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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
四十三章 遺産
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「いくつか何とか集めることができました。これが冒険者ギルドに存在していたエルデンブルグ内の未調査部分に関する資料……今回の、王都に近い山脈、それもその中で森が消え山肌がむき出しになっている場所ということでその場所に限定された資料を集めることができました。もっとも資料自体は古いもので近年冒険者ギルドが手を出したという事実もなく、それほど情報は多くありませんが」

「それでも参考になるわ。ありがとうファリア」

「いえ。これらの情報は私ではなく部下が集めたものですので」


 冒険者ギルドと関わりエルデンブルグ内の冒険者ギルドが集めた情報……現在未探索だったり未調査だったりする謎の場所に関しての情報をファリアが持ってきた。エルデンブルグは魔法使い至上主義の蔓延とそれによる上位者に魔法使いが蔓延る状況となっていたが、それを是正し能力に見合った人間を配置するようにユーナイトが倒されてから改善されていった。もっとももともとそこまで極端に身の丈に合わない役職に魔法使いがついているということはなく、その部下や上司の取り巻きに魔法使いが多かった形の方が多い。誰が鳴ってもいいような役職であればダメな魔法使いが就くこともあったが、ファリア・アルツハエムの就いていた軍の指揮官的な役職などはどうしてもその実力が必要であり彼女はその役職に見合う実力だったため今もまだその職に就いている。他の魔法使い至上主義の魔法使いと違い普通の魔法使いではない人員をつけていたりしたのも理由の一つではあるだろう。

 そしてそのファリア……の部下であるロズイールが今回の件に関する情報を集めた。冒険者ギルドの関係は魔法使いやそれにかかわる人員はなかなか良くない状況で軍だろうと何だろうと情報収集は難しいのだがロズイールは以前から特殊な情報収集能力……何か情報収集するのにいい相手、手段を有している様子で今回もそれを上手く活用して情報を集めたようだ。

 もっとも今回の件において冒険者ギルドでもあまり手は出されていない。そもそも未探索、未調査地域と言っても今回の場合扉が封印されその中に入れない状況である。一応当たりの探索、扉の先、扉の周辺の地形や地面の内にあるだろう何か、建物に関する情報など外から集めたりするが、冒険者ギルドとてあまりに危険そうならば無理することはない。この件に関しては流石に手を出せないと静観の状態だったようで資料はさほどない。


「……当時でもあまり情報ないのね」

「ですが冒険者ギルド側の記載を見る限り、その扉のある場所、その施設は当時のこの近辺の国の魔法使いたちが作ったものだという話です。魔法使いたちも硬く名に話すことはせず……その国はその時の件が原因で衰退、滅び……恐らくこの国の前身として機能したのでしょう」

「そうだとは言い切れないけど……この国が魔法使いの国である事実とは無関係ではないでしょう。当時の技術が受け継がれていない、魔法使いとしての能力の衰えが明らかに見える以上は完全に続いているわけじゃなさそうだけど」

「冒険者ギルドでも話を聞く限りでは禁域に指定するべきかという話がされたようです。禁域、わかります?」

「……わからないわ。ファリアは?」

「部下の話では冒険者ですら手出ししない危険地域、だとか。もっともこの扉を禁域に指定する意味がないということで……すでに封印されている状況であることから指定されることはなかったと」

「行ったところで扉を壊すことができるかわからない、魔法使いでも封印を解くことができるかわからない、もし封印を解くだけの能力を持つならその封印の規模とその封印が施されている何かの危険性を理解できてしまう……指定する必要はなかったんでしょうね」


 色々と現状に繋がる推測も交えるが、冒険者ギルドでもそもそも調査の手を伸ばすことのできなかったもの。そうであるならば冒険者ギルドに残されている情報はそれほどないと言わざるを得ない。


「もしあるとすればこの国の方が情報を持っているかもしれません」

「でも……」

「王族の方で隠されている可能性は?」

「それを聞くの?」

「必要であれば聞かざるを得ないでしょう。あるいは何か古い重要な資料としてこの国の王城に残っている可能性もあります。そちらを探してみるのはどうでしょう?」

「残ってるかしらね……まあ、少し手をまわしてみるわ」


 エルデンブルグの前身となった国、そこにいた魔法使いが何かをしたのであれば……何かの資料、情報を残しているかもしれない。もっとも魔法技術が伝わっていない辺り情報として残っている可能性は少ないかもしれない。まあもしかしたら秘匿するべきである、危険すぎるので伝えないようにとした可能性もないわけではない。そもそもエルデンブルグは他と比べても魔法使いが多く魔法使いが強い国、その魔法技術に関しては本人たちは普通の魔法と同じ見ているが他国からするとそうでないかもしれない。魔法道具だって多少自分たちで作っているが他の国ではそれほど作れないほうが多いかもしれない。

 まあどうであれ探すくらいはしてもいいだろう、という話である。マギリア本人が探しに行くわけでもなく部下を使って探させるのだからそこまで大変というわけでもない。最初はできる限りの資料、情報を集め、そこから必要な情報が載っているかどうか、それっぽい資料かどうかを詰めていくだけでもいいだろう。話していたように王族などこの国における古い家系、一族であれば何か残っている可能性はある。マーキエルやアーテルハイム……この国における魔法使いの血筋、家系、その一族の間に何らかの道具や資料、情報、口伝、何でもいいからともかく情報を集め……念のためできる限り事前にわかるものを調べておくべきだ。どちらにしても、夢見花が公也を連れて戻って来れば調査に行くことになるだろうから。




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