21.apple
ハロウィンでした!
ということで、おふざけ満開なことが下の方にあります。
そういうのがダメな人は回れ右! でございます。
それでは、やや遅ればせながら、どうぞ!
「……足が痛い……」
部屋に戻ると、私はぐったりとしながらベッドに倒れ込んだ。
夕食と食事を終え、もう寝るだけとなった私は今日買ってきた服を今一度見直してみる。今着ている着心地のいい寝巻きと、あと外出用の服数枚、加えてルームウェアが数枚。その上靴まで買ってもらった。なかなか奮発してくれたといえよう。
とはいえ。
「……ちょっとこれとかは可愛すぎる気がするんだけど……」
買ってもらった下着以外の服の半分以上は、私ではなく、リリツァスやユンファス辺りが選んでくれたものだった。露出度は極力控えめで、と頼むと一応従ってはくれたものの、それにしたって可愛らしいものが多い。
「リオリム、どう思う?」
私が机の上に置いた鏡に問うと、『良いのではありませんか?』と穏やかな答えが返ってきた。
『お嬢様はどんなものでもお似合いになりますよ』
「そうかなぁ」
『ええ。……もっとご自分に自信を持たれてください、お嬢様。お嬢様は、本当に素敵な女性なのですから』
ね?と微笑むリオリム。
「でもこういう感じの服は全然着ないから、なんか違和感が」
『良いのでは? どれもお嬢様に大変お似合いです。とっても可愛らしいですよ』
含みのない言い方に、私は俯く。彼は心から言ってくれているのだろう、だから何だかいたたまれないのだった。
服を見て眉尻を下げる。本当に似合う服だろうか……
『……ですが……』
やや低められた声に、「え?」と振り返ると、『あ……いえ、何でも』とリオリムは首を振った。しかし、気になったので私は鏡を覗き込んだ。
「なに?」
『いえ……その。街のことなのですが』
「街がどうかした?」
私の問いに、リオリムは思案顔になった。
『……おかしいとは、思われませんでしたか』
「何が?」
『街の様子です』
「……?」
よくわからず、首を傾げると、彼は険しい表情でこう言ってきた。
『街の様子を、どう思われました?』
「よ、様子? ええと……賑やかだった……とか?」
『ええ。そう、不自然なほど賑やかでした』
「……え?」
リオリムの言っていることがよくわからない。
「不自然って……どこが?」
『賑やかとは、即ち豊かということでしょう。しかしおかしいとは思われませんか? 今この国は、財政に問題があるはずですよ。それにしては、随分と街が豊かではありませんか』
「街が豊かだと、おかしいの?」
『街が豊かなら、何とでも財政を立て直すことができるはずです。税金を上げるとか、そういった方法で。ですがこの国はそれをしていない。そしてそれで尚、王国として成り立っている。これはとても不自然なことではないでしょうか?』
「……」
なるほど。
確かに、それは考えていなかった。
この国は……白雪姫のせいで財政危機にあるんだっけ。いやでも、彼女が強奪を繰り返すから、というだけで財政危機にあるとは思いにくい。何かもっと他の理由もあるだろう。
それなのに、街は豊かで。けれど、国は何もしていなくて……?
