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38.apple

 目を凝らしてみると、木陰に隠れたその人物が、小さな影であることが知れる。


「……そこにいるのは、誰ですか?」


 尋ねてみると、木陰からぴょこんと影が飛び出す。


 現れたのは、茶色の髪を頭の横で二つに結わえていたのだろう、年端も行かぬ少女だった。年の頃はおそらく、五、六歳といったところだろう。

 頭の横で結わえていたのだろう、というのは、彼女の髪が片方だけ結えられておらず、そのまま肩に流れているところからの推察だ。可愛らしい赤と白のリボンで髪を結わえているその少女は、残りの髪を結わえるような様子は見せず、くしゃりと顔を歪めて大きな目にいっぱいの涙を湛えて私を見上げている。


「……あなたは……人間?」


 私がそう問うたのは、彼女の耳が尖っていないからだ。尖っていない丸みを帯びたそれは私と同じ、人間の耳に思われた。


 しかし少女が私の問いに答えることはなかった。何事かを小声でつぶやいたようだがその声が私に届くことはない。そのまま、一目散にどこかへ走り去ってしまう。


「ま、待って! 迷子ならあんまり歩き回らない方が――!」


 私は思わず少女を追いかけて駆け出し、小川を越えて――川からところどころ浮き出ている石を辿りながらだったのでかなり遅くはあったのだが――少女の消えた方を見やった。


 しかし少女の姿はどこにも見当たらない。


「……どうしよう。ここは迷いの森なんだから、人間じゃ私と同じように迷っちゃうのに……」

「どうしたノー?」

「うわぁ!?」


 いきなり背後から両肩に手を添えられ、私は飛び上がった。


「あはは、いい反応ー☆」

「あははじゃありません! 人で遊ばないでください!」

「いいじゃん楽しいんだカラ♪」

「私は楽しくないです!」

「ボクは楽しいヨ☆」

「楽しくないです!」

「ボクは楽しいデス~♪」


 さ、帰るヨ☆、と手を引かれる。


「え、どこに」

「どこって家に決まってるでショ♪ 何かここでやりたいことでもあるの?」

「やりたいこと、ってい言われると微妙なんですけど……さっきここで女の子を見て」

「女の子~?」


 私を連れて帰ろうとしていたスジェルクがこちらを振り返る。


「人間の女の子です。五、六歳くらいの」

「ここ近辺に人間なんてついぞ来ないけどなァ♪ ゲシュペンストでも見たんじゃナイ?」

「げしゅ……?」

「幽霊☆」

「ゆっ」

「ん? あれ、もしかして☆ ……幽霊、怖い、トカ?」

「ち、違います」

「ふーん? そーう☆ ……夜眠れないんじゃない? 一緒に寝てあげよっか☆」

「あ、それだけは勘弁してください」

「なぜ真顔!?」


 何げにショック、とかなんとかいいながらスジェルクは私の手を引き、結局そのまま帰ったのだった。

ここ最近更新が全然出来ていなくて更新をせっつかれた天音です。


読んでる人いるんだ……と若干驚きながら更新です。


そして未だに妖精7人組が出てこない! すみません。


次かその次くらいには出てくるかと思いますので気長にお待ちいただければ幸いです。





と、久々の更新がそれでもなんとなく申し訳ないので。


ちょっと道化師にバトンタッチしてミニイベントを。


それでは、どうぞ。





道化師;はい、バトンタッチ~。みんなこんばんは、人気者の道化師のおでましでーす


エルシャス;……にんきもの?


道化師;はいそこで疑惑の眼差しを向けない。さて、今回7人を集めたのは言うまでもありません。心の内を吐いてもらおうと思ってね


ユンファス;吐いて、って……いやいやなにそれ。僕これでも忙しいんだけど?


道化師;文句を言わない。元々はホワイトデーイベントやるつもりだったのにホワイトデー過ぎちゃったから、その埋め合わせ的なアレなんだよ?


シルヴィス;知りません、限りなくどうでもいいです


道化師;冷たぁい


ルーヴァス;で、何をすればこのよくわからない空間から脱出できるのだろうか?(真っ白な空間をみやり


道化師;うん、それね。みんながきちんと僕の質問に正直に答えてくれたら元の場所に返してあげるよ


カーチェス;……質問?


リリツァス;ひちっ、こういうのああいうんでしょ、ひちゅっ、えっと……プラバン侵入! へちゅっ


カーチェス;……プライバシー侵害?


リリツァス;へちっそうとも言うよね!


ノアフェス;……羊羹(ようかん)が食べたい


道化師;はい、好きなこと言ってないで僕に質問させてもらえる? じゃあ第一問。ズバリ! お姫様をどう思いますか!


ルーヴァス;……姫のことをどう思うか?


道化師;そうだよー。男所帯に花が一人だよ? 紅一点だよ? なんかこう、「あぁ、可愛いなぁ」的なことを思わないわけ?


ルーヴァス;何だかよくわからない考えだが……不幸にはなって欲しくない


道化師;ルーヴァス君それこの家の住人みんなに対して思ってることでしょ~


ルーヴァス;……まずいのか?


