うべきものは大したものではない……最悪本当に支払う必要もないかもしれない。でも最後のあれを考えれば本当にやばい放っておけない者に対処してくれたという事実がある。その点に関して報酬は支払うべきだけど、何をしたのかもわからないし相手の脅威も不明……あの魔法使いの話が真実であればそとんでもなくやばいってことになるんでしょうけど……私からは何とも言えないわね。そもそも報酬の算出はどうすればいいというのかしら……」


 今回の件でマギリアは公也に問題解決の報酬同士払うか迷っている。最大の問題は今回公也が最後に始末した巨大スライムの扱いをどうするかである。最悪世界を滅ぼしかねない魔物であり、それを倒したということは英雄扱いを受けてもおかしくはない事柄である。しかしそれはそれだけの危機があったという事実が知られなければならず、そもそもマギリア自身もあの魔物がそれほどまでに危険なのか、ということがわからないでいる。もちろん封印の件の話や映像でのコースティンルクの魔法使いが話していた事実などを考えれば生易しい相手ではないのだが……それだけ公也があっさり消してしまった事実が相手の強さ、その危険性がわからないことに繋がってしまっている。


「あの場所に関しては後で冒険者ギルドに調査を依頼する……調査するのは口の堅い冒険者に頼むよう話しておくべきではあるけど、こちらで調査をするよりは冒険者ギルドに頼んだ方がいいでしょう。あの場所に関しては冒険者ギルドにも資料が残っていたようだし、こちらで一方的に何もかも調べ始末するよりは彼らに頼った方が関係改善にもつながる……中にあるものは古い時代に作られた物でしょうしそれに関しても価値があるでしょう。やはり問題はあそこに存在したあれに関して……口止めも含めて、いえ、そもそもそんなものがいた痕跡もないわけだし、あの場に残された映像情報のそれ以上のものがないから誰かに伝わっても大きな問題にはならない。とはいえやはり彼には酬いないと。協力関係は維持した方がいいでしょう。ユミカも割とそれなりにこっちに来てくれるし……」


 色々と事情があるためどうしても難しい部分はあるが、マギリアとしては公也に相応の報酬を支払うことをに決めた。もっとも相応とはいかほどか、という点で難しいしどう予算を出すべきかの問題がある。それだけ今回の件は外に知られなかったし極めて小さく狭い範囲で完結してしまった。扱いに困る。


「どうしようかしら」

「別件と一緒に支払いをする形で大きな支払いにするのはどうですか?」

「……ファリア」

「こちらが頼みたいことを彼に頼み、その仕事の支払いで含めればいい……まあ、こちらもあまり大々的に結果を示せるものではないですが、あなたが動かせる範囲だけではなく軍関連の予算も回せますよ」

「それはそれで問題でしょう。そもそもこの国の問題よ?」

「彼が関わった結果が一因にあるのも事実では?」

「それ自体もこの国だけで本来は解決する問題でしょう……」

「頼むだけ頼んではどうですか? いえ、機会を貰えるなら私の方から直接依頼をしましょう。彼は冒険者だという話ですし、相応に報酬を支払うのであれば依頼は受けてもらえるはず。多少は勉強してもらいたい話ですが」

「そういうのはどうかと思うのだけど? 向こうも向こうで立場があるでしょう」

「駄目ならそれでもいいのです。一度話せるだけ話してもいいでしょう。今回の件に関してもこちらだけで迷うよりは件の彼に直接相談してみればいいでしょうし。この国を魔法使い至上主義から解放した件もあるでしょう。その件に関しても含め、色々相談してみるのも悪くはないと思いますよ」

「…………多分にファリア、あなたの意見、意思が見えるんだけど。あまりいいこととは思えないわよ、あなたのそれ。まあ……そうね、迷って悩んでも決めにくいし、色々話してみるのはありでしょう……あなたの話したいことは本当なら頼むつもりもないけど」


 とりあえず報酬に関して、いろいろな事情も交えて公也本人に話して相談してみる……ということにしたようだ。それにファリアがついてくる、以前話していた公也に頼んでみるのはどうかというこの国の問題に関してのことを持ち込むつもりで。





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