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24.apple

「……どう思う?」


 私の問いに、リオリムは目を伏せて考える仕草を見せた。


『……彼らが紙を渡したくない、と言う理由ですね』

「そう。高価でもないのに、渡したくないっていう理由がわからない。服は買い与えたのに紙は与えられないって、どういうことなのかな」


 “ここにいるという状況を考えて頂けませんか”


 先ほどのシルヴィスの言葉だ。


 ここ、というのは、森ということだろうか。それとも、この家にいるということだろうか?


 森にせよこの家にせよ、先ほどの言葉の真意は全くわからない。


 紙を渡したくない、ということしか伝えてこない妖精たち。


 彼らの思惑が不鮮明すぎて、私はどうすればいいのかわからなかった。


「……レシピはやっぱり、徹底的に頭に叩き込むしかないかな」


 苦笑混じりにそう言うと、リオリムは、


『理由はこの際置いておくこととして……紙がダメだというのなら、目的を話して何か記録できるものを貰う……というのは、いかがでしょうか』

「記録できるものを?」

『はい。紙を渡す事を拒んでいるのなら、別の記録手段を彼らから提案してもらえばよいのではないでしょうか? お嬢様は記録できればそれでいいわけですし、彼らも自分たちが納得できる手段を提案できるわけですから』


 なるほど、確かにそれもそうだ。


「後で訊いてみようかな。他の記録手段。――ありがとう、リオリム。凄くいい提案だと思う」

『恐れ入ります』






「――レシピを記録?」


 カーチェスは不思議そうな顔で聞き返してきた。


 私はあの後散々悩んだ挙句、結局は二階から降りてきたカーチェスを頼ることにした。


 シルヴィスは論外としても、ユンファスには先ほど紙の要求を断られたばかりだし、ルーヴァスも先ほど居合わせたから何となく言いにくい。エルシャスはあまり発言力が大きいようには見えないし、そもそも必要時――食事や入浴の時など――以外、寝ているのか一階には顔を出さない。リリツァスは真摯に話を聞いてくれそうだが、シルヴィス辺りに言いくるめられそうな気がする。ノアフェスは悪い人ではないだろうが、街への外出で反発をかなり食らったところから考えて私に好意を持っているとは考えにくい。


 などと考えた結果、相談役としてはカーチェスが一番適任な気がした。


 七人の会話を聞いていても、彼はかなり温厚な性格のようだし、何より私に対してかなり親切だ。街への外出の際も、彼は快く許可していた。今回の頼みごとも、真摯に聞いてくれそうな気がする。


「どうして、そんなことを?」

「ええっと、自分にできる料理を書き出しておきたいんです。忘れてしまわないように」

「……? 忘れそうなの?」

「なんというか……まぁ、はい」


 頷くと、カーチェスは考え込むように視線を動かした。


「うーん……どうしようかな」

「紙がダメなら別の記録方法をと思ったんです。そもそも何故紙を頂けないのかわかっていないんですが……あの、理由とか教えてもらえないでしょうか」

「あぁ……そうか。そうだよね」


 何故かカーチェスは納得したように頷いた。


「えっと、あの?」

「君がわからないっていうのなら……きっと、君はそのままでいたほうがいいんじゃないかな? じゃないと、君が傷ついてしまうかもしれない」


 ……傷つく?


 いきなり飛び出してきた単語に私は内心眉をひそめた。


「ええと」

「記録方法は……うーんと、そうだな。俺も、一応考えておくよ。料理のレシピが確認できればいいんだよね」

「はい」

「わかった。じゃあ何か考えておくから」


 カーチェスは優しく私に微笑みかけた。


 ……そういえば。彼は、私に対してどのような見解を持っているのだろうか?


 ルーヴァスのように私から距離を取るわけでもなければ、シルヴィスのように聞く耳を持たず拒否を示すわけでもない。彼は、私の意見をきちんと尊重してくれる。


 少なくともシルヴィスのように私を嫌ってはいない、と思ってもいいのだろうか?


