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普通って何?

 ずっと訪問入浴時代の話をしてきたので、少し時間をさかのぼって話をしてみたい。

 今回はボクが中学1年の時の話。

 初恋の話かと言えばそうではない。


 ボクの初恋というのはいつなのかよく覚えていない。

 なんとなく気になる女の子はいたのだけど、ものすごく好きとかそういう感じではなかったから、いわゆる恋をしている時のドキドキ感などは味わったことはなかったし、恋をするというのはどんな感じなのかというのもよく分かっていなかった。


 まあ、一言で言えばまだ子供だったのである。


 小学校から中学校に進学して何が変わったかといえば、何もかもが変わった。

 小学校の頃に仲が良かった友達とは縁遠くなってしまったし、小学校の頃に夢中になっていたミニ四駆やアニメの(たぐい)の話は急に影を潜めだして、周りにそんなことを楽しむ友人はいなくなってしまった。


 中学に入って周りがそんな感じだったのだけど、ボク自身はそうではなかったから今まで通りミニ四駆もアニメも続けて楽しんでいた。

 だけど、周りはそんなボクを『幼稚』だと言い始めた。


()()、そんなことしないでしょ』

 周りからはよくそう言われたので言い返しはしなかったが、心の中では『()()ってなんだよ!』といつも悪態をついていた。


 今ならそんなこと考えられないような気がする。


 アニメもミニ四駆も今や大人も楽しむものだからだ。

 ボクが中学の時はアニメもミニ四駆も『子供がやるもの』と決めつけられていて、好きでアニメを見ていると『中学生にもなって?』とか言われるような世の中だった。それが『個性』として認められるにはもう少し時間が必要だったのである。

 当時のボクは周りのそういう反応に少し戸惑いつつも、何か悪いことをしているわけでもないのに好きなことを趣味として続けると、白い目で見てくる周りに軽い反抗心を持っていた。


 趣味が合わないと友人との話も合わない。


 中学では常にボクは一人だった。

 孤独な感じが否めなかった。

 でも趣味が合わず、話も分からない連中と話しても面白くもないから一人でも特に困りはしなかった。

 むしろこちらの分からない話を嬉々としてこっちに振ってきてほしくなかった。


 周りにとっての『()()』はボクにとっては『()()』ではないのだ。


 勉強に関しても同じで小学生までは中間テストとか期末テストなどという大きなテストはなかったのにいきなりそんなものがあるようになったので、ボクにとっては戸惑いしかなかった。

 そもそも小学校の頃からまとまって勉強するという習慣がなかったボクが、中学に入ってそんなテストの準備などできるわけがない。テスト範囲など教えられてもどこからどう勉強して良いか分からないから、テストでもいい点数はとれなかった。


 戸惑いながら過ごしていた中学1年も年が明け、1月頃。


 3月になれば春が来て進級することになる。

 そんな折にボクは雉谷(きじたに)さんという女の子の隣の席になった。

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