94.apple
「普通の料理なら、俺達でも作れるよね。だけど、その中でも身体が弱くなっていても食べられるものって何だろう」
「……ミルク粥は? へちっ」
「ミルク粥? 確かに、柔らかいからいいかもしれないけど……、俺、ミルク粥の作り方は知らないな」
「あの本に書かれてるんじゃない?」
五人の妖精たちは、各々思考を巡らせ、台所に置かれていたレシピ本――以前、エルシャスの料理練習のために引っ張り出したものだ――をぱらぱらとめくった。
「どう?」
「あるな。簡単に作れそうじゃないか?」
「だねぇ、そんなに難しくはなさそうだし、時間もかからない。問題は材料だけど、どうだろう」
「大丈夫そうだよ一応。へちっ」
「これで……ひめ、元気になる?」
「ルーヴァスを信じよう、きっと大丈夫だよ」
「……うん」
所在なさげにうなずくエルシャスの頭を撫で、カーチェスは微笑んだ。そして、
「ごめん、みんな。作る前に、少しだけ時間を貰ってもいい?」
「……何だ?」
材料を探しに行こうとしたり、はたまた道具を用意しようとしていた妖精たちは、彼の声でぴたりと動きを止め、カーチェスを見た。
それに、カーチェスが頭を下げる。
「……さっき、ごめんね。俺が、みんなを叱れるようなことじゃなかった」
「何故だ。お前の言っていたことは間違ってない。まあ、驚いたが」
「違うんだ。ごめん、そうじゃなくて。……俺、個人的に思う所があって。それで、感情的になってたんだよ。最低だよね」
「おもう、ところ?」
「うん。……俺、あの」
そこでカーチェスは言い淀む。
言うべきかどうか――否、自分がそれを口にできるのか、葛藤しているのだった。
脳裏に過ぎるのは、子守唄を歌った夜と、こちらに無邪気に向けられる笑顔。
そうして、小さな手を握り、息を切らして走った記憶だ。
走って走って走って、それから。
「――俺」
「まって」
俯いて唇を震わせながら語ろうとするカーチェスを遮ったのは、エルシャスだった。
「カーチェス、ないてるの?」
「……」
顔を上げて、カーチェスがエルシャスを見る。そして、微笑んだ。
「泣いてないよ」
「かなしそう」
「……そう?」
カーチェスの服を握り、エルシャスが彼をしゃがませる。そして、カーチェスの両手をとると、真正面から見つめ、
「泣かないで」
と言う。
「……エルシャス」
「ひめが、こうしてくれた。泣かないで、って」
「……」
「僕も、みんなに、いけないことした。でもみんな、いいよって、言ってくれた。みんな、優しい。言いたくないこと、いわなくても、だいじょうぶ」
そう言って、カーチェスの頭をぽんぽんと撫でる。
「……落ち着いた?」
「……」
カーチェスはぼんやりと、エルシャスの一連の行動を見ていた。
エルシャスは、自発的に動く妖精ではない。こんな風に自ら動いて手を取り言葉をかけようとするのは、驚くべきことだった。
――多分、彼女の影響なのだ。
されるがままになっていたカーチェスは、やがて再び微笑む。
「……姫が、そうしてくれたの?」
「うん。あと、頭のは、ノアフェスがときどき」
「そう……」
カーチェスは一度大きく深呼吸をすると、「ありがとう。……でも」と言って立ち上がった。
「話すよ。話したいんだ。理不尽にみんなを叱ったから。だから、少しだけ時間を貰ってもいいかな? すぐに終わるから」
「……。それは、全員で集まったほうが良いことか?」
「……ルーヴァスは、知ってるかな。姫は……、知らないだろうけど。ひとまず、今ここにいるみんなに伝えたい」