「……確かに、不自然、かも」
私がそう言うと、リオリムは『しかし』と笑った。
『これは、我々が今考えても詮無きこと。ですから、お嬢様には言わずにいようと思ったのですが』
「まぁ、確かに今の私じゃどうしようもないもんね」
今は、そんな大きなことよりも自分の身の危険をどうにかする方が大切だ。
「……考えても仕方ないし、今日はもう寝るかな」
『ええ、そうされて下さい。街に出かけられて、今日はお疲れでしょう。どうぞごゆっくりお休みになられてください』
「ありがと。リオリムもね。おやすみ」
『おやすみなさいませ。どうぞ、良い夢を』
そうして、私は眠りについたのだった。
ギシ、ギシ、と床の軋む音が、静かな家の中に響いた。
「……」
その人物は、どこか頼りなげな足取りで家をそっと抜け出す。そうして、夜空に浮かぶ月を認め、目を細めた。
そよぐ風に、美しい銀の髪が揺れる。
「……本当に、正しいのだろうか」
自分の手を見やり、彼――ルーヴァスは小さく呟いた。
「……このような身で、誰かの傍にあるべきではない。それは、もう、痛いほど――」
わかっている、はずなのに。
吐息のような浅い声が細く紡がれ、大気に溶ける。
その時、空から何かが舞い降りてきた。
それは、真っ直ぐに彼の元へ舞い降り――そして、彼が伸ばした腕に留まる。
「……すまないな」
ルーヴァスはそう言うとそれ――美しい純白の鳥を、そっと撫ぜる。そして鳥の咥えた紙を手にとった。それを理解したのか、鳥は腕から離れて彼の肩に留まる。
ルーヴァスは丸められた紙を広げると紙面に視線を走らせた。
「……。なるほど。何故このような夜分に、とも思ったが」
紙を畳み、顔をしかめる。
手紙の内容は先日の依頼についてだった。依頼に対する変更点を手短に書かれたそれを、ルーヴァスは手のひらから生じさせた小さな炎で燃やしてしまう。
「長丁場になりそうだな」
そう言って鳥を撫ぜる。鳥は目を細めると、ルーヴァスの頬に頭を摺り寄せた。
「――もう一つ、仕事を頼んでもいいか?」
ルーヴァスが問いかけると、鳥は短く一鳴きする。それにルーヴァスは頬を緩めると、懐から一通の手紙を取り出して鳥に差し出す。鳥はそれを咥えて彼の肩を離れた。
「母上へ、届けてくれ」
それを聞くと、鳥はすぐさま飛び立っていった。
「……一人にしていることを、許して欲しい」
そう呟くと、ルーヴァスは今一度月を見上げ――やがて、家へと戻っていった。
ハッピーハロウィン!
はい、騒ぎつつ天音でございます、えへ。
とか調子に乗ってバカなことを言いつつ。
今日は、ハロウィンでしたね。
僕はといえば、まぁ、なんというか平常運転でした。
お菓子を渡そうとする人は沢山いたんですが、ことごとく断り。まぁ若干一名お菓子を僕に半ば無理やり押し付けて逃げていった友人もいましたが(笑)、基本的には物は貰わない性分なので、平常運転です。
そして、ままてんも平常運転ですかね。今回は若干不穏?な感じで終わりました。
僕とままてんはこんなでしたが、皆様はどんなハロウィンになったでしょうか。
「忙しくて忘れてたわ」という方もいらっしゃいそうなので、ここでちょっと余興を。
皆様にハロウィンを少しでも感じていただけると良いのですが。
それでは、どうぞ!
※本編とは無関係の内容となっております。ご了承の上、お読みくださいますようお願い致します。
???;継母ちゃん、トリックオアトリート!
主人公;…………
???;うん少しは反応しようか。いくら僕でも無反応は寂しいからね
主人公;……何の用?
???;冷たいなぁ。用は最初に言ったよ? トリックオアトリート!
主人公;……人を勝手に意味のわかんない世界に放り込んで、「トリックオアトリート」? どういう神経してるの?
道化師;……ええと、不機嫌?
主人公;誘拐犯を見たら誰でも不機嫌になるんじゃないかなぁ?
道化師;……。ええと、話を戻そう。継母ちゃんにとあるミッションをこなして欲しいんですが!
主人公;やだ
道化師;あの
主人公;嫌だ
道化師;…………。ああ、うん。あれだよね。興味あるけど素直に言えない。お年頃、思春期ってやつだね! いやぁ、若いっていいねぇ。はい、話を戻しましょう。継母ちゃんにはミッションをこなしてもらいます。これはもう決定事項ね。決定事項。覆せません
主人公;嫌だって言ったら?
