聯合艦隊、大太平洋艦隊
「敵機直上ッ!!!!急降下ッ!!!!」
いきなりだが、雲を分けて敵機が飛び込んできた
これが、ステルスの恐怖でもある、
突然現れた敵機はミサイルを全て発射するも、
迎撃もしくは回避運動で避けられてしまった
「クソッタレッ!!何で空母がそれを飛ぶんだッ!!!」
そう言うと、彼は腹いせに艦橋に向かって急降下をする
弾幕という夕立の中を機体に衝撃を受けながら彼は、ボタンを押した
「敵機発砲!!!全員伏せ...」
露天艦橋が火花を散らし、赤く染め上がる、
「クッ!!!衛生兵!!衛生兵ーッ!!!!」
伝声管に山本の声が伝わる、
間もなくしてハッチが開き、白衣の兵士が負傷者を艦内に運び込む
そして、待機していた見張り員が新たに上ってきた
「長官!ご無事で!!」
敬礼を手短に済ませるとそれぞれの双眼鏡に張り付く
『と~りか~じ!』
グッと体が外に投げ出される重力に襲われる
「早く!!高射機関砲弾未だか!!」
ガラガラと木箱を押して兵士が現れる
「もう直ぐで弾が切れるぞ!!各自で装弾しろ!!」
そう言うと、その場に居た全員が砲弾を抱え
高射機関砲に向かう、
高性能機関砲とは違い、
高射機関砲は装弾を人力に頼っている、
後にこの問題は解消されるが、また別の話だ
「高射砲に異常は!!」
そう言って兵士に聞く
「はッ!!認められま...」
高射砲の付近に火花が散った
「う、!!ッ、田中!!守城!!安道!!」
そう言うと、服を真っ赤に染める三人に駆け寄る
「た、隊長、我々のことは気にしないで下さい、引き続き指揮を、」
そう言って血の塊を口から吐き出した
「馬鹿野郎!!喋るな!!!衛生兵ーーーッ!!!!衛生兵ーーーッ!!!!」
バタバタと担架を担いだ衛生兵が負傷した三人を運んでいく
「引き続きここの指揮は俺が取る!!全員気を引き締めろ!!三人の仇をとるぞッ!!!」
すると、木箱がまた運ばれてきた、
「当たり前です!!仇をとりましょう!!!」
そい言うとその場の全員が気合を入れ、また砲弾を運び出す
「面舵一杯!!!」
伝声管に伝わる山本の声の振動、
それを聞き、舵輪を回す操舵員、
『お~もか~じ!!いっぱ~い!!!』
擦れ擦れをミサイルが空しく通過する、
「攻撃隊は!!」
すると返ってきた返事が
『間もなく敵艦隊と接触します!!』
そう聞いた途端、
体を衝撃波が襲い、その場に倒れこんだ、
「はぁ...はぁ...、VT信管か...」
視界のぼやけが酷くなり、激しい疲労感に襲われた
「はぁ...、小沢、頼んだぞ、赤城、すまん」
そう呟いて、重たかったまぶたを閉じた
「長官ーーーッ!!!!!早くッ!!!衛生兵!!!衛生兵ーーーーーッ!!!!」
黒島が涙目になって叫ぶ、
その両手は山本の肩を押さえていた為か、
真っ赤に染め上がっていた
大太平洋艦隊
「...狙われてるのは、俺たちと、マードックだけだな」
そう言って、マイクは攻撃隊の夥しい機影を睨む
「ルシーには頑張ってもらわないとな、対空戦闘用意」
しかし、
『長官、レーダーが反応しません!』
「不味い、ライターが混じってるな」
そう、マイクの察した通り、
一式陸攻が確かに混じっていた
「迎撃機を揚げ...」
この言葉は遮られてしまった
『敵機直上!!急降下!!』
「何にも聞こえないぞ!!?、どういう事だ!!」
確かに、急降下の際は独特の降下音が聞こえるはずだが、
彼らは、エースパイロットの実力をなめていた、
九九艦爆が先ほど突き破った雲の名残を糸のように複数本引きながら突入してきた
「上ががら空きだ!!」
そう言うと、機体から八百㎏爆弾が切り離されて、
