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告白

 伽耶(かや)ちゃんとの出会いは何かの飲み会かなんかだったと記憶している。

 もしかしたら何か違う出会い方だったかもしれないけど、ちょっと記憶がはっきりしないので飲み会だったということにしておく。


 彼女は妹の友人でもあり、ボクよりは6つ下だったが見た目は大人っぽい女の子だった。

 背も高く、モデルのような体型というのは少し言い過ぎかもしれないが、それでもすらりとしている外見の彼女はそれなりに美人だった。


 彼女は真面目で頭の良い子だった。

 物も良く知っており、何を話しても『分からない』ということはなかった。

 話を遮ることせず、うまく話しを盛り上げてくれる。


『そこまでは知りませんでした。すごいですね』


 話の最中でそんな感じのことを言って相手を立ててくれるものだから話している方は嬉しくなってしまう。笑顔になると八重歯が少し見えてそれがとても可愛かった。


 知り合って、直接話したり、メールのやりとりをしているうちに、ボクは彼女が好きになっていった。


 今までの鯉の話……

 否。


 今までの恋の話は自分の思いを伝える前に終わってしまうことが多かった。

 ボクは自分の思いを告白するのが怖かったのでいつまでも自分の思いを伝えられずに失敗してきた。

 もちろんこういったものにはタイミングというものがあるのは分かる。

 でもそのタイミングを計り、慎重になりすぎて時期を逸してしまっては意味がないのだ。


 幸い……彼女には付き合っている特定の男性はいなかった。

 だから今までの恋愛のように思い悩む必要もなかった。


 告白するのは怖い。

 だけど自分の気持ちを伝えないことには何も始まらないではないか。

 ボクは眠れない夜をそんなことを考えて過ごした。


 そして……


 一念発起(いちねんほっき)してボクは彼女に告白しようと思った。

 それでダメなら仕方ない。

 むしろそこまでしてダメなら気持ちもすっきりするものだ。


 ボクはそう思ったのだけど……それは実は相手によっては大きな間違いである場合もあるということにこの時のボクは気づいていなかった。


『ちょっと話があるのでいいですか?』

 ボクは彼女にそうメールした。

 当時はガラパゴス携帯……通称『ガラケー』で、連絡手段はメールしかなかった。

 LINEなんてまだ普及すらしていなかったので、送信した後、返事が来るまで相手に届いたかどうかも分からなかった。

『いいですよ。どこに行けばいいですか?』

『どこでもいいですよ。そんなに時間はとらせないので』

『どこかゆっくりできるところがいいですかね?』

『いや、どこかで立ち話でもいいですよ』

 メールでのやり取りはそれなりにスムーズに進んだ。

 結局、彼女が何か買い物があったので、近くのスーパーの駐車場で会うことになった。


 ボクは胸の高鳴りを抑えることができなかった。

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