道化師;そしたらー……うん、君をもう一度転生させよう。今度は人間じゃなくて林檎。白雪姫に食べられる毒林檎に生まれ変わらせてあげるよ
主人公;……
道化師;はい継母ちゃんが素直になったところで話を進めます。ミッションはこれ。題して、「みんな、トリックオアトリート! 私にお菓子を頂戴! じゃないとイタズラしちゃうぞん☆」です
主人公;……頭悪そう……
道化師;……。あの、寝ずに計画立てた僕を地味に落ち込ませないでくれるかな。はい、説明続けます。君にはこれから、7人の所に行って「トリックオアトリート★」って言ってお菓子とかをもらってきてもらいます
主人公;あの7人がくれるわけないと思うけど……っていうか私は居候だよ? シルヴィスあたりには初めに殺されかけた人ですよ? 身分履き違えてるよね?
道化師;なんでそこでそんなに自分を卑下するのー
主人公;事実だと思います。っていうかこの世界でハロウィンって通用するの
道化師;あ、通用するよ。事実って……まぁいいじゃない。もらえるものはもらっておけばいいんだよ。で、全員からお菓子をもらってこれたら、僕からもいい物をあげるね
主人公;いりません
道化師;ちなみに受け取ってくれなかったら君が死ぬほど怖い目に遭う呪いをかけてあるからね
主人公;尚更受けとりたくない!!
道化師;ちなみに7人から何か物をもらってきても、それがプレゼントには見えないものだったら却下ね。例えばえーと……なんだろ。コウモリの死骸とか?
主人公;そんなものは受け取らない!!
道化師;うん、だろうね。あ、誰かひとりでも貰えなかったとしたら……ふふふ。……じゃ、はい、ミッションスタート!!
~リビングにて~
主人公;……おかしいと思うわけ
リオリム;お嬢様……
主人公;ここに放り込まれただけでもね、憤慨ものよ? 私滅茶苦茶怒ってるからね? なのに何この脅しとアホみたいな計画!? まったり休んでいたらこの仕打ち! 私が一体何をしたというの!!
リオリム;お嬢様、あまり大きな声をお出しになられては他の方に聞かれてしまいます
主人公;あ、そうだった……はぁ、寝たい
リオリム;少しの辛抱にございます、お嬢様。――! 2階から誰か――
主人公;……(鏡をしまい込み
ユンファス;あ、姫じゃない。どうしたの、こんなに朝早くに
主人公;あ、あはは……なんか、目が覚めちゃったんです(本当はあの道化師にたたき起こされたのだけれど!
ユンファス;おお~早起きかぁ、えらいね~
主人公;ええと、あの、ユンファス……
ユンファス;ん?
主人公;……。……(言えない! こんな身分を履き違えてるとしか思えないようなこと!!
ユンファス;どうしたの? 俯いちゃって。姫はどんな時でも可愛いけど、顔がきちんと見れないのは少し寂しいかな?
主人公;えっ……と(ユンファスを見上げ
ユンファス;……姫……?
主人公;と……とり……とりっ……きょうは焼き鳥にします!!
ユンファス;……へ? 焼き鳥?
主人公;……
ユンファス;……
主人公;……っ(違う! 私は何を言ってるの!! 焼き鳥にしますじゃない! ご飯の話をしに来たわけじゃない!! お菓子をもらいに来たんだろう私!! 何言ってるんだ!!
ユンファス;……ぷっ、あはは!! 焼き鳥って! 朝からなに!?
主人公;えーと……
ユンファス;姫、トリックオアトリートって言いたかったの?
主人公;えっ? ど、どうしてわかったんですか?
ユンファス;まぁ、今日はハロウィンだしね。とり……なんて言われたら何となく察しがつくよ。どこぞの朴念仁じゃあるまいし
主人公;ぼくねん……?
ユンファス;銀色堅物のことー。まぁいいや、さっきの上目遣いは結構グッときたから、姫にいいものあげるよ
主人公;ほっ、本当ですか!?