「そうか」
カーチェスの返答にノアフェスは頷き、「ならリビングへ行こう。シルヴィスがいるからな」と言う。それに皆がぞろぞろとリビングへ歩き出した。
ルーヴァス以外の全妖精がいるのを確認したカーチェスが唇を開こうとしたとき、
「それって、本当は言いにくいこと? カーチェス」
と、リリツァスが訊ねた。
「え、うん、まあ……、でも、ずっと一緒に過ごしてきていたし、それに……みんなに不信感を与えていた理由も、あるから」
カーチェスはそう言って、自分の耳に触れた。
その耳は、他の妖精と違って、些か人間に近い。尖ってはいるものの、他の者ほど長くはない。
その様子を見たリリツァスは、
「カーチェスだけっていうのは、不平等なんじゃない? ひくちっ。大したことじゃ、ないんだけど……みんなにも心配かけてたこと、あったし、話すよ!」
と、言う。
「えー……本気で? 仕方ないなー……」
ユンファスはため息をつき、
「ま、いいか。アレばっかりは、僕もそろそろ話さないとだもんね。流石にそろそろ、口を割らないとそこの暴言男がキレそうだもんね」
「そんなこと、一言も言っておりませんが」
シルヴィスはじっとりとユンファスをにらんでから、
「わたくしは、大した話などありませんよ。話すとしても、大方貴方たちも予想がついていそうなことだけです」
「いいじゃんそれで」
「貴方には言っていません」
「俺は……笛のことくらいか。皆に関係があると言えば」
「ぼくは……。よるに思い出す、おもいで」
皆が言い出したのは、確かに、皆が今までお互いに疑問に思っていたこと。しかし、今まで口に出さずにいたのにわざわざ話題に上げたのは、カーチェスを気遣ってのことに違いなかった。
カーチェスは一度、眼を閉じる。深く息を吐いた後、眼を開き、ゆっくりと唇を開いた。
「俺の、家族の話だ。それから、俺がここへ来るまでの、話」
妖精たちは、カーチェスが語る間、一言も口を挟むことはなかった。
耳に障る機械音で、目が覚めた。
「……?」
私は飛び起きて、それから机に置いてある目覚まし時計の時間を確認する。
七時だ。
「うわ、寝坊だ……」
そう言ってから、違和感を覚える。
七時? そんな時間の数え方が、正しかっただろうか?
そんなことを考える間もなく、脳裏に木製の家が蘇る。リビングに置いてある大きな柱時計、その目盛りは二十四。
暖炉があって、台所は釜があって、電気なんて便利なものはない。
これは、何の記憶だろう?
思い返すと、すぐに思い当たった。
妖精たちの家だ。私たちが居候している、あの異世界の家。
――じゃあ、ここは?
見渡せば、視界に飛び込んでくるのは見慣れたものばかりだ。いつも使っている目覚まし時計、少しだけくたびれてきたベッドのシーツ。お粗末な勉強机と、あまり整頓されていない教科書の類。陽の光が差す窓にはポリエステルのカーテン。
私の、部屋だ。
妖精たちに与えられた、あの広くて木の匂いのする地下の元倉庫ではなくて、私が使っている、私のための部屋。白雪姫とか妖精とか道化師とか、そんな滅茶苦茶なことを言われる前に私がずっと使っていた、部屋。
――なぜ、ここにいるのだろう?
混乱する頭でベッドから立ち上がると、ぱたぱたと忙しないスリッパの足音が聞こえる。それを聞きながら、私は顔を洗ってリビングへ向かう。すると、母がそこで朝食を作ってくれていて、私の席にはすでに食事が置いてあった。
「――、おはよう」
……?
