坂井と零戦
8月27日、
先の戦闘で傷ついた坂井の『新・零戦』、
巡航速度と運動性能では他の機体を出し抜いているが、
元は実験機一号でもある
そして、ついにNHKからの招集がかかる
航空技術の進歩は目覚しい、
たったの一年で巡航速度及び空戦重視の双発艦上汎用機『新・屠龍』が開発された、
そして、聯合艦隊最大火力の三十.五mm機関砲装備の単発単座艦上戦闘機『新・烈風』が生み出された、
俺の零戦、『零華』は現在最も配備されている『新・零戦改』よりも性能がいいのは確かだ、
陸上攻撃機はあの時代からついて来た『一式陸攻』を改造した技術により開発を可能にした、
エーテルエンジン二型、今まで最大出力を一日出し続けるとエーテルは一リットル消えるところを改善、
一年間も最大出力を維持しても一リットルと言う超低燃費エンジンに生まれ変わった、
『新・九六陸攻』、事実上航続距離無限大のこの機体は現在も全国配備は進んでおり、先日、四国方面がリーチを叩き出した、
先の戦闘で俺の零華は応急処置のため固定脚機に先祖がえり、
そして今回、NHKに召集された
「なに塞ぎこんでるの?、エースパイロットでしょ」
そう言うのは『零華』
「なぁに、考え事だよ」
素っ気無い返事の坂井
「う~ん、何時もの三郎らしくないよ」
何かと考え込んでいる坂井を心配する
「だって修理中に出撃したらどうするよ」
口ではそういうが、
坂井は別のことを考えていた、
恐らく、
―今回の飛行でコイツとは最後かもしれんな。
『零華』、正式名称は『新・零戦』であり、
ユーラシア大戦中に作られた実験機のうちの一機である、
零戦は坂井と岩本の二機、檜には『新・零式水上観測機』の空戦対応型、杉野には『新・紫雲水上偵察機』これも空戦対応型、
現在、『新・零戦改』のモデルは岩本の機体である、
坂井の機体は誰しもが扱える機体ではなかったために坂井専用機となっていたのだ、
その他の二機は現在、大和と武藏の偵察戦闘機として活躍している
「なぁ、今回のNHK召集の事なんだが...」
言いかけた口がさえぎられる
「えぇ、覚悟は出来ています、だから、最後に抱きしめてください」
何時ものように明るい声だがその奥に寂しさがあることを坂井は聞き取った
「あぁ、分かった、」
そう言うと操縦桿を握っていない腕で零華を抱き寄せる
「三郎と戦えて嬉しかった...」
名残惜しそうに坂井に抱きつく零華
「さ、着陸だ、固定脚だから苦労しないと思うけど」
零華を見て笑顔を向ける坂井
「...殺されたい?」
蛇が蛙を睨むような目線が帰ってきた
「は、ははは、嫌だ~(ダラダラ)」
流石にびっくりする坂井
「着陸するから離すよ」
そう言って腕を放し、手を別のレバーに移す
「私はこのままでいい」
そう言って一層強く抱きつく
そして、
坂井の零戦は白鳥が湖に降り立って羽を休めるように滑走路に舞い降りた
「坂井さん!!こちらですよ!!」
そう言って手を振るのは藍川
「ちょっと待ってください、はい、何でしょうか?」
タラップを降りていく坂井
「零戦のことなんですが、」
そう言ってポケットから紙を取り出す、
しかし、言いかけた途端坂井が口を割る
「あの零戦、いや、『零華』からは降りたくありません、」
坂井には似合わない真剣な顔で喋る
「...なるほど、見えていますね、『飛魂』」
鋭く勘付く藍川
「えぇ、見えています、彼女が、...翼の上で口笛を吹いています」
そう言って零戦に振り返る坂井
「それでは、プランBで行きましょうか、」
そう言うともう一枚の紙を取り出す
「何です?、プランBって?」
唖然とする坂井
「エンジンを付け替えるんです、勿論脚も直しますよ」
そう言って紙を坂井に渡す
「エーテルエンジン三型、巡航速度七百八十kmの予定、本当ですか!?」
一瞬こんがらがる坂井
「本当ですよ、『新・屠龍』を軽く超える速度です、超低燃費でなおかつ高出力、これが三型の特徴です」
実際のエンジンで坂井に説明する
「で、修理期間は?」
風が吹き込んできた為かくしゃみを一つして聞く坂井
「三日で十分です!!」
にっこりと答える藍川
「さ、流石は世間の仕事の早い人代表...」
にんまりと苦笑いをする坂井
「じゃあ、作者さん、とばして下さい!!」
はいは~い、
恐らく、と言うより確実に三日後
「ふぅ~、出来ました、」
そう言うと格納庫からで出来た藍川
「いや~、作者って便利ですね」
おいおい、
「便利です!!」
...マジでか、
「ところで、零華は?」
今か今かと待つ坂井
「あ、今出てきますよ」
そう言うと牽引された零戦が格納庫から現れた
「目標予定値は達成しました、では、ご健闘を祈っております」
そう言って作業の手伝いに向かう藍川
「よし、頑張るか」
そう言った坂井の目に零華が手を振っている所が映りこんでいた
ここに、
坂井の伝説が新たに始まった
作者:ストライキが起きているパソコンで強行投稿!!
三笠:大丈夫か?
作者:大丈夫だ、多分...
三笠:で、水城の士官先生に言うことは、
作者:本当に有難う御座います、他の先生方も、次回作で何とかしますので、許して下さい!!
三笠:まぁ、頑張れ、
作者:では、また今度!!
三笠:また会おう!!




