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妹は死んでも守りますっ!!  作者: ハク白
第一章 帰ってきたシスコン
8/18

転入生来ますっ!! ☆

 かえでは、席に座りながら、晴天という青空を眺め、はぁ、とため息をこぼした。

「か~えでっ♪ど~しったの♪」

「ひゃうっ!?・・・もぉ~また加也ちゃんでしょ~・・・」

「あははっ正解っ。・・・それよりもさ、どうしたの?外なんか眺めて」

 そんなことしてたのかな、私・・・。

 かえでは、そんなことしていないよ、とでもいうように、首を横に傾げる。

「なになに、無意識のうちにため息なんて吐いちゃって・・・。もしかして、春が来ちゃったとかぁ~?」

「そ、そんなことないよぉ~・・・。だ、だからさっきも言ったように、私にはまだ恋なんて――」

 と、そこで、かえでの声はドアを開ける音によって消される。

 あれ・・・次の教科って、あの先生じゃないような・・・。

 かえでは、またしても首を傾げる。

「ありゃ?なんなんだ、一体・・・。次の教科ってあの先生じゃないよね・・・」

 加也がかえでの気持ちを代弁したかのように、リンクする。

「って、なんで笑ってるのさ、かえでぇ~」

「だ、だって、私の思っていることと、加也ちゃんが思っていること同じだったんだもんっ」

「・・・。ったく、可愛いなぁ~こいつぁ~」

 そう言って、加也がかえでの頭をグシャグシャとかき混ぜる。

「ひゃんっ。・・・やめてよぉ、せっかくセットしたのに・・・」

 うぅぅ、と涙目になって唸るかえで。その姿は、とてつもなく可愛く、そこに居た男子生徒の心を半分以上射止めた程だった。

 そんなことも知らず、かえでは、グシャグシャになった髪を綺麗にまたセットしなおして――

「むぅっ・・・。加也ちゃんの・・・バカっ」

 わざとらしくかえでは頬をぷー、と膨らませる。

 その頬を加也は「ツンツンッ♪」と呟きながら突っつく。

「あぅ・・・。ちょっとくすぐった・・・」

「じゃあ~も~っとやっちゃおっと♪」

 そう言って加也は、頬ではなく、かえでの脇をいじくる。いわゆる「こちょこちょ」という代物だ。

「そ、それだけは、やめてぇ、加也ちゃんっ。私がそれ弱いこと知ってるでしょっ」

「ふふふ・・・堪忍し~やぁ~・・・」

 加也が黒いオーラをまとった笑みでかえでに近づいて行く。その時――

「こら、加也。いつまでそうしている・・・。席に着け」

「・・・ちぇっ。今から良い所だってのにさ~」

 かえでは、この時ばかりは、先生を神様だと崇めた。

 ありがとー先生・・・。私、きっとだらしなくなっちゃうから・・・。

「・・・よし。みんな席に着いたと・・・」

 先生は、一度クラスを見回すと、次に名簿を確認する。

 どうしてだろ・・・。今、確認済んだなら、名簿なんて見ることないのに・・・。

「ぇっと・・・じゃあ、遠山とおやまっ!机と椅子、セットで一つ持ってこい」

「どうして俺が――」

「このクラスの委員長なんだろ?・・・ほら、さっさと行くっ!」

 遠山と呼ばれた男子生徒はダルそうに「はぁ~い」と呟いて、教室を出ていく。

「あのぉー、誰か来客が来るんですか?」

 あ、加也ちゃんだっ・・・。やっぱり、率先して質問するなんて、すごいなぁ~・・・。

 かえでは、立って質問をしている親友加也を尊敬のまなざしで見つめていた。

「・・・来客、とはまた違うな・・・。っと、遠山、御苦労さん。そこらへんに置いておいてくれ」

 先生は一番後ろの窓側を指さし、遠山はそこへ丁寧に置く。さすが委員長という所で、前の席に合わせちゃんと綺麗に置いた。

「・・・よし、これでまた全員そろったな・・・。突然で悪いな・・・実はこのクラスに転入生が来た」

 先生が唐突かつ端的に言い放つ。当然、生徒たちは唖然とする訳で。

 そしてかえでもその中の一人だった。

 転入生・・・でも、どうしてこんな中途半端な時間に・・・。

 ついさっき2時間目が終わった時刻だ。普通は、朝の時間にくる訳だから、こんな疑問を抱いてもしょうがない。

「ん、んんっ・・・。えぇ~、朝には間にあわなかったらしく、今来たばかり、とのこと」

 何回か咳払いをして、言葉をつなげる。

 遠くから見ていても、どこかあせっている感じだった。

「・・・で、では入ってきてもらう・・・」

 そう言うと同時に、前のドアが開く。そして、そこからゆっくりと歩いてきた生徒を見て、かえでは絶句した。

 なぜなら、それは昔、離れてもう会えないと思っていた初恋の人――


「はじめまして・・・えっと、かたっ苦しいのは嫌いなんで、名前だけ」

 そういって、男子生徒は黒板に名前を書いていく。

「櫻庭零、と言います――」


 ――兄の姿があったからだった・・・。

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