「……優しいんですね、カーチェスって」


 突然転がり込んできた、お荷物でしかない私にさえ、紳士的に接してくれる。当たり前のようにそうしてくれる彼は、やはり優しいのだろう。


 しかし私がそう言うと、「え?」とカーチェスは呆けたようにつぶやき、それから数秒硬直(フリーズ)して、何これどうしたんだろ大丈夫かしらと私が声を掛けようとしたところで見る間に真っ赤になった。


「きゅ、急になんてこと言うの」

「え? なんかおかしなこと言いました?」

「いやおかしなことっていうか、その……ええと」


 困ったようにこめかみ辺りをせわしなく掻くカーチェス。目がウロウロしてるし……もしかして照れてるの、これ?


 ……今の私の言葉のどこにそこまで照れる要素が?


 とは口が裂けても言えないので、ごまかすように


「カーチェスって可愛いですね」


 といった。その途端に再びカーチェスの顔が硬直する。え、また照れるの、と私が瞬きした次の瞬間、今度は目に見えるほど彼は落ち込んだ表情になった。


「ええと……俺は一応、男、だから。可愛い、はあんまり……嬉しくない、かな……」

「あ、ごめんなさい」


 配慮が足りませんでした。


 そういえば、ここの住人たちはみんな凄く綺麗な顔立ちをしていて、かなり中性的な人が多いから男だってこと結構忘れがちかも。

 しかも何かみんな揃いも揃って髪を伸ばしているから余計……


 ……?


「……そういえば皆さん、髪長い人ばかりですね」


 私がそう言うと、逆にカーチェスの方が不思議そうな表情になった。


「妖精はみんなこんなものだと思うよ」

「そうなんですか? 皆さん狩人をされていると聞いていたので、お仕事的に邪魔そうだなって」

「まぁでも……切れないでしょ? 街にも行くんだから」


 と当たり前のように言われる。


 切れない? どういうことだろう。街にも行くのだから、というのと、髪を伸ばす理由が全く頭の中で重ならない。


 しかしカーチェスがあまりにも当然のように言ったので、問い返すのも気が引けた。


 あまり無闇矢鱈に質問を重ねて、相手からこの世界での「常識」を知らないと不信感を抱かれてはいけない。おかしいと判断されて放り出されたら御終いだ。


「そ、そうですよね」


 私が繕うように頷くと、カーチェスは「じゃあ、考えておくね」と手を振って二階へと去っていった。

お待たせいたしました。

アンケートの集計が終わりましたので、発表させていただきます!


アンケートにご参加くださいました皆様、多くのご意見本当にありがとうございました!


では、結果を発表いたします。




人気キャラ投票



1位;主人公


とにかく主人公は人気で、前回と同じく、過半数の票を獲得するという凄まじい暴走っぷりでした。

愛されているなぁ、と伝わってきて著者としても嬉しかったです。

幸せになって欲しい、という意見が多数寄せられた彼女ですが、果たしてその運命は?

どうぞ、見守ってやってくださいませ。



2位;リオリム


こちらも前回同様2位を獲得しました。

執事というキャラが大変良いみたいですね。そして主人公に尽くす姿勢が、何より好印象なようです。

彼の印象はまた後ほど。



同率5位;ルーヴァス、リリツァス、エルシャス


前回かなり下位だったルーヴァスですが、何故かここまで票を伸ばしてきました。な、何が受けたのでしょうか(汗

リリツァス、エルシャスはかなり可愛さが影響してますかね。

彼らの印象もまた後ほど。





では次の質問へ。



主人公は好きですか?



これ……結果がかなり不安な質問ではあったのです。


いいえ、と答えられたらどうしようかなぁ、と。


まあ話を進める上で絶対に欠かせないキャラなので、主人公が嫌いな人はままてんはちょっと難しいかな、なんて思っておりまして。



そして、結果はこうでした。



主人公が好き;100パーセント

主人公が好きでない;0パーセント



すごいですねこれ!?


正直100パーセントとは思っていませんでした。


かなり主人公は好印象な様子。安堵いたしました。





さてさて、質問はまだまだ続きます。



主人公の過去は知りたいですか?