何だろう、今の。
母の言葉に何かノイズのような音が混じったような気もしたが、気のせいだろう。私は挨拶を返して、自分の席についた。
遅れて起きてきた父にも「おはよう」と言い、テレビをつけて今日の天気を確認する。曇りか。微妙な天気だ。まあ、雨でないだけマシというべきだろう。
あまり味のしない食事を腹に収め、水を飲み、自室で着替えを済ませて鞄を持つ。何だか異様に軽い鞄を肩から掛けて、私は慌てて家を出た。このままでは遅刻してしまう。
やけに早々と到着した学校には、うんざりするほどの学生の影。彼らの顔にもやがかかっているのは、どういうことだろう。
「おはよう、――!」
振り返ると、友人がそこで笑っている。
まただ。彼女の声も、何かノイズが混じっている。
「おはよう」
友人は、にこにこ笑いながら何事かを言った後、今度は愚痴を言い始める。今日の授業を担当する教師や、課題の面倒さ。
ああ、懐かしい。懐かしいけれど。
「――」
違和感が、拭えないのは。
「そういえばさあ、今日の一限、数学じゃん。そろそろ私たちが当たるんじゃない?」
「……あ」
この会話に、聞き覚えが、ある。
「そうだっけ」
「ええー! 忘れてたの、もしかして? 大丈夫?」
「忘れてた……」
ああ、わかってしまった。
これは、あの日のこと。
立ちくらみを覚えて、次の瞬間、世界が変わってしまったあの日だ。
つまり、これは、
多分、いや、間違いなく。
……夢だ。
重い瞼を開くと、木製の天井が視界に映りこむ。
私はゆっくりと瞬きをして、寝転がったまま、向かって右手を見た。そこにあるのは、目覚まし時計でも教科書で出来た塔でもない。小さなナイトテーブルに置かれている冷えたポットと、グラス。それからその向こうに、簡素な木製の机と椅子。殺風景な部屋は、見覚えのある自室よりとても広くて、酷く静かだ。
耳を澄ませても忙しないスリッパの足音も聞こえないし、おはようと言っておはようと返してくれる声は、もう両親のものではない。
私は多分、一生両親には会えない。
「……」
この世界に来て、あまりに必死で、そのことについて深く考えたことはなかった。
がむしゃらに進んでくるばかりで、この先、どうなるのかとか、もう元の世界には戻れないこととか、大切だった人たちに会えないこととか、そんなことまで、考えられていなかった。
いや違う。
考えないようにしていたのだ。
道化師が、帰りたいと言った私に「それは無理だ」と無慈悲に言ったあの日に、その事実には気づいていた。
しかしきっと、私の心のどこかに「いつか帰れるのではないか」という、何の根拠もない期待が巣食っていて、だから私はあえてその理不尽な事実に眼を向けることなく、ただ目の前だけを見ていた。
目の前だけを見ていれば、いつか元の世界に戻っているのではないかと思ったから。
背後につきまとう不安と恐怖を、見ないで済むから。
そうして突きつけられるあまりに惨い真実を見ることが、怖かったから。
――私はもう、家族にも友人たちにも、会うことは二度とないのだと。
あの夢はまるで、目を背け続けてきた事実を私に叩きつけるようで、私は声が出せなかった。
胸を鋭利なナイフで抉られて血を吐くような心地だった。けれど結局それを吐き出すこともできず、心が流した血は喉の奥で鬱滞し、どろりと喉にへばりつく。その息苦しさと恐ろしさで、私は熱いものが瞳から流れるのを感じた。
ぼんやりと天井を見上げたまま、私は声もなく涙を流す。
助けて、お母さん、お父さん。
助けて。
助けて。
私今、ここで、一人ぼっちなの。
この世界で、もしかしたら明日にでも死んでしまうかもしれない。
助けて。
私はここにいるの。
お願い。
――風邪のせい、だろうか。
ひどくひどく、心細い。
妖精たちは優しい、リオリムだってとても紳士的だ。精霊は……まだよくわからないけど、それでも、酷く悪い環境にいるわけじゃないのに、こんな甘えたことを考えるのは良くないと思う。
