表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹は死んでも守りますっ!!  作者: ハク白
第一章 帰ってきたシスコン
3/18

かえでの一日ですっ!! ☆

 胸ポケットに『櫻庭さくらばかえで』という鉄で出来たようなネームプレートを確認して、玄関に向かう。

 櫻庭かえで、それは私の名前だ。事実、櫻庭という名字は貰ったに過ぎなく、私は戦争孤児。

 記憶の一部が無くなっていて、名前は思い出せた。けれども、私には身寄りが分からなかったため、引き取られた先が櫻庭家だった。

「行ってきまぁ~す・・・」

 例えどんなに挨拶をしても返事は来ない、分かってはいるのだが、癖で毎日してしまう。鍵の閉め忘れはないか、どこか不備がないかと一通り確認して私は学院へ向かう。

 今から行く場所は『神立しんりつサラヴァン学院』という、魔術学校だ。

 6歳から入学可能で、最低卒業年齢は20歳という無茶苦茶な学校だが、この都市内ではここしか魔術を教わることが出来ないので、だいたいの子供が此処に入学をしている。

 まぁ、そのせいか人数はほんと多いんだけどね・・・。

「やっほぉ~、かえでっ♪」

「ひゃうっ!?」

「ん~、いつ聞いても見ても感じても、可愛い反応だねぇ~」

「も、もうっ!脅かさないでよ、加也ちゃんっ!」

 いきなり後ろから抱きついてきた女の子。同じ学校に通う友達で、名前は『早乙女さおとめ加也かや

 いつもだけど、どうしてか慣れないんだよね・・・加也ちゃんの抱きつき。どうしてだろう。

「ん~・・・それは聞けない提案なんだよねぇ~♪」

「どうして~・・・?」

「だってぇ~、かえでの反応が可愛いんだもんっ。もう、私の嫁決定っ!!」

「よ、嫁ってぇ~・・・」

 うぅ・・・朝だっていうのに、このテンションはどこから来るんだろう・・・。

 かえでは、加也ちゃんが自分とは違う人間に思えて仕方がなかった。

 そう考えていると――

「ったく、騒がしいなぁ・・・お前は・・・」

 丁度十字路の所で会う男の子、『前城まえしろ大機だいき』も私たちと同じ学校で、初めての男友達だ。

「騒がしいって言われちゃってるよぉ、かえでぇ~」

「え・・・えと・・・。ごめ――」

「なんで櫻庭なんだよっ!?加也、お前だよ、お前以外誰が居るんだよっ!!」

「ったく、うるさいのは、あんただって同じでしょ?大機ィ~」

 前城と、加也が喧嘩するのは毎日だ。この2人は俗に言う幼馴染でお互い「こんな幼馴染いらない」と言っているけど、かえでにとって喧嘩するほど仲がいい、の代名詞みたいな、そんな存在だ。