この質問の結果によって、攻略キャラクターを変えるつもりでした。


端的に申しますと、攻略キャラが一人増える、減る、ということにつながる質問だったわけです。



結果は……



過去が知りたい;80.6パーセント

過去が知りたくない;19.4パーセント



過半数どころか大半の票が「過去が気になる」方に入ったようです。

というわけで、攻略キャラクター1名を追加いたしました。


わーい僕の仕事が増えたぞー。とか馬鹿な発言は置いておいて。


「え、主人公の過去出てくるの」と顔をしかめられたそこの貴方。

どうぞご安心ください。


主人公の過去、と言っても全くもって特殊な過去ではありません。

かなりぼかした書き方で、誰にでもありがちな過去を書かせていただきます。


というわけで、なんか感情移入できないわ……という状態にはならないと思うので、どうぞご安心下さいませ。





それでは。


今回の本題に参りたいと思います。


各キャラクターの印象。



なんと、一人に対して5、6行書き込んで下さった方もいらしました。


丁寧なご意見、本当に参考になりました。ありがとうございました。



それでは発表したいと思います。



まずは、彼から!




ルーヴァスの印象;大人 真面目 いい人そう 紳士 頼りになる 妖精7人のトップ(まとめ役)


はい。なんとなく、予想通りの意見が集まりました。主人公を受け入れたり、仲間のうちに失言があれば諌めたりする姿勢が紳士的に写ったようです。彼に関してはかなり好


印象な意見が多かったですね。



ノアフェス;無口 武士 黒い(服装的に) 天然? いまいちつかめない 日本人っぽい


ノアフェスもかなり予想通りの意見が多かったキャラです。いまいち掴めない、といったご意見はルーヴァスと口調などが若干似ているからかもしれませんね。うーん……まぁ、いずれはかなり違ってくると思うので今後にご期待下さい(汗



シルヴィス;ツンデレ 毒舌 神経質 冷たい感じ メガネしてそう 鬼畜


彼はかなり好悪の分かれたキャラですね。とにかく嫌いだという方もいらっしゃれば早くデレて欲しい、この先が気になるといった意見も多く集まりました。シルヴィスが好きだという方は……後々、期待していてくださいね。このままではございませんので。色々変わってくれるキャラですよ!



カーチェス;はにかみが可愛い お兄ちゃん 紳士的 温和 中学生っぽい 優しい


全体的に好印象な意見が集まったキャラです。主人公への穏やかな態度や、よくはにかむ辺りが良かったのかな? 彼が好きだという方は――ええと、覚悟しておいてください(え 話が進むにつれて、かなり主人公からの印象は変化してくるキャラです。他キャラにはない緊迫感があるかと。



ユンファス;チャラ男 一番過去が暗そう 外面を作ってる? 怖い 曲者 腹黒


はい、チャラ男さまですね。まぁ、彼を知るにつれて微妙にそうは言いにくくなるかもしれませんが。過去が暗そう、怖いといった声が多かったですね。まぁエルシャスの例の1件の前に主人公を笑顔で送り出した人物ですから、それ相応の性格はしていると思ってください。ある時点までは、ほとんど印象は変わらないんじゃないかな。人によっては一番ダメなキャラかも。



リリツァス;くしゃみが可哀想 可愛い お大事に 女子力高い ムードメーカー いい子


もうとにかく可愛いという意見が集まったキャラです。あと、くしゃみ可哀想、という声が。彼はそうですね、性格的な意味ではあんまり……いや、どうだろう。とりあえず、どう転んでも主人公に好意的であるということだけは保証いたします(笑 でも、主人公が行動を間違えると――皆様、泣かされるかもしれませんよ?



エルシャス;怖い ぼんやり 可愛い ヤンデレっぽい 無口 子供っぽい


シルヴィス同様、意見が真っ二つに別れたキャラです。例の1件がかなり響いているみたいですね。でもそれを考慮しても好きだという声も多かったキャラです。彼は容姿同様、子供らしい悲しみや辛さをストレートにぶつけてくるキャラです。あなたは受け止めてあげられるでしょうか――?



リオリム;優しい ヤンデレっぽい 理想の男性像 紳士的 頼りになりそう 完璧


なんとなーくヤンデレっぽいという声もちらほら出た方です。え、そうかなぁ? と見返してみましたが、まぁ主人公を必死で守るあたりそう見えるかもしれませんね。実は彼が今回のアンケートで正式に攻略を決定したキャラでした。ちょっと面倒くさいシナリオになるから外そうかなぁ、と思っていたのですが。まぁ、人気投票でも2位ですし外せないですね……




では、最後の質問。



ままてんの感想は?