ユンファス;うん。あ、お菓子じゃないけどいい? 今お菓子切らしてるんだよね
主人公;あ……はい、大丈夫です(大丈夫。……ということにしておけば怖くない!
ユンファス;じゃあ、ちょっと待っててね~(2階に行き
ユンファス;はい、お待たせ
主人公;プレゼント箱……?
ユンファス;そ。開けてみて
主人公;……わぁ! 綺麗!
ユンファス;フラワーアレンジメント、っていうのかな? 当分枯れないから部屋に飾っておくと部屋の中が華やぐかもね
主人公;素敵です。ありがとうございます!
ユンファス;うん、可愛い姫へのプレゼントだからね。大事にしてくれたら嬉しいな?
主人公;大切に飾っておきますね!
ユンファス;ん、ありがと。じゃぁね~
主人公;え、朝ごはんは……?
ユンファス;今日はシルヴィスの当番だからね。シルヴィスが起きてくるまで散歩でもしてるよ。じゃね~(家を出ていく
主人公;……行っちゃった
???;あれ……もう起きてるの? 早起きなんだね
主人公;あ、カーチェス。おはようございます。カーチェスはいつも朝、これぐらいに起きてるんですか?
カーチェス;おはよう。俺は今起きたところだよ。いつもはもう少し遅いかな(はにかみつつ
主人公;そうなんですか……(……どうしよう……切り出せない!
カーチェス;……姫?
主人公;はいっ!?
カーチェス;ど、どうしたの? なんかすごく眉間に皺が寄っているけれど
主人公;えっ、そ、そうですか?
カーチェス;うん。何か悩み事? 俺でよければ相談に乗るよ
主人公;あの、カーチェス……
カーチェス;うん
主人公;……(俯き
カーチェス;……?
主人公;……。……えっと……(カーチェスを見上げ
カーチェス;……っ、な、なに?(見る間に真っ赤になる
主人公;……? あの……と、とりっく……と、とと……トリックオアトリート!(……。言ってしまった! 身分を履き違えてるとしか思えないセリフを!!
カーチェス;あ、……あぁ、そういうこと……(赤い顔を片手で隠しつつ
主人公;ご、ごめんなさいっ、図々しいですよね!(とはいえ「だったらなんで言ったんだ」って怒られそうだけど! 怒られても何も言えないけど!
カーチェス;そ、そんなことないよ。そうだよね、今日はハロウィンだもんね、そうだよね……
主人公;……えっと、顔が赤いけど、大丈夫ですか……?
カーチェス;っ大丈夫! 何でもないから!
主人公;そ、そうですか? えーと……。……? なんの話をしていたんだっけ
カーチェス;ええと、ハロウィンの話じゃないかな
主人公;あ、あぁそうでした。忘れたら私がまさかの毒林檎に……
カーチェス;?
主人公;何でもないです! どうもまだ寝ぼけてるみたいで……あはは
カーチェス;えーと……そうだ、眠いならあのキャンディをあげようかな?
主人公;キャンディ!?
カーチェス;え? あ、あぁ、うん……?
主人公;あ、えっとすみません。……キャンディが大好きなんです(と、いうことにしておこう。とりあえずお菓子だお菓子!
カーチェス;そうなの? そっか、女の子は甘いものが好きなんだって聞いたことがあるな。うん、部屋からとってくるね(2階へ行く
主人公;……リオリム。私、思いっきり不審だったよね
リオリム;……。……お嬢様は、いつ何時も可愛らしいです
主人公;…………心にしみる…………
カーチェス;はい、どうぞ(キャンディバーを3本ほど差し出し
主人公;わ、可愛い! これ、いいんですか?
カーチェス;うん、どうぞ。俺は食べないからね
主人公;えっと……(なんで持ってるのかな……?
カーチェス;……ふふ、変だよね、こんなの持ってたら
主人公;そんなことないですけど……食べないんですか?
カーチェス;……うん。甘いものは、あんまり得意じゃないんだ
主人公;えっ、そうなんですか?
カーチェス;――そうだよ。だから、これは、君に
主人公;ありがとうございます……?
