ダンジョンの話
ガンさんの店を出た後、俺達はもう一度ギルドに戻り依頼を受ける事にした。レイナとの初めての仕事だ。
「ん〜どれにするか迷うわ。」
レイナが依頼が貼ってある掲示板を見ながら悩んでる。どうやらGランクの俺だけでは、1つ上のFランクの依頼しか受けられないのだが、パーティーを組む事によって一番ランクが高い人の1つの上まで受けられるようになるみたいだった。
「うん!これにしましょ!」
レイナが見せてくれた紙には大きくDと書いてある。おそらくDランクの依頼だろう。俺行けんのか?Dランク……
「俺、足手まといにならない?」
「大丈夫よ!あたしがついてるんだから!」
正直不安しかない。幸運値が異常に高いといえど、死ぬ時は絶対死ぬからな……心配だ。
「ところで何の依頼?」
「ダンジョンの中の魔物討伐よ!簡単よ」
「……まじか」
だだだ……ダンジョンだと!やっぱあるのかこの世界。楽しみのような怖いような微妙な気分だ。
レイナが受付で確認して、ダンジョンまでの道を教えてもらい、俺達はダンジョンに向かった。
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この国にはダンジョンが4つあるらしい。俺達が行くのはDランクのダンジョンで、他にはCが2つ、Bランクが1つあるとのことだった。
そして俺達が行くダンジョンは、通称「ゴブリンのダンジョン」ダンジョンにいる魔物のほとんどがゴブリンだかららしい。ネーミングセンスねぇな!
聞いた場所に着くと、洞窟の入り口があり、洞窟の前におそらくギリン王国の兵士の人間が立っていた。
「お、お前らダンジョンに入るのか?」
「はい、俺も彼女もこのダンジョンは初めてです。」
兵士に心配そうに見られた。
「大丈夫か?見たところ見習いっぽいけど……」
「大丈夫だと思います。俺はGランクですが、彼女はBランクの冒険者なので」
「そうよ!あたしが居るんだから心配ないわ!完璧よ!」
「そ……そうか、まぁ怪我しないように頑張れよ!」
そう言うと兵士さんが通してくれた。そして俺は人生初のダンジョンに足を踏み入れた。そしてレイナに兵士さんが引いていた。
「……すげぇ」
ダンジョン、そこは幻想的な洞窟だった。漫画やアニメなどで見るダンジョンと違い、まるで世界遺産に来ているような気分だ。所々で石が光っており、灯りは不要みたいだ。
「あたしも初めてダンジョンに来た時そんな反応だったわ!にしてもウント……ぷっ……口開きっぱなじゃない!馬鹿みたいな顔。ぷっ」
「あぁ、ごめん見惚れてた…」
レイナが俺の顔見て笑ってるが、そんな事がどうでもいいくらい綺麗な空間だった。
けどレイナって残念だよな。見た目は完璧な美人なのに言葉使いがおっさん臭いっていうか、黙っていれば最高の女の子なのに……
「ウント!来たわよ!」
どうやら魔物が出てきたみたいだ。そらダンジョンだし出るのは当然か、ん?あれは何だ?人型だけど子供くらいの大きさで――
「えぇ!あれがゴブリンか!?――てか顔こわっ!!」
「ウガガ!ガガギー!」
なんか思ってたゴブリンの500倍くらい顔が気持ち悪い気がする。しかもなんか言ってるし、こえぇーよ!
「行くわよウント!」
レイナがゴブリン目掛けて走り込み、背中に背負ってる鞘から大剣を引き抜き、ゴブリンを引き裂いた。
「ガガー!」
レイナの攻撃は大きなダメージを与えたものの、致命傷には至らなかったみたいだ。たがゴブリンの肩から血が噴き出してるし、ゴブリンも立つのがやっとみたいだった。
「よし今よ!ウント、ドドメよ!」
「え?んん?おれ!?」
「そうよ!その為にわざと一撃で倒さなかったんじゃない!」
レイナ様ぱねぇ……強いっす……。まぁでも考えてみたらそうか、レイナはBランクだし、今までソロでやってたらしいからな。Dランクのダンジョンのゴブリンくらい一撃で当然だよな。
「お、おう!じゃあ、い……行きます!」
「ウガッ………」
……俺はほぼ死にかけのゴブリンに短剣でドドメをさした。何とも言えない気持ちだった。おそらくゴブリンもレイナにドドメをさして欲しかったはずだ。すまんゴブリンよ。
「やるじゃない!いいドドメっぷりだったわよ!さぁ奥へ進むわよ!」
ドドメっぷりって何だよ!レイナは天然なのか?だが今の戦力はレイナ様々だ!ついて行くしかない!
