テンプレの話
–次の日–
朝起きて朝食を取り、昨日の薬草を納品する為にギルドに向かった俺なのである。
ちなみに狩ったスライムが光る石を落としてたので、一応拾っておいた。金になるかもだしなー
ギルドに着くとやはり、朝早くだからか他の冒険者達が沢山いた。もちろんあの顔面が怖い世紀末脳筋野郎達も朝っぱらから酒場で飲んでやがった。仕事しろよ……
俺は人混みをかき分けながら、受付のマリーさんに話しかける。
「依頼の納品に来ました。換金お願いします。」
「あ、はいカイフク草の納品ですね。かしこまりました。ではこのプレートの上に出してください。」
「はい、これで全部です。後この石なんですけどー」
「カイフク草8つですね。この石は魔石ですね、これは小さいのでスライムの魔石です。買取できますよ」
「お願いします。」
どうやらスライムが落としてた石は魔石というらしい。魔物を倒すと落とすらしい。
カイフク草8つとスライムの魔石13個で銀貨4枚と銅貨7枚だった。日本円で言えば4700円って事だ、高いのか安いのか今の俺にはイマイチわからなかった。
「初めての依頼で魔石13個は中々凄いですよ!まぁスライムという事もありますけど、スライムでも毎年殺られる見習い冒険者だって居ますから、ウント様はお強いと言う事ですよ!!」
どうやらマリーさんによると、初依頼にしては凄いらしい。まぁただ幸運なだけとは口が裂けても言えないけど……
すると、マリーさんがあまりに大きい声で強いとか言うから、酒場で飲んでた世紀末マッチョ達が絡んできやがった。
「おいおいおい!お前強いらしいな!?ランクいくつだぁ?あぁ?」
こぇぇよ!何このテンプレ!取り敢えず変に絡まれないようにやり過ごそう。
「いや、あの……ランクはGランクです。強いってのは、あくまでGランクにしてはらしいので」
「なんだよ!Gランクの雑魚冒険者か、俺はDランクのモルドってんだ!調子に乗ってる奴ならシメてやろうって思ったんだけどな」
何だこいつ野蛮すぎる!後ろにいる取り巻き達もニヤニヤしてやがる。ここはヨイショ作戦しかないな!
「そうですよー!俺なんてモルドさんに比べたら雑魚中の雑魚ですよ!いやーDランクなんてどうやったらなれるんでしょうね!!アハハ」
「ヒャハハ!わかってんじゃねーか、よし!今回は俺の機嫌が良い事に免じて見逃してやる!次からは気ぃつけろよ」
「はい!ありがとうございます。気をつけますねー!」
よかったー!!馬鹿でよかったー!世紀末達が酒場に戻った後、マリーさんを見ると、小声でめっちゃ謝ってくれた。いやマジ気をつけよ。
マリーさんに挨拶して、そのまま帰ろうとしたら、あの世紀末達が次は違う冒険者に絡んでいた。
「おい!お前見ねえ顔だな!しっかしお前可愛い顔してやがるぜ、それにスタイルも申し分ねぇ。お前この、Dランク冒険者モルド様の女にしてやるよ」
「は?何で、あたしがあんたみたいな気持ち悪い男の女にならないといけないわけ?」
「なん……だと!お前口の利き方には気をつけろよ!」
「だ・か・ら!気持ち悪いから、話しかけないでくれる?息臭いし。」
「……てめぇ!ぶっ殺してやる!」
「ふーん、やってみれば?」
気の毒だなぁと思って、その冒険者の顔を覗いた俺は心臓が飛び出そうになった。
一言で言えば、絡まれてる女冒険者がめちゃめちゃ可愛かったからだ。日本でも見た事がない、あの女神様にも匹敵するレベルの美しさだった。
「おらぁ!」
自称最強モルド様が女冒険者に殴り掛かろうとした時――
気がつくと俺は、怖いはずなのに彼女の前に滑り込み、モルドのパンチを受け止めていた。Gランクの俺がDランクのモルドのパンチを偶然に、運良く、幸運だった。
何故助けてしまったんだろう考えていて、俺は気づいてしまった。
そう俺は――彼女に一目惚れしてしまった。
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