クエストモンスター
レインが戻ってきたのは、仮想世界での真夜中だった。それなのに都市は賑わっていた。自分で作った武具を販売したり、今から狩に出かけようとしている者も見た。
「初めて入った時とは、活気が違いますね」
そう呟いたがそれも周りからの声で聞こえることはなかった。
レインは一人の大人―それは背は小さいが髭が生えているからそう思った―を見ていた。
「武器を売ってるんですか?」
「見てわかんねーのか?」
「他の方とは違って、売り込んだりしないんですか?」
「こんな武器じゃ、俺が納得できねぇ。売るのも嫌だが金が無いんだ」
職人魂だろうか、レインにはその気持ちが分からないが面白そうな人だとは思った。
アイテムボックスから〈魔導の竜銅〉を取り出すと男にそれを見せる。
「テストプレイヤーか……」
「観察を持ってるんですか?」
「鉄鋼観察だな。鉄をずっと見てたら簡単に取れたぞ」
観察系を今持っているプレイヤーは、数えれるくらいに少ない。そして、この二人はそれを持った限りない人物達だろう。
「これはあなたに差し上げます」
「……良いのか?」
「もちろん、何かあった時は、融通お願いしますよ」
「そんなんで、貰えんなら有り難く貰うわ」
「俺の名前はレインです」
「俺はダンだ」
お互いの名前を知ったらレインは次の場所へと、ガンは借りた鍛冶屋へと行った。
少し歩くと見慣れない店を発見した、その外見は昔からあるような古い建物だった。
入ろうとドアを開けるが、建て付けが悪いのかギィギィと音を立てて開いた。
入ると辺り一面が本に覆われていた。
「いらっしゃい。お客さんかい?」
話しかけてきたのは、シワだらけの顔に白髪を生やした―魔女を連想させるような―老婆だった。
「そうですが、ここは何を売ってる店ですか?」
「魔法の獲得書じゃ。簡単に手に入る無属性の、じゃがな」
これから必要になる魔法があるかもしれないと、売っている本を見ようとすると。
「メニュー画面を開けば見えるじゃろ」
「……そうでしたね」
何があるのか見ていると気になる魔法があった。
「この〈地図〉と〈飛行〉の魔法を買いたいのですが?」
そう聞いたのは金額も買うと書かれたボタンも無かったからだ。
「二つで十五万シリーじゃな」
「これでいいですか?」
レインは金額を設定して、金額分のお金を実体化させていた。
「はいよ、これがその本だよ」
カウンターに出された本をアイテムボックスの中に入れて店から出て行った。
「宿屋で獲得しますか」
森の中を歩く人影があった。男の装備は槍を武器として、それに合わせた装備を身につけていた。
「ここが一番モンスターが強いって聞いたが、何も出てこないな……」
その時、木の影からゾンビの腕が見えた。モンスターがやっと出たと思い、男は槍を構える。
「ひぃッ!」
出て来たのはゾンビなどではなかった。黒紫色の粘液、三メートルはあるその巨体はスライムと呼ばれるモンスター。
ただし、普通のスライムではなかった。その粘液の中にはゾンビ、スケルトンそれらの残骸があり、その一部が外にはみ出ていた。
《特定モンスターが発見されました》
《都市クエスト〈死屍累々〉を開始します》
不確定粘液は目の前の敵を倒し、第一セルドへと進んで行った。




