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恋に恋して  作者: 阪上克利


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友情?

『いや……それはさすがに……』


 それはさすがに……とボクは言ったけどみつば姐さんは美人だし性格はいいし、そんなに嫌な女性(ひと)ではない。ただどうしても恋愛の対象ではなかったのだ。


 このどうしてもというのはどういう感情なのかうまく説明できない。

 美人で性格も良くて……話しをしていても面白い。

 なのに恋愛の対象ではないのだ。

 強いて理由をいうならば……


 彼女とは距離が近すぎたのかもしれない。


 あまりに近い距離感だと、恋愛感情よりも家族みたいなそんな感じの付き合い方になってしまう。

 だから恋愛の対象ではなかったのかもしれない。


 不思議なものでそういう関係って存在するのだ。

 男女間での友情は成立するのか……と言われると異論はあるのだろうけど、こういう経験をしたボク個人としてはこれは成立するとしか言いようがない。


 ボクにとってのみつば姐さんはそんな存在だった。

『ええ――――!』

『いや、だって姐さんは恋人って感じじゃないですよ』

『何よ、失礼ね』

『いやいや……すみません。そんな意味じゃなくて』

『てゆうか、何がいけないの? 年齢?? ×がついてるから???』

『いけないとかそんなんじゃなくて……』

 少々強引ではあるが、ボクが女性から口説かれたのはこれが最初で最後であり、正直、飲み会の度に繰り返されるこのやり取りは嫌ではなかった。

 そんな毎日はいつまでも続くものではなかった。


 ある日、ボクは失敗をした。


 12月の寒い時期だった。

 相も変わらず人手不足でボクは訪問介護の仕事をやっていた。

『一時的に』と言ったボクの言葉はすっかり忘れさられ、ボクはずっと基本シフトに入っており、その日も夜勤で夕方から夜の時間にかけて仕事をしていたのだ。


 それは夕方に入っていた利用者の家での話である。

『トイレに行きたい』

 その利用者はそう言った。

 先程、苦労して歩行介助してトイレに連れて行ったにもかかわらず……だ。


 まあ、こういうことは良くある。

 時間オーバーすることを覚悟してもう一度連れて行ってあげればいいのだけど……。

 その時のボクはその手間を惜しんだ。

 というのも次の家があったからだ。


『パッドを2枚入れて置いたので、様子を見ておいてください』

『分かりました。ありがとうございます』


 ボクはその利用者をトイレには誘導せずにオムツを交換するだけにした。

 もちろん、そうした理由も正直に話し、家族にも説明した。


 にもかかわらず……

 夜勤のすべての家を終えてボクが事務所に帰ると、デスクの上には『クレーム報告書』が置いてあった。

 それは明らかにボクが夕方に入った家からのものであり、そこには黒石さんの字で『入室した男性ヘルパーにトイレ誘導をお願いしたが断られ、オムツ交換のみされたが、それではなんのために頼んでいるのか分からない』とクレームの内容が書いてあった。

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