カーチェス;俺は、散歩がてらちょっと街に行ってくるよ。夕方まで帰らないかもしれないから、みんなに伝えておいて
主人公;あ、わかりました。いってらっしゃい
カーチェス;――行ってきます(はにかみながら微笑み、外へ出ていく
主人公;カーチェスも行っちゃった……っわぁ!?
ノアフェス;……
主人公;え、あ、お、おはようございます?(け、気配無かった! 気配無かったから!! 怖いから!
ノアフェス;……(こく
主人公;……(……このままトリックオアトリートって言ったら、どうなるだろ。怒られるかな? いやでも毒林檎にされるよりはマシ! 当たって砕けろ私! できれば砕
けたくないけどね!!
ノアフェス;……
主人公;……とりっ……トリックオアトリート!
ノアフェス;……
主人公;……
ノアフェス;……
主人公;……
ノアフェス;とりっくおあとりーと(手を差し出し
主人公;……え。は? え、ちょっ……あの(……要求された!?
ノアフェス;……
主人公;……
ノアフェス;……(ぼー
主人公;(……寝ぼけてる!?
ノアフェス;……
主人公;えーと、ノアフェス。あの……えっと。なんというか……。……っていうか寝ぼけてるのならもうあれか。何言っても大丈夫か。あの、お菓子ください
ノアフェス;……
主人公;……
ノアフェス;……
主人公;……(た、単刀直入すぎた? 怒った? この人無表情だからいまいち何考えてんだかよくわかんないんだよね……
ノアフェス;……手
主人公;は……?
ノアフェス;……ぽん(主人公の手を握って掌を上に向けさせ、懐から何かの袋を出して掌に乗せてくれる
主人公;……なんだこれ
ノアフェス;……(無言のまま立ち去る
主人公;……。……かりんとう?
リオリム;……かりんとう……?
主人公;……みたい
リオリム;ハロウィンに……?
主人公;……ま、まぁかりんとうもお菓子だよね。うん。お菓子だお菓子。順調だ私。……かりんとう……
リオリム;……
主人公;……
リオリム;……世の中にはいろんな方がいらっしゃいますから
主人公;……うん(……にしてもなんで懐にかりんとうの袋が……
~昼すぎ~
主人公;ごちそうさまー……美味しかったぁ
シルヴィス;お粗末さまでした。早く皿を渡しなさい
主人公;あ、ありがとうございます
シルヴィス;あなたもですよ、エルシャス。早くしなさい
エルシャス;……むぃー(シルヴィスの髪を引っ張る
シルヴィス:いった!! 何です、喧嘩を売っているんですか!?
エルシャス;ごちそうさま……
主人公;……まるで会話が噛み合っていない……
ルーヴァス;……気にするな
ユンファス;そうそ、エルシャスに関してはいつも話がかみ合わないからね~。さて、僕はまた散歩に行こーっと。あ、シルヴィス、皿ホイ
シルヴィス;皿を投げないでください!! 全く……
ルーヴァス;私も皿洗いを手伝ったほうがいいだろうか?
シルヴィス;結構です。あなたはそこの夢の中爆走中の寝ぼけた子供をどうにかしてください
ユンファス;子供もなにも、シルヴィス、エルシャスとそんなに歳変わらないん
シルヴィス;黙りなさいそれとも永遠に黙らせて差し上げましょうか?
ユンファス;お散歩いってきまーす(足早に立ち去る
ルーヴァス;エルシャス、寝るなら自室にしてくれ
エルシャス;……ぬー
ルーヴァス;……完全に夢の中か。仕方ない、今なら大丈夫だろうしこのまま寝かせておいてやるか……(自室へ向かう
主人公;えっ放っておくの? ……エルシャスー?
エルシャス;ふみゅぅ
主人公;……。……トリックオアトリート……(エルシャスの耳に囁き
エルシャス;……(突然主人公に抱きつく
主人公;えっ!? えちょっ……あのエルシャスえっと
エルシャス;……みゅぐー……
主人公;あの、えっと、……ってか凄い力で抱きつかれて全然離れないんだけど!? 何この力!?
