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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
四十二章 終末の獣
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 とりあえず公也が暗黒の森、禁域に向かいそこで今回の問題に対応することは確定している。今は暇だし移動速度などを考えれば、またアンデールの役割などを考えればそこまでおかしな話ではない。いろいろわかっていないことは多いが禁域とはそういうものである。問題は誰を連れて行くとかアンデールに残る残す仕事に関してとかそういう方面。いや、向かう先に関しての問題とか冒険者ギルドからの要請とかいろいろあるが、やっぱりやることは変わらなし公也からすれば問題にはならないだろ。禁域に向かうにあたり場所がわかっている以上は移動はメルシーネ任せが一番である。もちろん普通に移動してもいいが距離の関係上辛いだろう。他のAランク冒険者が来るにしても近い地域の方が可能性が高く、普通に移動するなら一番公也が遅くなる。そうなった場合向こうもどこまで待ってくれるかはわからない。行くなら早めがいい。連絡に関してはギルドの方はギルド同士で特殊な連絡手段があるので大きな問題はない。

 さて、誰を連れて行くかの点において。まず冒険者勢の多くは連れていけない。というか今回の件において上位ランクでもなければまず参加させることはできないだろう。フーマルがギリギリダメだろうというぐらいなのでまずほぼ参加できない。足手まといになる。唯一連れて行けるとすればリーン、強さだけではなく生存性を考えれば彼女以外は連れていけない。他の戦力としてそもそも連れていける戦力自体が碌にないのがアンデール……今回夢見花はいかないことになる。夢見花はある程度魔法使いの国の方に関わっている状況であり、そちらが落ち着くまでは彼女はあちらにいったりなんだりしている。彼女の場合は魔女の関連もある。魔女も別に連れて行くようなことはなくこの国に残るだろう。ほぼ連れていけないが、メルシーネとヴィローサ、そしてリーンの三者が連れていける人員になる。ヴィローサに関しては安全面でどうだろう、と思う面はあるが全快の魔法使いの国での活動での実績もあるし安全面さえしっかりすれば問題ないということで彼女の方が公也に意見を押し通した形になる。それでも本気で公也が拒否すれば引き下がったがそこまで押しが強いと公也も拒絶しきれないためついていくことになった。

 アンデールの仕事とかはそもそも公也がいなくても回る現状なので別に問題はない……というのも王としてどうなのか、と思わなくもない。まあ今までが今までなので全部ハルティーアに任せれば運営の問題はないだろう。それはそれでハルティーアの負担が大きくなるが……今ではノエルという秘書的な人物もいるしまあまあ問題はないだろうと思われる。


「一種一体の魔物、単一種……厄介なのですね」

「そうなの?」

「わたしもそういう存在なのですよ。ヴィローサも……ある意味では似たようなものではないのです?」

「そうなのか?」

「私はよくわかりません。でもそういうものなの?」

「いえ、わからないですけど……」

「単一種、っていったか? 何か問題が?」

「事例としてはわたしみたいな存在なのです……わたしと同じ、というわけではないです。極めて特殊で唯一魔物の発生に力を注ぎこまれた存在、既存の種と同じにならないよう独自に力が注ぎ込まれ膨らんだ存在……魔法で例えればその時その時に膨大な魔力を注ぎ込んで完成させたほかに類を見ない魔法、といったところなのですね。それはその時で違う魔法になるですけど、魔力が注ぎ込まれているため強力な魔法にはなるのです」

「魔物の発生が地脈からの力による影響……という話もあるからそういう形での仮定はわからなくもないが……わかりにくいな」


 メルシーネも決して説明が得意なわけではない。ここでは要は相手が厄介であるということがわかればそれでいいだろう。だが問題はそこではない。禁域がそういう魔物がいる場所、というのはわかるがそれ自体が問題ではなく、そもそも禁域となることの方が問題なのである。


「そういう魔物が厄介ではあるですが、そもそも発生すること自体がおかしなことともいえるのです」

「まあ、そうだな」

「地脈の巡り次第とは言うですけど、例えばアンデールではどうです? 今はこちらにいるですけど魔女が住んでいた場所はどうなのです? 地脈の巡りが大きく漏れ出る力が大きくともその都度全く別の魔物が発生するのはあり得ないのです。先ほどわたしを一例に例えたですが、ワイバーンの谷ではわたしのような魔物が何度も発生したりはしていないのです」

「……そもそもメルの場合は特殊な感じだよな」

「まあ、そうなのですね。ではそれがなぜなのかというと場所による性質、環境の影響など、この魔物が発生するという物事を決める要素の問題があるのです。近い場所同じような場所であれば発生する魔物は似通るのが普通なのです」

「……だけど向こうでは単一、それぞれ一体しか存在しない魔物が発生している、と」

「似通った種で単一ならおかしな話ではないかもですけど……そうでないならそもそもからしておかしいのです」

「そもそもか」

「そこに禁域として指定される理由があるのではないです?」


 魔物の発生は場所柄の影響がある。ワイバーンの谷はもちろん、ラマーン付近の砂漠地帯も砂漠に似合った魔物が発生していたようにそれぞれの場所に適した魔物が発生する。海の中なんかは顕著で海で生活できる魔物でなければ発生しなかったりする。つまり森であればその森に似合う魔物、一般的な生物の魔物が発生するのが基本だ。もちろん事例として特殊なケースが起こることはないわけではない。それでもそれが毎回起こり得る、ということはないだろう。その特殊なケースは結局の所特殊な要素や何らかのものが原因であり、それをベースに発生させた時点でもう一度発生するには要素となる物が足りない。またそれなら単一ではなくまた同じ種、魔物がということになる。一種一体という事例にはならないだろう。


「まあ、結局は行ってみないとわからないんだが」

「それもそうなのですね」

「キイ様なら何がいても大丈夫ですわ」

「……信頼が重い。メルにちゃんと守ってもらうように」

「一番はキイ様ですけど。ま、メルに任せるわ。ちゃんとやりなさいよ?」

「守られる側なのに偉そうなのです……」

「だってメルより私の方がいろいろ強いもの」

「肉体的に強くなってから言うのです……」


「ごはん取ってきたよー!」


「……リーンが戻ってきたか」

「あのぶんぶん振り回しているでかい猪が食事なのですか。ご主人様も一応食料は持ってきているですが」

「ある程度は現地調達できればその方がいいだろう」

「それもそうなのですね……」


 リーンは細かい話を気にしないのでメルシーネと公也の話している内容に関して気にかけないだろう。それはそれで冒険者としてどうなのか、と思うところである。彼女の場合はそこまで気にせずともいろいろ大丈夫というのはあるのだろうが。まあ当人がそういうタイプであるというのもわかっているためリーンに食料確保を任せての公也とメルシーネの話し合いだったのかもしれない。





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