 騒がしいのは嫌いじゃなくて、どちらかというと、好き。あまりにもうるさすぎ、というのはどうかと思うけれど、聞いていて楽しい感じになれる。

 2人を見ていると、不意に笑ってしまう。

「・・・くすくす」

「・・・って、櫻庭ァ~、何笑ってんだよ、お前からもなんか言ってやってくれよ」

「あははっ、だって、面白いんだもん、前城くん。だって、強い言葉だけど、そこまで口悪くないよね」

「そ、そんなことねぇって」

「そんなことあるのですよぉ~、前城くん。やっぱり、優しいね♪」

「な、ななな、何言ってんだよ、さ、ささ櫻庭はっ!!」

 真っ赤になる前城大機。

 どうしたんだろ・・・。熱でもあるのかな。

「あははっ、大機、どもってるぅ~。それに、真っ赤だよぉ~?」

「う、うるせっ!加也は黙ってろ・・・!」

「怖い言葉ぁ~・・・。大機がいじめるよぉ、かえでぇ~」

 加也がかえでの後ろに隠れるようにして、陰に入る。

「ちょ、加也ちゃん・・・。なにしてるの?」

「うふふ~・・・。大機の弱点は~・・・コレだっ!!」

 そう言うと、加也はかえでの両肩に手を乗せると、大機の前に突きだした。

 突然だったため、少し足元をすくわれるが、すぐに立て直す。

「・・・っ!!・・・加也、お前ぇ~」

 普通なら、これくらいされて気がつくだろうが。かえでは、私が嫌いなのかな、という認識しかなかった。

「これくらいしないと、大機、望み薄だよぉ?」

「くぅ・・・悔しいけど、加也の言うとおりなんだよな」

「・・・?どうしたの、陰で2人で。秘密の話?」

「あぁ、それはこいつが、かえでぇ―――」

「何話そうとしてんだコラ?―――櫻庭には関係ないから、うん、全然これっぽっちも」

「・・・?」

 歩き始めて数分。楽しい時間も終わりを告げた。



 目の前にあるのは、神立サラヴァン学院。

 大きさは、そこらへんの高層ビルと何ら変わりなく、全校生徒は約4000を超えると言われている。

 下から上に上がるにつれて、ランクや年齢が上がっていき、私たちは16歳のランクBという普通のクラスなので10階の層だ。

「はぁ~・・・。クラスまでお前と同じってのが笑えねぇ冗談だよな・・・」

「いいじゃん、大機。私が居るところには、絶対にかえでが居るんだからぁ~」

「な、なんでそこに櫻庭が出て来るんだよ」

 なんで私が出て来るんだろう・・・。やっぱり、嫌われてるのかな、大機くんに。

 俯きながら歩いていると、突然聞き覚えのない声でかえでを呼んでいる声が聞こえた。

「あ、あの・・・。かえで先輩・・・ですよね?」

 その声は男の子で、先輩って言ってるってことは後輩なんだと感じ取ることができた。

「えっとぉ~・・・そう、だけど・・・」

「僕の名前は鹿島かしま雄平ゆうへいって言います。その、お話があるんですけど・・・」

「此処じゃ、ダメ・・・かな?」

「あ、えと・・・その・・・」

 鹿島雄平は大機と加也を気まずそうにちらちらと見る。

 それに気付いたのか、2人は少し離れ、遠くから様子を見守ることにした。

「ほらぁ~・・・いいの?大機ぃ・・・」

「な、何がだよ」

「あの子、っと鹿島雄平くんだったっけ?彼、結構中等部じゃあ、人気だよ?ランクAで、顔よし正確よし頭よしの天才くんだよ?」

「だから何がだよ!・・・櫻庭が誰と付き合おうが、俺には関係ないだろ・・・」

「へぇ~ふぅ~ん、ほぉ~」

「気持ち悪いなぁ~言いたいことがあるならハッキリと言えよ」

「いやぁ~、臆病者、チキン、意気地なしって思ってなんかいないよぉ~」

 大機は、その言葉を受け流し、かえでを心配そうな目で見ていた。

 数秒経つと、かえでが2人の所へ戻ってくる。

「また告白ぅ~かえでぇ?」

 かえでは、真っ赤になりながら小さく「うん」と答える。

「アレアレ、その反応って、まさかまさかぁ~?」

「ち、違うよっ!・・・で、でも、その告白の言葉が恥ずかしいというか、なんというか・・・」

「へぇ~、教えてよぉ?」

「だ、ダメだよっ!一生懸命に考えて私に言ってくれた言葉を言いふらすなんて、いくらその頼みが加也ちゃんでも、無理だよぉ・・・」

「ま、それもそっか・・・。ったく、ほんと何回目?かえでが告白こくられるの」

「え・・・っと・・・覚えてない、かな・・・」

「うわぁ~・・・。朝に食パンを食べた回数なんて覚えてない、みたいなノリだよ、それは」

「そ、そんなことないもんっ。わ、私、朝はご飯派だから、食パンは食べないもんっ」

「そ~ゆ~問題じゃないんだけどね・・・。ま、あんたに泣かされている子は大勢いる、と」

「うぅ~・・・。なんか誤解を招く言い方だよぉ、それ・・・」

「でもさぁ。かえでって、どうしてそんなにふっちゃうの?結構良い線の奴とかいっぱい居たでしょうに」

「こ、恋には、今は興味ないかなぁ~・・・なんちゃって・・・」

「・・・かえで、もしかして好きな人とかいる系なの?」

「な、なんだってぇっ!!!!」

 それまで黙っていた大機が突然大声を出す。

 ひぅっ・・・。びっくりしたよぉ・・・。

「そ、そんなこと、ない・・・よ?」

「なんで疑問形なのさぁ。・・・もしかして図星なんじゃないの~」

「うぅぅ・・・。ひどいよぉ、加也ちゃん・・・」

「そんなに真っ赤になっちゃってぇ。こりゃあ、大発見だなぁ♪」

 かえでは、萎れる花のように俯く。

 そして少し離れた場所では、柱に頭突きを何度もしている大機がいる。

 にゅふふ~、と嬉しそうな加也。

 どうしてだろう、加也ちゃんはいっつも、鋭い。私が隠していることお見通しなのかな・・・?

 そう、私は1人の男性を一途に思い続けているのだ――・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