エルシャス;……くまさん……
主人公;くまさんじゃない!! 私くまさんじゃないから!! I am not Kumasan!!
エルシャス;……すー
主人公;……ど、どうしよう。真面目に離れないんだけどこの子。あの、エルシャス?
エルシャス;……くまさん……
主人公;違うってば!?
エルシャス;……あげる
主人公;?(ポケットになにか捻じまれる
エルシャス;くまさん……木の上で……一緒に……おひるね……しよ……
主人公;いやいやいや!! どんな夢見てるの!! ってか私くまさんじゃないからね、人間だから
エルシャス;くまさん……
主人公;違うって!
ルーヴァス;……何事だ?(2階から下りてくる
主人公;あ、ルーヴァス! 助けてください!
ルーヴァス;……。……どういう状況だ……?
主人公;私が悪かったんです! トリックオアトリートとか身分不相応な履き違え発言をしたら……!
ルーヴァス;……。エルシャス、離れろ(エルシャスの腕をやや強引に掴んで離し
主人公;あ、ありがとうございます……(うなだれ
ルーヴァス;……。姫
主人公;は、はい!
ルーヴァス;少し付き合ってもらえないだろうか?
主人公;? はい
~しばらく後のリビング~
主人公;ええと、あの、ルーヴァス?
ルーヴァス;何だろうか
主人公;これは一体……?
ルーヴァス;紅茶だ
主人公;それはその、わかるんですが、えっと?
ルーヴァス;今、少し事情があって大量に茶葉があってな。紅茶が嫌いでなければ、少しティータイムに付き合って欲しい
主人公;あ、なるほど
ルーヴァス;……
主人公;……
ルーヴァス;……
主人公;……(もしかして、リビングで困り果ててる私に見かねてお茶を振舞ってくれたのかな? エルシャスの横に彼が座ってるし、彼の牽制の意味もあったりして……
ルーヴァス;よし、そろそろいいだろう(紅茶を注ぎ始め
主人公;不思議な色のお茶ですね
ルーヴァス;私が他の茶葉をブレンドしたからな。やや赤っぽいのはそのせいだ。あなたの口に合えば良いのだが――どうぞ
主人公;ありがとうございます。――わ、いい香り
ルーヴァス;それから……これを
主人公;?
ルーヴァス;あなたがここに来て、楽でないことも多々あっただろうから。大したものではないが、受け取ってもらえると嬉しい。――ハッピーハロウィン
主人公;あ……(もしかして、そのために?
ルーヴァス;……やはり、おかしいだろうか?
主人公;え? なにがですか?
ルーヴァス;あなたは一国の姫君であり、そして女王でもある。そんな女性にこのような粗品はやはり相応しくないかと
主人公;そんな! お気持ちだけでも十分嬉しいです。頂いてもいいんですか?
ルーヴァス;あなたが嫌でなければ、受け取ってくれ。私が好みでブレンドした紅茶の茶葉と、茶菓子だ
主人公;嬉しいです……ありがとうございます!
ルーヴァス;……そんなに……喜んでもらえるようなものではないのだが
主人公;だとしても、嬉しいです。ありがとうございます
ルーヴァス;……そうか
主人公;……(やっぱり、ルーヴァス、優しい人なんだろうな……
???;あ! 3人へちっでなんか楽しそうなことしてる! へくちっずるいずるい! 俺も混ぜてへくちっ混ぜてー!
主人公;あ、リリツァス。おはようございます
リリツァス;うんおはっちよー!
ルーヴァス;もはやおはようの時間ではない上に昼食も終わったが……
リリツァス;昨日夜更かしへちっしちゃって。そしたらは……はっちゅん寝坊しちゃったんだ
ルーヴァス;夜更かし?
リリツァス;そう。――姫姫ひちっ
主人公;はい?