食べ物だってある。住むところだってある。着る物だって困ってない。この家の同居人たちは、私を全面的に歓迎していたわけではないけれど、それでも親切だ。
こんなにも恵まれて、何を不満に思うことがある。
――それでも、どうにも寒くて、伝う涙が熱くて、身体が震える。
帰りたい。
帰りたいのだ、私は。
あんなに慌てて、ろくに「行ってきます」も言わないで、顔もちゃんと見ないまま、離れ離れになってしまった家族。もう会えないことを、今、ようやく実感した。
風邪の時、おかゆを持ってきてくれたり、消化にいいものをと工夫して色々持ってきてくれる家族は、ここにはいない。
「……ぅ」
ぽたりと、涙が枕に落ちる音がする。
部屋は静かだ。
一階の音も、特には聞こえない。
こんなにも静かで、こんなにも広い部屋に、ぞっとするほどひとりきり。
ああ、考えたこともなかった。
これは、結構、きついな。
寂しい。寒い。痛い。
心細くて、仕方ない。
声もなく泣いていると、扉を控えめに叩く音が聞こえた。そして、「姫、わたしだ。寝ているところすまないが、入るぞ」と、ルーヴァスの声が聞こえた。
私が返事をする間もなく扉が開き、ルーヴァスは、横になったまま目を覚ましている私に、眼を見開いた。
「……どうしたのだ。何か、恐ろしい夢でも?」
そう問うのは、私が起きていたせいではない。きっと、涙の跡に気づいたからなのだろう。
「……いえ」
私は起き上がろうとするも、ルーヴァスがそれを手で制したため、それに甘えて寝たまま彼を迎えた。ルーヴァスは私の近くまで来て跪き、
「それなら、何か、辛い夢を?」
「……家族の、夢を」
私が小さくそう言うと、ルーヴァスは薄く唇を開き、しかし多くを語ることはせず、
「……そうか」
と言った。
「ここへ来る前、ろくに顔もみませんでした。別れなんて、一言も」
「……」
「ありがとうも、言わなかった」
何しろ、まさかこんなにも唐突に日常が壊れるなんて思ってもみなかったのだ。
当然と言えば当然かもしれない。それでも、もう少し何か、せめてきちんと顔を見て「行ってきます」と言えていたなら。
「当たり前の毎日が壊れるのは、突然ですね」
「……」
「親不孝な娘です。さっき夢を見るまで、もう会えないことさえ、きちんと考えもしなかった」
「……」
ルーヴァスは、無言のまま私の涙の跡を拭った。
「ごめんなさい。風邪のせいか、どうも、心細くて、」
「姫」
彼はそっと私の右手をとって、
「……未来を予測できるわけもない。あなたは、悪くない。何も」
そう言った後、ルーヴァスは言葉を選ぶようにゆっくりと告げる。
「あなたは、よく頑張っている。こんな見知らぬ場所に来て、人間としても女性としてもひとりきりで、恐ろしいこともあるだろう。外に出ることも自由ではないし、人間だからと覚えのない疑いを掛けられることは、苦痛だったはずだ。それなのに、よく頑張っている。頑張りすぎるほど頑張っている」
「……」
ルーヴァスは、その端正な顔を、苦しげに歪めて私に語る。
「あなたはわたしたちの前では泣かないだろう。無論、人前で泣くような気性でもないのかもしれない。だが、辛い時にあなたはいつもこの部屋に戻ってしまう。ひとりで泣いていたことが、何度もあったのではないか。わたしたちを気遣うのはわかる、あなたはそういうひとだ。わかっているが、それでも、時折でいい。皆に、伝えてくれないか。今、自分は苦しいのだと。あるいは、話を聞いて欲しい、傍にいて欲しい、何でもいい。わたし達は、あなたの力になりたくても、どんな時、どんな風に力になることがあなたを救うのか、わからないことばかりで。だからこそ、あなたはもっと、我侭でいい」
彼は私の手を強く握り、まるで自身が軋むような痛みを覚えているかのような声色で、静かに語り掛け続ける。そして、
「泣きたい時に、泣いていい。理不尽な苦痛を、誰かに言ってもいい。寂しいなら、寂しいと訴えてくれていい」
「……」
「ひとりで全部、抱え込まなくてもいい」
そう言った。
