2.木の下の出会い
海斗は酷く後悔していた。
それは20分くらい前の出来事である―
「きゃっ」
春の風は少々いたずら好きなのである。
「ピンクか…あ!いや、ゴメン!見るつもりはなかったんだけど」
「………」
月乃は顔を赤くしたまま黙りこんでしまった。
「いやぁ~まいちゃうよねぇ?急につよ…」
「……テイ…」
「え??」
「サイテーーー!!」
月乃は顔を真っ赤にしながら、大声を上げた。
「この変態!ひ、人のパンツ見て何に喜んでるのよ?最悪のド変態ね!!」
さすがに海斗もここまで変態扱いされるとは思っていなかった。
「ちょ、ちょっと待ってよ!!別に月乃のパンツを見たかったわけ…」
「気安く名前で呼ばないでよ!変態!!
それに、何に?まるで私がパンツを見せたみたいな言いかた」
「いや…そんなつもりで言ったんじゃ…」
「うるさーい!!変態の言い訳なんて聞く気ないんだから」
そろそろ海斗も限界だった。
「あのな…いい加減にしろよ?
俺はお前のガキみたいなパンツ何かに興味ねぇーんだよ」
「なによ!!このへんた…」
「だいたいさぁ
こんな風の強い日にスカートでお出かけって…
本当は誰かに見られたかったんじゃないの??これじゃどっちが変態か分かんないな!!」
海斗の中に貯めてあった怒りはまだ収まりそうになかった。
「つーかその歳でピンクってもうちょい大人ぽい履いたら?」
「……るさい…」
「あぁ~でも月乃にはピンクがお似合いか」
海斗は勝ち誇っていた。
本気の口喧嘩で女子に勝ったのだと。
「ん~でもそのスカー…」
「うるさーーーーーい!!!」
月乃も貯めていた怒りがついに爆発したのである。
そして、月乃は海斗に向かってダッシュした。
「こぉーのー変態!!シネぇーー」
「エッ??ちょっと!??やめ…………」
現在―
「…イタイなぁ~
なにもあんなに強く叩かなくても…叩かれて初めて鼻血でたよ…」
頬を押さえながら海斗は一人ブツブツ文句を言いながら、来た道を帰っていた。
―あの子と同じ高校かぁ…はぁ~―
海斗はまた大きなため息を吐いた。
―高校で上手くやっていけるかな?―
そんな事を考えてるうちに家に着いた。
「ただいま…」
新しい我が家なので少し遠慮気味で海斗は言った。
「お帰りなさい」
祖母がまた優しく出迎えてくれた。
「どうだった?何もない島で海斗くんにはつまらないでしょ?」
「うん…でも景色ってすげーキレイだね」