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白雪姫side.4

文字数3ケタです。


凄まじい短さです。


今回非常に白雪姫がトチ狂っているので、遠目に見て「ふぅ~ん……」くらいの感じでお読みくださいませ。

 さながら城のような豪奢な一室で――いや、この国で言うのならば王城の部屋よりもよほどに豪奢な部屋である――ベッドの上、一人の少女がうずくまっている。自分の身を抱きしめるようにして、彼女は小刻みに震えていた。


「……っ、ぅ」


 透き通るように白い雪のような肌と、黒檀のような黒髪、そして血のように赤い唇。


 白雪姫である。


「……っ、く」


 白雪姫はしばらく苦痛に耐えるかのように小さく震えながらその場にうずくまっていた。


「ぅ……っ、はぁ……、ん、でよ、何で……」


 彼女はくぐもった声で口惜しそうに呟く。


「あと、もうちょっと、なのに……っ、あいつを、……それで、完成、するのに……っ」 


 恨み言のようにそう言い、やがて震えが収まると、鈍い動きで体を起こした。


 そして。


「……ふ、……あは」


 その赤い唇から零れたのは、笑い。

 他者を見下し蔑むような、嗤い。


 この世のすべてを呪うような、怨嗟を滲ませて彼女は低く声を絞り出す。


「……許せない、わ」


 白雪姫はそう呟くと、眼を見開くようにして凄まじい形相になった。


「私が、白雪姫なのよ……! 私はこの世で最も美しいの、誰よりかわいいの、誰より愛されるのよ! どうして森は私を受け入れないの!! 許さない、許さない、許さない許さない許さない!!」


 その時、白雪姫の叫びに呼応したのか、部屋の中央にふらりと人影が現れる。


 全身を漆黒に包んだ不吉な姿の女。死神姫だ。


「アナタ、現状把握しなさいな。どう考えても今森に向かうのは得策じゃあないわ」

「……ぃ、……るさい、うるさい! うるさい!! 私に指図しないで!!」


 怒気を孕んだ双眸が死神姫を捕える。死神姫はそれにため息をついた。


「ここまで同化がひどいなら……私もそろそろ介入が必要、かしら?」


 死神姫はそういうと、白雪姫に歩み寄った。それに白雪姫は何故か怯えるように後退る。


「な、何よ……近づかないで、来ないで!!」

「……」


 死神姫は感情の見えない瞳で白雪姫を見つめる。


「アナタが私を望んだのよ」


 そう言うと、死人のような白い顔が酷薄に笑みを刻む。その美しさと不気味さは、この世のものとは到底思えない。


「アナタが堕ちるなら――」


 死神姫は白雪姫の頬に触れ、そして告げた。


「私も共に堕ちるまで」

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