リリツァス;手を出して、手! へちゅっ
主人公;手……? ええと、これでいいですか?(両手を差し出し
リリツァス;そう、目を閉じて! へくしゅっ
主人公;? はい
リリツァス;えへへ。……ハッピーはっくしゅんハロウィン!(主人公の手に何かを載せ
主人公;? えと……
リリツァス;もう目を開けてもいいよ! へちっ
主人公;……これ
リリツァス;ふふふ~。今日がハロウィンはっちゅんだって夜に気づいて、慌てて作っへちったんだよね。じゃん! お菓子の家、ミニチュア版へっくしゅいです!
主人公;か、可愛い! これ、全部お菓子で出来てるんですか?
リリツァス;そうだよ~。屋根とか開けられるの。へっくしゅん開けてみて開けてみて!
主人公;わ、ほんとだ。屋根が開く……机と椅子? こんな細かいものまで作ったんですか!?
リリツァス;えへへ~。頑張ったでしょ。褒めて褒めてへちっへちっ!
主人公;すごいです、素敵です!
リリツァス;でしょでしょー♪ へっちゅん壁に掛けてある絵もお菓子なんだよー。額がクッキーで、絵がチョコレートへくしゅいっなの。いい感じでしょ!
主人公;はい、とても素敵です! でもいいんですか? こんな素敵なものを頂いてしまって
リリツァス;いいのいいの。姫はいつも頑張っててはくしゅんっ、俺たちにいっぱい色んなことをしてくれへちっているから、そのお礼に
主人公;ありがとうございます、大事にします!
リリツァス;うん、ありがと! でも食べないとへちゅっ腐るから、ほどほどに大切に保管してねへっしゅん
主人公;あ、そうでした……
~夕食後しばらく経ち~
主人公;……頑張れ私
リオリム;お嬢様、頑張ってください
主人公;……行くぞっ(台所へ行き
シルヴィス;……なんで毎日皿を割るんですか、ほんとに……理解しかねます、あの馬鹿力!!
主人公;……
リオリム;…………お嬢様。萎縮なさいませぬよう(こそ
シルヴィス;何です、そこに誰かいるのですか?
主人公;……(姿を見せ
シルヴィス;あぁ、あなたですか。何です、つまみ食いならよそでやってください
主人公;いえ、つまみ食いじゃないんですが……
シルヴィス;では料理ですか。こんな夜遅くまで料理をする必要はありません。早く体を休めてください
主人公;……え、優しい?
シルヴィス;はい?
主人公;ごめんなさい何でもありません。……あの、えっと……
シルヴィス;なんですか?
主人公;……。あ、お皿洗い手伝います。
シルヴィス;あと少しで終わるので結構です。ですから、早く休んでくださいと
主人公;そうじゃなくて! ……えと
シルヴィス;何です? 煮え切らない人ですね
主人公;うー……、と、
シルヴィス;と?
主人公;とっ……トリックオアトリート!!!!
シルヴィス;……
主人公;……
シルヴィス;……
主人公;……(うう、気まず……っ
シルヴィス;……あなた、なにか履き違えていませんか?(にっこり
主人公;(ひぃいいい!
シルヴィス;……ハロウィン。なるほど、たしかにそうでしたね? ですが、何故私があなたにねだられなければならないのでしょうか?
主人公;いやなんかもういいですなんかあなたに怒られるのも毒林檎に変えられて終わるのも同じような気がしてきました諦めます(逃げ腰
シルヴィス;……はぁ
主人公;……っ、さ、さよう……なら……
シルヴィス;待ちなさい
主人公;……うっ
シルヴィス;…………別に、言ってません
主人公;……は?
シルヴィス;……あげないとは、言っていません
主人公;……。え?
シルヴィス;……。勘違いしないでくださいね、別にあなたがねだったからあげるとか、そういうことではないのですから。ただ私が作りすぎたパンプキンプリンがそこにあるだけです
主人公;……ぱんぷきんぷりん?
シルヴィス;な、なんですか
主人公;……シルヴィス、プリン作ってたんですか?