「はい。ついて行きます。」
その後俺達はレイナ様々のおかげで、ゴブリンを次々倒し、レベルも上がり、そしてついにボス部屋の前にたどり着いた。
「ボス部屋って本当にあるんだな……」
「そうよ!ここのボスを倒し、素材を持って帰れば依頼達成!お金ゲットよ!」
「お金!でもボスってどんな奴何だ?またゴブリン?」
「それはね…………知らないわ!聞いてないもの!」
「聞いてないんかい!調べとけよ!」
「え?ウントそんなキャラだっけ?」
やべ!心の声、声にでてたー!
「いや!何でもないから!うん。大丈夫だから。よし!入るぞー!」
俺は誤魔化すようにボス部屋に入った。中にはさっき倒してきたゴブリンとは比べ物にならないくらい大きいゴブリンが立っていた。おそらく2メートル以上はあるはずだ。
「うん。帰ろう。あれはヤバい……」
「何言ってんのよ!あれ倒さなきゃ依頼額減るじゃない!大丈夫!あたしなら倒せる!――はずよ!」
えー?ちょっとレイナ様ビビってない?いくらDランクダンジョンといえど、ボスはCランクレベルのはずだ。ソロでは限界があるのか?俺、死ぬのか?
ギィ――バタンー!
そんな事考えると、後ろの扉が閉まる音がした……え?倒すか死ぬまで開かないって事?ヤバいだろ!はぁ……終わった。
「ウガァー!!」
「ウント!ボスゴブリン来たわよ!」
「え?え?マジ!?」
ドスンドスン!と走ってきたボスゴブリンが振り下ろしたハンマーをギリギリで避ける。ハンマーの位置を見てみると地面が割れていた。強烈すぎる……
「くらいなさい!えぃ!」
ボスゴブリンがハンマーを持ち上げる隙に、後ろに回り込んだレイナが大剣でボスゴブリンの背中に斬りかかる。今度は本気の斬撃だ。
ウギィー!とボスゴブリンが声を上げるが、まだまだ平気らしく、ニタッと笑うと、レイナの腹にハンマーを叩き込んだ。
「レイナ!大丈夫か?」
「うぐっ!……ちょっとヤバいかも……うっ!」
レイナが腹を押さえ血を吐いている。どうする俺どうする?と、とにかく回復だ!治ってくれ!
「ミニヒール!!!」
すると、レイナの顔が苦しい表情から柔らかくなり、傷口も消えていた。よかったー!とりあえす大丈夫そうだ。
「え……?うそっ!ミニヒールでこんなに治るはずが……ウントあんた何者?」
俺にもわからん。ミニヒールがどの位治るからも知らなかったしな。
一応ステータスを見てみると、「女神の幸運」の任意で偶然を起こすの使用可能回数が2から1に減っていた。どうやら偶然、ミニヒールで傷が全快したみたいだった。偶然強すぎぃ!このスキル便利すぎだろ!
「事情は後で説明するから!今はあいつをどうにかしよう!」
でもこれでもし、女神の幸運の使用可能回数が回復しなかったら、レイナに説明した時怒るだろうな。はぁ……やだな。
「わかったわよ!ちゃんと説明しなさいよ!」
今度は俺も戦闘に参加する。まずはニタっと笑ってるボスゴブリンに俺が注意を引き、その隙にレイナが斬りかかる。
「よし、いい感じよ!この調子で行きましょう!」
「了解!」
そして、ボスゴブリンが最後の抵抗で注意を引いていた俺にハンマーを振りかざすが――
「女神の幸運」の偶然を使って避け、ボスゴブリンの体勢を崩すと、構えていたレイナがボスゴブリンの首を切断した。
pv、ブクマ、評価ありがとうございます。
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女神の幸運の使用可能回数に関しての主人公のリアクションを変更しました。