かなり参考になる意見が多く寄せられました。ありがとうございました。


それでは、こちらからどうぞ。



白雪姫視点が好き


妖精の過去が気になる


主人公大好き。幸せになって欲しい


白雪姫コテンパンになればいいのに


登場人物に特徴がないためわかりにくい


主人公が継母というのが新鮮、斬新



なんとなく、まとめてみるとこんな感じですかね。


白雪姫ざまぁみろ展開は大変希望が多いです(笑

ただ逆に、それはそれで適当に片付けて欲しい、という声も。



登場人物に特徴がない。これは、僕も薄々は感じていたことです。

特にルーヴァスとノアフェスは判別がつきにくいキャラですね。

そういった面も、話が進むにつれて変えて行けるといいなと思っております。

頑張ります。


妖精の過去はかなり気になっている方が多いみたいですね。

彼ら全員に共通するものは割合早く明かされるとは思いますが、個別となると……ちょっと微妙ですね。

かなり遅くなるだけならいいのですが、連載しない可能性も……無きにしも非ず。というのもままてんかなり長期計画の作品ですので、彼らの個別の過去まで連載すると面倒なことになりかねないんですよね……

まぁこれも読者様方の反応を見て、ですかね。





といったあたりで、アンケート結果発表は終了でございます。いかがでしたでしょうか?


アンケートにご参加いただきました皆様には深くお礼を申し上げます。

24日、クリスマスイブということで、クリスマスプレゼントも兼ねてかなりのボリュームに仕上げた特典が皆様のお手元に届いていることかと存じます。もし万一お手元に届いていないなどの不備がございましたらどうぞ気兼ねなくご一報下さいませ。



アンケート回答、重ね重ね、本当にありがとうございました!









さて。まだまだ今回はあとがきは終わりません。


次は。


先日より予告致しておりました企画の始まりでございます!





というわけでゲストをお呼びいたしました。


ゲストさん、どうぞ!



エルシャス;……



寝ながら歩かないでくださいね、ええ。


では早速、企画を進めていきたいと思います。


今回の企画は、こちらです!



「妖精たちの自己紹介コーナー」



エルシャス;……ぐぅ



だから寝ないでくださいってば。はい起きて



エルシャス;あ、枕……



取り上げです。質問に答えてくれたらお返しします。



エルシャス;……(しょぼん



では質問にお答えください。

第1の質問。


趣味はなんですか?



エルシャス;寝ること……



元も子もないですね。それ最初っからわかりきってる答えなんですが……まあいいや、では次の、



エルシャス;あと、料理は……得意



得意!?!? ……ああいえ、何でもありません。では次。

第2の質問。


好きな食べ物、嫌いな食べ物は?



エルシャス;とくにない……でも……コーヒーはダメ



苦いの苦手とか?



エルシャス;ううん……寝れなくなる



どんだけ寝る気ですか



エルシャス;生きてる間……ずっと寝てたい……



……。では次の質問です。

第3の質問。


今欲しいものは?



エルシャス;まくら……



それ以外でお願いします



エルシャス;いい眠り……



抽象的なものはお控えください



エルシャス;…………。とくにない



寝ることしか頭にないんですね、本当に……



エルシャス;ダメ……?



いえもういいです諦めました。


では次の質問に。

第4の質問です。


宝物はなに?



エルシャス;クマのぬいぐるみ……



いつも持っているそれですか? 宝物なんですね



エルシャス;これ……大事。たいせつ



なるほど……大事だからいつも持ち歩いてるんですか?



エルシャス;ううん……まくらにするため



はい!? 全然大事にしてないじゃないですか!!


っていうかそれ枕にできるなら僕が枕を取り上げたことに意味はないんじゃ


エルシャス;今は……寝させてくれないんでしょ……?



……なんか拷問しているみたいでやだな。


では最後の質問に移ります。

第5の質問。


もし一つだけ願いが叶うなら?



エルシャス;……。寝ているだけで生きていける世界になったら……いいなぁ……



なんか仕事とか時代に疲れた人みたいになってますけど……大丈夫ですか?



エルシャス;ねたい



はいごめんなさい


では一応質問は終わりですので帰っていいですよ。はい、枕です



エルシャス;ありがと……ばいばい



はい、気をつけてお帰りください


……。


…………。


………………。



あの子、生きていけるのかなぁ……






などと何となく心配になりつつも、本日のコーナーはおしまいです。


いかがでしたか?




次回のコーナーをお楽しみに!

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