心細さを受け止めて包み込むような言葉に、はら、と涙が再び流れ落ちた。
「私は、頑張れていますか」
「ああ、とても」
「こんな風に心が弱くなるのは、皆さんに失礼ではないんですか」
「不安だらけの中で、自然なことだろう。それに」
ルーヴァスは、そこでゆるりと微笑んだ。
「ちょうどいい。皆が、あなたのもとに来る頃だ」
「……え」
ガチャリ、と扉が薄く開き、「の、ノックしないと失礼だよ」、「もう一回閉めるべき?」、「いやもう開けたのだからこのまま入ろう。頼もう!」と、大きく叩くように扉が開かれた。
そこには、何やら大きな鍋と小皿、スプーンを持った六人の妖精が――シルヴィスも、驚くべきことにリリツァスの肩を借りながらではあるが、歩いていた――いて、こちらを見て皆一様に驚いた様子を見せる。
「な、何で姫が泣いてるの!?」
「あーあールーヴァス泣かしたー、いっけないんだー」
「こーら、ユンファス。その、姫、大丈夫? どうかしたの?」
「というかまず鍋をテーブルに置け」
「……ひめ、これ、ミルクがゆ。食べやすいんだって」
「まぁ、悲惨な味ではありませんでしたから、食べられないことはないでしょう」
駆け寄ってくる皆に、私は更に涙があふれるのを感じた。
私、本当に馬鹿だ。
会えなくて悲しいのは当たり前だ。でも私は、信じられないほど、周りのひとに恵まれたじゃないか。
私が体調を崩しただけでこんなにも必死になって料理を作ってくれて、私が泣いているだけで、心の底から心配してくれて。
これを幸せと呼ばずに何という。
――それでも。
「……皆さん、わざわざ、作ってくださったんですか」
「まあ、その、アレは役に立たないようだったからな」
「それに、みんな、心配だったし」
「ひめの……やくに、立ちたかったの」
エルシャスの言葉と同時に、私は顔を覆った。
嬉しいのだ。
嬉しい。
幸せだ。
でも、寂しい。
寂しい。
寂しい。
寂しい。
私に駆け寄り、口々に案じてくれるみんなに甘えて、感動したから泣いているのだと言い訳して。
私は泣いた。
ぼろぼろ泣いた。
気軽に泣くのは、これで最後だ。
もうどうにもならない現実に打ちひしがれても、過去は変えられない。私は無力で、きっとこの世界から出ることなんてできやしない。
家族にも友人にも会えない事実は、どう頑張っても覆せない。
それなら、もう弱音は吐くまい。
こんなにも温かなひとたちとともにいられるのだ。
皆が勧めてくれるおかゆを、嗚咽を漏らしながら一口一口噛みしめ、ナイトテーブルの上の冷えた水で喉を潤す。
皆が作ってくれたおかゆは、温かくて、冷えた水は、胸にしみわたるようだった。
私は決意を胸に秘め、思う存分、涙を流した。
はい死ぬほど久しぶりですおはこんばんちは天音です!
いやー何か月ですかね? うん、数えたくはない。
さて、今回色々と妖精たちがお互いの事情についてほんの少し話しているようですが、この内容、主人公は知りえませんので、ここで公開はされません。
ただ、妖精たちがずっと伝え合わなかったことについて、伝えた、という点だけ。
そして、ようやく書けました。主人公の未練というか元の世界への思い。
ずっと引きずっているはずだったし、今もまだ彼女の気持ちを重くしていることは確かなんですけど、ここまで出てこなかったのは、まあ気が張っていたからですね。
まあ当たり前ですが、ありふれた家庭の子なので、家族も友人も、彼女なりに愛してはいたわけで、そこから引き離された葛藤っていうのはずーっと、多分今回踏ん切りをつけたように見えても引きずっていくのだろうと思います。そして事実、これから先も多分この話題は出てきます。はい。
まあ何にしろ、今回は風邪で気が弱くなった状態により、夢という形で表出した彼女の気持ちの話でした。
そして、看病編もこれにて終わりです。
次は、はてさてどうなることやら。
まあ、ゆるりとお楽しみに。
ではでは今回はこの辺で。
以上、夏の暑さに溶ける天音でした。
はは。
……あっつ。




