コボルトの洞窟の話
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俺は愚痴を吐いていた。
「結構時間掛かったな。てか馬車って腰とお尻痛すぎない?座席も痛いし。」
俺が住んでる街から馬車で2時間――やっと目的地の隣町に着いたとこだった。
「何言ってんのよ!馬車なんてこんなものよ。乗ったことないわけ?」
「うん……ない。」
俺がそう言うとレイナは、昨日の俺の作り話を思い出したのか、申し訳なさそうになった。
「あ、えっと……その……ごめんなさいね。」
「いや、いいよ。別に気にしてないから!とりあえず街に着いたとこだし、装備とか色々揃えなきゃいけないし。」
「そ!そうね!さっさと整えて、早く洞窟に行きましょ!」
レイナ気遣い下手だなぁ、まぁ可愛いから良いけど、それに作り話だしな。
俺達は街の中を探索して、道具屋や装備屋に行き、クエストに必要な物を買っていった。それでも金には全然余裕があった。この前の依頼でウハウハだったからな。
「んじゃ、そろそろコボルトの洞窟に行きますか!」
「そうね!早く行きましょ!」
「アニキ達の足手纏いにはなりませんから!」
そうして俺達は徒歩でコボルトの居る洞窟へと向かった。
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洞窟に向かっている途中気になる事があったのでレイナに聞いておく。
「てかさ、コボルトの洞窟ってダンジョンじゃないの?」
「あぁ!それはね、ダンジョンってのは洞窟に魔力が溜まって洞窟が変化した状態なのよ!でも今回あたし達が行くのはコボルトが住処にしてる普通の洞窟ってわけ。」
なるほどな。――って事はこのままコボルトの数が増え過ぎたらダンジョンにもなり得るってことか……よく出来てるな。
「なるほどわかったよ、ありがとう。」
それからしばらく歩き、街のはずれの森を進むと、コボルトの洞窟であろう洞窟が見えてきた。
「あれがコボルトの洞窟か?」
「きっとあれよ!」
「俺様の腕を見せる時が来たっすね!」
洞窟の入口に着くと俺達は恐る恐る洞窟に入って行くが、コボルトらしき魔物の姿は見当たらなかった。
「全然コボルトいないじゃない!どういうことよ!」
「まぁまだ入ったばっかりだし、奥にいるのかもしれないし。」
そう言ってみたものの、確かにおかしい。勝手にコボルトを狩りに来ているならまだしも、これは正式なギルドからの討伐依頼だ。
こんなに数が居ないなんて事無いはずだ。
だが頭に1つだけ可能性が浮かび上がる。それは今日、俺達と同じ依頼を受けていた冒険者達だ。
あの冒険者達は奴隷を含めて4人パーティーだ。いくら連携が取れてたとしてもあの人数じゃ、洞窟にコボルトが見当たら無くなるほど倒すのは困難だ。
たとえそれが出来たとして、レイナ並の強さの奴が居ないと無理だと思う。
「レイナ、モルド、急ごう!なんか嫌な予感がする!」
俺が慌てて言うと、レイナが感づいたのか、すぐに返事をする。
「わかったわ、急ぎましょう!それにウントの予感は外れる気しないしね!」
「わかりやした!アニキの為なら俺は何時間だって走れますぜ!」
「よし!じゃあ行こう!」
何もなければ良いんだけど……
――そして俺達は洞窟の奥に向かって走りだした。
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