1.木の下の出会い
はじめまして!Ikutoです。
初めて小説を書くので言葉の使い方がおかしかったり誤字、脱字があると思いますが、皆様に読んで頂けたら嬉しいです。
感想などありましたらよろしくお願いいたします。
3月下旬、坂本海斗は中学を卒業と同時に母方の祖父、祖母が住むこの島、美原島に越してきた。
この島には珍しい物はなく、あるのは広い海だけだ。
「はぁ~」
祖父達の家へ向かう、バスの中でも海斗はため息を吐く。
母は心配そうな顔をして
「どうしたの?」
と言う。
「別に…ただ、何もないなって」
「ごめんね…母さんのせいで海斗にまで辛い思いをさせて」
「母さんが謝る事ないよ。悪いのは全部あの親父が…」
海斗は何かを言いかけたがまた、ため息を吐いてうつ向いてしまった。
海斗達がこの美原島に越してきた理由の原因は、父親であった。
仕事が上手くいかなくなると、酒に手を出し暴力まで振るうしまつであった。
そんな生活に耐えきれず母は海斗を連れて家を出たのである。
海斗も父親とは何度も言い争いをしていたので、家を出る事に反対はしなかった。
しかし、見知らぬ土地での生活に上手く馴染めるかどうか不安なのである。色々考えてる間に目的地に到着した。
「ここから少し歩いた所なの」
歩くのか…と思いながら海斗は母の後をついていく。
しばらく歩いていると「着いた~」と言い、少し母の顔か嬉しいそうだった。
「へぇ~結構デカイ家なんだね」
「うん。まぁ古い家だけどね」
そう言い母は玄関を開け中へ入った。
「ただいまー」
きっと祖母であろう奥から「お帰りなさい」と言いながら出迎えに来てくれた。
「お母さん…ただいま」
母は今にも泣きそうな顔になっていた。
「疲れたでしょ?早く上がりなさい」
母は軽く「うん」と頷き靴を脱いだ。
「海斗くんも疲れたでしょ?上がりなさい」
「ハイ…」
「それにしても、大きくなったわねぇ」
優しい笑顔で海斗の頭を軽く撫でた。
「確か最後にあったのが…まだオムツしてた頃だったわね」
そう言われても海斗には全く覚えがないのである。
「さっ!早く靴脱いで入りなさい」
海斗は「ふー」と思いながら祖母の後をついて行った。
「お菓子出すから少し待ってなさい」
茶の間に案内され海斗は少しホッとした。
―優しそうなおばあちゃんだなぁ―
海斗にとって祖父、祖母の記憶が全くないので、どんな人なのがドキドキしていたのである。
「ごめんなさい。こんなに早く来ると思わなかったから、コレしかなかったわ」
と出されたのは、ここの名産なのだろうか?カモメの形をしたクッキーだった。
「わぁ~懐かしいー!まだあったんだ」
母は嬉しそうに口にした。
海斗もクッキーを頂いた。
―あ!以外と上手いな!!でも何でカモメなんだろ?来る途中1羽も見かけてないのに…―
しばらくまったりとした時間が続いた。
すると、急に祖母は真面目な顔になった。
「色々大変だったみたいだけど、好きなだけここにいて良いのよ」
海斗はふっと母の顔をみた。
「…………」
そこには涙を流す母の姿があった。
今まで、一度も母の涙を見た事のなかった海斗は何故か、その場にいずらくなってしまった。
「俺、ちょっとその辺散歩してくるわ」
「着いたばかりでしょ?迷子になったら危ないわよ!!」
祖母は心配そうに言った。
「大丈夫!大丈夫!夕方くらいには戻って来るから」
そう言って海斗は逃げる様に家を出た。
―母親の泣いてるところって何か気まずいよなぁ~―
などを考えながら適当に歩いていると「この先美原高校」と看板が立っていた。
「この高校に通うのかぁ」
海斗なんとなく高校へ続く道を歩いて行った。
すると道を間違えてしまったのか、着いた先は学校ではなく大きな木があるだけだった。
「あれ?道…間違ったなか?」
もう、面倒くさくなってしまい帰ろうか迷っていると。
―ん?木の下に誰かいる。―
海斗は気になってしまい木の方へ近づいて行った。
―女…の子かな?ん??何か木の下に埋めてるぞ。―
「誰ですか!!」
ビクッとした。
「いや…ゴメン。何にしてるのか気になって」
「見ましたか?」
女の子は少し怒った様子だ。
「何を?」
「私がここに埋めた物をです!!」
「いや、それは見えなかったけど」
「そうですか…安心しました。」
ようやく女の子の怒りが治まった。
「ここで何をしてたの?」
まず海斗が気になった事を女の子にぶつけた。
「ヒミツです」
あっさり返された。
「貴方こそここに何しに来たんですか?」
「俺は今日この島に引っ越して来て、それで散歩してたんだけど道間違えてここにたどり着いたってわけ」
「ふ~ん、そうなんだ。年は何歳ですか?」
「今年で16歳。君は?」
「私も16です!!それじゃ高校は一緒ですね」
「あ!やっぱり高校って一つしかないんだ」
「はい!あの…お名前教えてくれませんか?」
「俺は、坂本海斗きみは?」「私は須藤月乃です」
春の少し強い風が月乃の長い黒髪とスカートを捲り上げた。
「ピンクか…」