初依頼の話
「宿泊だけなら銅貨5枚、夕・朝飯付きなら銀貨1枚だよ!泊まってくかい?」
「ご飯付きでお願いします。」
宿屋についた俺はおばちゃんに銀貨1枚を渡し、とりあえずご飯まで時間があるので言われた部屋に入った。ちなみにこの宿は1階が食堂で2階が宿になっている。
「ふぁー!鞄の中は狭いしつらいですねー!」
キャルが人がいない事を確認して鞄から出てきた。
「やっぱり妖精が人に見られたらまずいもんなの?」
率直な質問をぶつける。
「そうですねー、まぁ妖精自体珍しいですし、それを連れている人間はもっと珍しいですからね。ぶっちゃけ騒ぎにはなりますね。」
「それは面倒だな。でも一応妖精連れてる人間はいるってことなんだ?」
「まぁ居ますけど、連れてる人は大体高レベルで上の職業の人なんで、レベル2のウント様が妖精連れてたら祭り上げられるの間違いなしですね!」
うわー祭り上げられるの嫌だなー、なんか嫌な予感しかしないしな。キャルにはこのまま鞄の中で一生を遂げてもらおう。
そうこうしているうちに夕食の準備が出来たらしいので1階の食堂で食事をとる。
メニューはウサギの魔物のシチューとパンだそうだ。お腹がペコペコだった俺はあっという間に平らげてしまった。
「あーうまかったー!ごちそうさま!」
そう言って部屋に戻り俺は疲れた体をベットに乗せると、一瞬で意識が飛んだ。
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次の日朝食を食べた俺は冒険者ギルドに向かった。キャル少しパンを分けてあげたら、小っちゃい口でムシャムシャしてた。可愛いなこの妖精。
「おはようございます、マリーさん。」
ギルドに着くと受付にマリーさんが居たので、挨拶して俺に合う仕事を選んでもらった。
「はい、ウント様でしたらこれなんてどうでしょう?カイフク草5つの採取です。」
カイフク草というのは、近くの森に生えている薬草らしい。それ程希少ではないが、ポーションの材料になったりするので、初心者冒険者にはもってこいの仕事だ。
「ではそれでお願いします。」
「かしこまりました。それではこの依頼は3日以内に納品なので、それだけは気をつけてくださいね!期限が過ぎると報酬額が減ってしまいますので。」
「わかりました、ありがとうございます。」
ギルド出て、俺はマリーさんにもらった地図を頼りにカイフク草がある森に向かった。
「いや……ここ……俺が最初に倒れてた森じゃねーか!」
いや何となく予想はついてたけどな……
まぁいいや、取り敢えず仕事だ仕事!
さすがGランクの仕事だけあって、カイフク草はすぐに規定の5つ集まった。正直依頼はもう終わったのだが、あまりに簡単に終わり過ぎて冒険者の実感がなかったし、時間もありので取り敢えずレベルを上げることにした。
「なぁ、キャル」
「はい」
「レベル簡単に上げる方法ない?」
「強い魔物を倒せばいいのでは?」
「やっぱ……そうだよな」
はっきり言おう。俺は魔物が怖い!言うなれば楽してレベル上げたい!てか転生ってそういうもんだろ!……転生甘く見てました。
「せいっ!」テッテテー♪
で、結局森に居た最弱の魔物のスライムを狩って狩って狩りまくった所でようやくレベルが1だけ上がった。……むなしすぎる。
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ウント・フチ 年齢15
レベル 3
職業 見習い冒険者
HP 150
MP 65
攻撃 25
防御 19
魔力 26
賢さ 23
素早 30
幸運 1050
スキル
女神の幸運 スキルレベル2
効果
あらゆる面で幸運をもたらす
任意で偶然を起こす(使用可能回数2)
使用魔法
ミニヒール
称号
女神の手下
スライムの天敵
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おっやっぱり無職から冒険者になった事でステータスちょっとだけ上がったな。まぁそれはいいとして、なんか魔法覚えてるし……しかもミニヒールて、回復しなさそうだな。称号もスライム狩り過ぎたせいで、ダサい称号ついたなー、うんダサい。
「じゃあレベルも上がったし、依頼も終わったし帰るか。」
「そうですね!ウント様、私お腹が減りましたー」
「そだな。––てか妖精お腹空くのかよ!?パンも興味で食べてると思ってたわ!」
キャルが頬を膨らます。
「ぷ!妖精だってお腹減りますよ!生き物ですから!」
「ふーんそっか、じゃあ帰って飯食って寝るか。」
その日はスライム狩り過ぎて疲れたので、ギルドに寄る気になれず、俺は宿に帰って飯食って深い眠りについた。
ブクマ評価ありがとうございます。
これからもお願いします。
女神の幸運に使用可能回数を付け加えました。