ようやく、ダイブブレーキが開いた
彼が、『阿部光一』だ
「間に合いません!!!長官、衝撃に耐えてください!!!」
ゆっくりと、しかし、確実に爆弾が迫ってきていた
そして、
激しい衝撃と共に艦体が揺さぶられた
「クッ、被害報告!」
そう言うと、各所から悲痛の叫びが聞こえた
『こちら中央戦闘指揮所!!!使用不能で全員退室中!!!!』
『こちら機関室!!!原子炉が狂いやがった!!出力なおも低下中!!』
『こちら飛行甲板!!!完璧に大穴が開いています!!!』
『こちら機関室、原子炉が完全に沈黙、これ以上の復旧は見込めない』
「...分かった、旗艦をエンタープライズに、総員退艦、」
そう言い、帽子を計器類の上におく
「ち、長官、どちらへ!」
艦橋員の一人が引きとめようとする
「ん?、中央戦闘指揮所に」
階段を下り、
廊下でばったりと脚と車のついたストレッチャーで運ばれるマギと会った
「よッ!、後は頼んだぞ!」
いつも通りの笑顔をマギに向けた
「長官?...変なことを考えないで下さい、」
弱々しい声でマイクに話しかける
周りの兵は先に出口に向かっており、
実質廊下はマイクとマギだけである
「...ジェラルを失った責任を取らせてくれ、唯それだけだ」
そう言い残し通りすがりの水兵にマギを預ける
「待って、長官、いえ、マイクさん、...好きです」
顔を真っ赤に染めて、マギが言う
「あぁ、もし!生まれ変わったら!平和な時代に式を挙げよう!!」
そう言い残し、未だに火花が散るくらい廊下にマイクは姿を消した
「...約束よ、」
そう呟いた瞬間、激しい睡魔に襲われた
「さて、やはり残ったのはエンターか」
中央戦闘指揮所でジェラルをイスに座らせ、その場の壁にもたれ掛かり座り込む
「マードック、また会おうか、」
そういって、見えない旧友に向かって別れの挨拶をする
「マイク長官?...た、退艦してください」
慌ててイスから降り、マイクに近づく
「なぁ、ジェラル、生まれ変わったら、人間になっててくれよ、」
満身創痍のジェラルをひざの上に乗せる
「何でですか?」
微笑みながら聞くジェラル
「俺とマギの式に出席してくれよ?」
笑いながら言うマイク
「私の上でも行えばいいじゃない」
ほっぺを膨らませて言うジェラル
「そうだな、そうするか?」
「はい」
二人が顔をあわせて微笑んだ瞬間、
魚雷の衝撃で火薬庫が爆発、
『ジェラルド・R・フォード』はその重たい艦体を真っ二つに割り
その身を蒼い蒼海に委ね、原子炉は制御棒が刺さったまま欠落し、
深き海底へ旅立った、
この約1時間後、
マードックの艦隊も日本の海戦隊の猛攻の前に破り去った、
後続のルシー艦隊は奮戦し、第二艦隊の撤退に成功、
しかし、攻撃隊と潜水部隊の前に破り去り、
大太平洋艦隊の手元に残されたのは水兵でごったがえったエンタープライズ唯一隻、
後日、この海戦のことが世界に知れ渡ると、アメリカのロッジ大統領は国民投票により辞任、
日本の大和艦上での調印式が最後の晴れ舞台となった、
戦闘中に負傷した山本は一ヶ月の療養生活を病院で送っていた
そして、この年の12月21日、
日本は陸戦隊、空戦隊、海戦隊をそれぞれ憲法改正に伴い
『陸軍』『空軍』『海軍』と表記されることとなった
この一連のアメリカと大日本の対立のことは総称して『太平洋紛争』と呼ばれた、
作者:さて、本編ではこれが最後です...
三笠:泣くなって、
作者:次回はバレンタインスペシャルをお送りしようと思います、
三笠:参加者募集中!!
作者:では、また今度...
三笠:元気出せって、また会おうッ!!!