シルヴィス;な……なにか、文句でも?
主人公;……ぶっ
シルヴィス;ちょっ……なに笑っているんですか!!
主人公;いや、真面目そうな顔して台所に立って文句言いながら暇な時間にパンプキンプリン作ってちょっと目をキラキラさせてるシルヴィス思い浮かべたら可愛いなって思って
シルヴィス;殺しますよ
主人公;ごめんなさい
シルヴィス;そんなに馬鹿にするならいらないということでいいですね。わかりました。捨てます
主人公;捨て!? いやいやいや勿体ないですから! っていうか自分が食べるとかそういう発想は!?
シルヴィス;……うるさいですね。いるんですか、いらないんですか!
主人公;いります! 欲しいです! ください!!
シルヴィス;最初から素直にそう言っていてください、全く……(パンプキンプリンのカップとスプーンを渡し
主人公;ありがとうございますっ
シルヴィス;……食べたらきちんと口を濯いで寝てくださいよ。さぁ、出て行きなさい。カップとスプーンはリビングに置いておいて下されば洗っておきますから
主人公;はい、おやすみなさい!
シルヴィス;はい、おやすみなさい
~地下・主人公自室~
主人公;……。結局、無事に全員から集まったね
リオリム;そうですね。……とはいえ、彼からもらったものがなんなのかよくわかりませんが……
主人公;あ、忘れてた!(ポケットをまさぐり
リオリム;なんでしたか?
主人公;……
リオリム;お嬢様?
主人公;……リオリム
リオリム;はい、お嬢様
主人公;アイマスクなんだ
リオリム;……は
主人公;アイマスクって、トリックオアトリートで貰うものかな……?
リオリム;……コウモリの死骸ではないので恐らく大丈夫です
主人公;あ、そこと比べるんだ……
道化師;はい、お疲れ様継母ちゃん!
主人公;あ、ろくでなし
道化師;何その呼び方!?
主人公;事実だと思う
道化師;いくら僕でも本気で傷つくからね?
主人公;どうぞご自由に
道化師;……泣くぞ……。まあ、いいよ。とりあえず、ミッション達成!
主人公;あぁ、アイマスクとか花でもいいんだ
道化師;まぁ、許してあげられる範囲だからね。まぁ、達成ということで、はい、プレゼントです! おめでとうー!
主人公;……なに? これ
道化師;毒林檎です
主人公;いやいやいやいらないよ!!
道化師;受け取らなかったら呪われるよ
主人公;でもこれ持ってたら不審だよね!?
道化師;大丈夫、嫌いな人に食べさせたらいいんだよ
主人公;まったくもって大丈夫じゃない!? え、あの本気でいらないん……
道化師;受け取ってね
主人公;不ひつよ……
道化師;受け取ってね
主人公;欲しくな……
道化師;受け取ってね
主人公;人の話を聞けぇえええええええええええええええっていうかこれ本気でどうしろと!? 私誰かを毒殺する趣味はございませんが!?
道化師;じゃあ観賞用
主人公;なおいらない!?
道化師;まぁまぁ、幸運のお守りだと思えばいいんだよ
主人公;毒林檎を!?
道化師;嫌いな奴が来たら、優しい笑顔であげてみるといいよ
主人公;嫌だよ!!
道化師;まぁ、そんなこんなで素敵なプレゼント進呈でした。じゃぁねー
主人公;あっ、ちょっ……待ちなさいよ!!
そうして、不気味な林檎は数日主人公の部屋に鎮座した後、ある日突然悲鳴を上げて消滅したという――
《Fin》
いかがでしたでしょうか!
きっとこれを読み終わる頃にはハロウィンは終わっていることでしょう(笑
まぁ、そんなこんなで即興のハロウィンのおはなしでした。
少しでも皆様にお楽しみいただけたならば幸いです。
それでは!
終わっているでしょうし、ここで言うのもなんですが、ハッピーハロウィン!!
以上、くたくたの天音でした!!




