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3色々な疑問

 しばらく思考がフリーズして頭も身体も動けない。


「なんでまた、そんな突拍子もないことを言い出すんですか?」


 やっと出てきた言葉に、彼はまたあっさり答える。


「そうですね。簡単に言うと貴女に何回か用事を依頼した時の貴女の仕事ぶりが気に入りました」

「何がでしょうか?具体的に教えていただけますか?」

「そうですね。わりと大雑把なようで詰めはきちんと出来ていました。要所要所の要は私が気にするこだわりポイントが押さえられていて、決してやり過ぎない。このさじ加減が難しいんです」

「さっぱり解りません」

「そうでしょうね。私の感覚的な事ですから。多分誰にも理解できないと思います。だからこそ説明もなく合うことが素晴らしく珍しく貴重です。それに加えて、貴女のお兄様の事務所が同じ建物内にあります。ですから貴女がこのマンションに出入りしても誰も不思議に思わない。変に目立って噂になるのは嫌ですからね」


 自分勝手なヤツ〜

 が第一印象。ごく身近に傲慢野郎がいたので慣れか?そんなに不快感はない。嫌ではない。が、言いなりになるのも癪に障る。どうしたものかと考える。

 難しい顔の咲希に、クックッと笑いながら


「今すぐ返事は求めていません。ここにたまに来てみて、仕事内容や居心地、私との相性を確認してからで構いません。まずはアルバイトでいかがでしょうか?」

「はあ、まあ………」

「ありがとうございます。では早速明日からお願いいたします」


 と鍵を渡され、暗証番号まで教えられた。いわばなし崩しというやつか?呆気に取られているうちにどんどん話は進んでいく。

 ちょっと待て。キャラ違ってないか?


 漆原はもっとこう……何て言うか……無口キャラ?

 表情が乏しいのは、まぁ今もそう変わらない。通常前髪と眼鏡で表情が見えにくいのもあるが。


 ここは仕方ない。しばらく様子見するか…


「ところで、貴女の話を伺ってませんでしたね。私で良ければ伺いますよ」


 もう今更どうでもいいことに思う……なんか気が抜けた感じだ。


「色々思い出してイライラしていたようです。もうどうでもいいような………それより、なんで兄のことをご存知なんでしょうか?」

「貴女は自分で思っているより有名ですよ。いつも一緒にいる織野さんも目立ちますが、若い女性達のイケメンに関する情報伝達網は呆れる程です。嫌でも耳に入ります。貴女の無頓着さに逆に驚きです」


 あぁ〜なるほど……納得です。

 覚えている限りちっちゃい頃から、それこそ幼稚園の頃からずっと兄達にまとわりつかれていたな。あれは思えば男避けだった訳だが。

 まとわりつかれてるのが当たり前過ぎて感覚が麻痺していたのか?

 そう言えば、大学入ってすぐは浅兄と常兄がやたら合コンセッティングしてたな。涼風と私だけカップリングしないように………涼風は気付いてなかったが完全に仕組まれていた。


 かなり吟味したメンバーで、その場は楽しく過ごしてもそれだけ。絶対後に続かない。私達二人共。

 何故?いつから?

 最初からだ。それこそ幼稚園の頃から。二人共だった。


 じゃあ、あの男、朱鳥絢汰は一体いつから関わっていたんだろう?

 私が生まれる前からわが家に出入りしていた。私には全く関心なかった。かけてもいい。それだけは絶対だ。

 じゃあ一体いつから涼風を?存在自体は昔から知っていたはず。目敏い男だ。見逃すはずがない。


 ある日突然二人は恋人同士になっていた。それまで何の接点もなかったはずなのに。涼風からあの男のことなんて一度も聞いたことなかったのに。突然二人は隙間も開かないくらいくっついてお互いしか見えてないみたいで、友人としては嬉しいけど複雑な気分。なんか取り残されたような………

 それに、その男で本当に良いのか?と………

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