道化師;まずくはないけど、継母ちゃんに対する感じじゃないよねぇ


ルーヴァス;……難しいな。ならば……そうだな、この家にいるべきではないだろうと思っている


道化師;え、嫌いなの


ルーヴァス;嫌いではないが。好悪関係なく、彼女は特にこの家にいるべきでないと思っている


道化師;わけわかんない……もう少しこう、具体的に……好きなの嫌いなの?


ルーヴァス;……その二択なのか?


道化師;うん、どちらかといえばどっち?


ルーヴァス;……好印象ではある


道化師;じゃあ好きということで~。はい、ノアフェス君は


ノアフェス;俺も聞かれるのか?


道化師;みんなに聞くつもりだけど?


ノアフェス;……羊羹が欲しい


道化師;彼女についてどう思っているのかの質問に対してそれは答えになってないからね。きちんと答えようか


ノアフェス;……あまり興味がない


道化師;うわ、一番よろしくない答え。いじり甲斐がない


ノアフェス;お前にいじられなければならんいわれはない


道化師;何この一刀両断ぶり。清々しいねぇ。じゃあ好きか嫌いかの二択で答えてくれる?


ノアフェス;どうでもいいものに好きも嫌いもないな……だが、こちら側ではない以上、嫌いと答えておこう


道化師;おお、痛烈。彼女に言ったら泣くかも。あ、あの子なら泣かないかもな……じゃあシルヴィス君は?


シルヴィス;目障りです。以上


道化師;へ? ……え、それって僕が? 彼女が?


シルヴィス;両方ですが、何か?


道化師;何故そこで僕を巻き込む必要があるのさ!?


シルヴィス;正直にと仰ったから正直にきちんと答えて差し上げただけでしょう。何か文句でも?


道化師;……。じゃあ好きか嫌いかのにた、


シルヴィス;嫌いです


道化師;……。こわい。ええと、気を取り直して、じゃあ、カーチェス君は?


カーチェス;えっと……可哀想だな、とは思ってる。きっと、色んな苦労をしているだろうから


道化師;……。何かここに転生させた僕が悪者みたいになってる気がする……。まぁいいや、じゃあ好きか嫌いかの二択では?


カーチェス;嫌いではない、からなぁ……好きになるのかな? よく、わからないけど


道化師;ふぅん、君は女の子の姫が好きなんだ?


カーチェス;えっ? え、いや、そういうわけじゃ


道化師;なんで照れてるの~?


カーチェス;て、照れてないよ


道化師;ふふふー。面白い。まぁいいや、どうでも


カーチェス;どうでもいいなら俺で遊ばないでって……


道化師;リリツァス君は? 彼女のことをどう思う?


リリツァス;えっと……一緒にいると楽しいよ! へちっ。だから仲良くなりたい! はちゅちゅっ、うー、くしゃみが辛い……


道化師;万年花粉症ご苦労様~。で、リリツァス君は好きか嫌いかで言ったら?


リリツァス;好き? ひちゅっ。よくわかんないけど、ひちちっこの家にいる人みんな好きだよ。へちゅっ


道化師;あぁなに、あれ? 宇宙のみんなは友達さ♪的な聖人様?


リリツァス;えっ、なにそれ?


道化師;嫌いな人とかいないのってこと


リリツァス;うーん……誰かを傷つける人は嫌いかなぁへちゅっ。う、喉が痛い……へちっ


道化師;……。うん、次行こっと。ユンファス君は?


ユンファス;僕~?


道化師;そ。ユンファス君。君です。君は姫のことをどう思ってるのー?


ユンファス;どう思う、ねぇ……可愛い子だなぁ、とは思うよ?


道化師;わぁ、チャラ男


ユンファス;別にどうでもいいけど


道化師;えっ


ユンファス;だって可愛い女の子がいても別に関係ないし……なに? 僕をなんだと思ってるの?


道化師;とりあえずアンケートではチャラ男という意見しか聞いたことがないねぇ


ユンファス;僕のイメージひどくない?


道化師;さぁねー。じゃあ、好きか嫌いかの二択で言うのなら?


ユンファス;えー、そこはノアフェスと同意見? こちら側じゃないんだから嫌いだよ


道化師;……なんだ、こちら側って。まぁいいよ。最後、エルシャス君。エルシャス君は姫のことをどう思ってるの?


エルシャス;……ぐぅ


道化師;はいそこ、寝ない寝ない


エルシャス;……んん。……姫、やさしい


道化師;お、好意見? じゃあ好きか嫌いかで言うのなら?


エルシャス;……やさしい……すき


道化師;なるほどなるほどー。7人中4人からはとりあえず好印象みたいだよー。よかったね、継母ちゃん! ……まぁあくまで「知人としては好印象」、というだけだろうけど。さて、とりあえず僕の気が済んだのでイベントはこれにておしまいです。機会があれば、またね☆









……そんなこんなの、ホワイトデー埋め合わせイベントでした。


ほんの少しでもお楽しみいただけたら幸いですが……これは、無理だな。うん。


まぁ、とりあえず今回はこれにて。


次回でまたお会い致しましょう。


それでは以上、精神的ダメージを受けて立ち上がれない天音でした!

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