事務室探しますっ!!
初めに言っておきます・・・。すみません、少しグダグダになってしまいました。転入することをネタにすることは考えていなくて・・・。
次回は、考えてありますので、あしからず・・・。
面白味が一切ない理事長室を抜け、そして―――
「さってとぉ~・・・。事務室は、確かぁ~♪」
零は、記憶の断片をまさぐりながら、その場所へとノリノリで向かっていた。
ふふ~んっ。なんてったって、俺のアイドル兼萌えキャラ近くに毎日これから居られるんだからな。
っと、確か、この角を右に曲がって――
「・・・?」
この角を、右に曲がって・・・。
「アレレ・・・。ちょっと待て、なんで事務室が、ジム室になってんだよっ!?おかしいだろ、なんだよ、事務員がここでハッスルするのかっ!?」
―――迷っていた。とめどなく、迷っていた。
「聞いてねぇよ。アリかよ・・・そんなの」
零はトボトボとジム室に向かう。当然、部屋に入る前の扉には窓ガラスがあるわけで。
「・・・うっぷ・・・」
零は手を口にあて、屈みこむ。
見ていない。俺は何にも、見ていない。・・・うん、肉塊で肉弾戦車なんて一切見ていないぞ。・・・よし、此処は、かえでの笑顔を思い出すんだ。思い出せ、あのほんわかした、最高の笑顔を・・・。
「あぁ~・・・さいっこうっ!!」
って、今はそんなことじゃねぇ。その最高の笑顔を守るために、編入するんだろ。
零は、絶対に窓を見ないように、後ろを見ながら、立ち上がる。
その時――
「いやぁ~、今日も良い汗かいたな。これで、事務が出来るって訳だ」
「そうっすねぇ、先輩。ついでに、今日は何本シャーペン折れるか新記録だしましょうよ」
零の丁度後ろで、窓があき、声が聞こえた。
意味わかんねぇよ。汗かいて事務の仕事ってどんな神経してんだよ。シャーペンはちょっと見てみたいけど、可哀想だろっ。
「アレ、先輩。なんか、見ない生徒が・・・」
「ほんとだな。おい、お前、そこで何してる!?」
零は後ろを振り向く。
あぁ、俺今猛烈に吐きそう・・・。なんで、俺が野郎の汗ばんだ肉塊の身体を見ないといけねぇんだよ・・・。
「きみ・・・」
「あ、あのぉ~・・・。頼むから、それ以上近づかないで、お願い。一生のお願い」
「・・・いい身体しているな」
「お前死ね。キモい、ハゲろ、とにかく近づくな。・・・っていうか、何?お前、アッチ系の趣味があるのか?」
「・・・攻めなら自信がある」
「やめて、お願い。やめて?」
「っていうか、先輩。早く行かないと、仕事遅れますよ?・・・そんな知らない人なんてほっておいてさぁ~」
後ろに居るこれまたマッチョな男がそう言うと、「それもそうだな・・・」と言って、俺の横をすぐにすり抜けて行った。
何、ここっ。学院として、いろいろ突っ込みたいよっ。っていうか、俺が居た時、こんなの無かったぞ。
「あぁ~・・・。お兄ちゃん、やっぱりかえでをこの学校に居させるのはやめようと思うんだけど、かえでなら聞いてくれるよね?」
零は、喉まで迫ってきている吐しゃ物をなんとか堪え、本当の事務室を探しに歩き出した。
ジム室から離れて、丁度10分と言うところだろうか。零は、あることに気がついた。
思ったんだけど、事務室って普通は、学校の一番下か上だよな。そんなことになんで俺は気がつかなかったんだろう・・・。
「まずは、上から行ってみるか・・・」
記憶頼りに、上まで上がれる、前時代でいうとエスカレーターを探す。
っと、発見・・・。って――
「マジか・・・。『浮上階』になったのか・・・」
浮上階。その原理は、浮上線と同じで、ただ違うのが、少ない人数と、動ける範囲が上下か左右の2択だ。
導入はさほど難しくはないが、コストが少し高い。故に、学校ではあまり見ないのだが・・・。
これも、発展都市ならではってところかな・・・。
零は、浮上階に入り、そして上を目指した。
よし、いいぞ、俺いいぞっ。あと少しで、お兄ちゃんが毒牙から守ってあげるからな。
「~~~♪」
ピーンポーン
機械音が成り、目の前の扉が開く。すると目の前には――
「きたぁーーーっ!!『寺務室』っ!!!」
ちょっと何かが違うと思うけど、たぶん大丈夫。
零は、また扉に付いているガラス越しに様子を見る。心なしか、皆がハゲているのは間違いだろう。
「すみませーん。あのぉ、ちょっと聞きたいことがぁ~・・・」
零が勢いよく、ドアを開ける。すると、ハゲたおっさんたちがものすごい勢いでこちらを凝視した。
こわ・・・。何これ、皆ハゲてるし、そんで何か、皆茶色い服装をしているんだけど・・・。
「あ、あのぉ~・・・」
「キミも、寺の職を貰ってきたのかね?」
「・・・寺?」
「・・・寺務室って書いてあっただろう?」
おいおいおいおい。『寺務』室だってのか。嘘だろ。しょーじき、需要ねぇよ。読んでる方たちだって、『あ~またそのオチかよ』のくらいの認識しかなくなってくるよっ。
「・・・まずは、そのフサフサの髪の毛を――」
「いえ、結構です。すみません、また饅頭を3つほどお供えしますんで、じゃ――」
零は、勢いよく、扉を閉め、浮上階に戻った。
もうダメっ。お兄ちゃん、くじけそう・・・。・・・いや、此処でくじけたら、あの天使の笑顔が・・・。
頭の中で聞こえる、聞こえるぞ。『お兄ちゃ~ん、助けてぇ~~いやぁ~~~っ!!』って聞こえる。お兄ちゃん、頑張る、頑張るよっ。
ピーンポーン
正確な機械音が鳴り一番下の階に到着する。
あぁ~、ピーンポーンってこういう時、なんかうぜぇな・・・。
零は、即座に職員玄関へ向かった。
「おぉ・・・あった、あったぞ。ついに、見つけたんだっ!!」
職員室を――
ってバカなことやってないでさっさと行くか・・・。
零は上にある札を良く確認して、扉をあける。
「しつれーしまーす」
正確な事務員が俺の方を向く。
たったこれだけなのに、感動する・・・。俺って、さみしい子。
「何か御用が・・・?」
「あぁ、俺を転入させてほしい」
「は・・・?」
「は・・・?じゃなくて、転入」
「その、意味が今一・・・」
「ええい、うるさいっ!とにかく俺を転入させろっ!!・・・大体、意味わかんねぇのはこっちだって同じだっ!なんだよ、ジム室だか、寺務室だかって。意味わかんねぇよ!」
「そんなこと急に言われましても・・・」
零が口論をしている時、ドアが突然開いた。そこには、俺を理事長室まで連行した警備員が居て――
「理事長の命令だ。そいつを、入学させろ・・・と」
「おおっ。あんたやっぱりいい奴だなっ!!さすが俺に羞恥プレイを望んだ男だっ!!」
「今からでも、取り消しは遅くないんだぞ?」
「ごめんなさい・・・もう言いません」
こうして零は、晴れて高等部1年Bクラスに編入することが出来たのだった。
まぁ、何が『こうして』なのかは・・・気にしないでくれよ・・・。