妹を守るため、帰還しますっ!!
「・・・うっわァ~・・・。なっつかしィ~・・・」
この街に来て、早数分。俺の第一声はコレだった。
最も『魔術』が発達、進歩している大都市『グランダ』
第一声でも分かる通り、俺の生まれ故郷だ。と言っても、此処に住んでいたのは、10歳までで、それからは、義理父に着いて行って、いろいろな場所を転々とした。
昨月、義理父の突然の死により、7年ぶりに帰ってきたのだが――
「街って、7年でかなり変わるもんなんだな・・・」
7年離れていたと言えど、それ以上に住んでいたこの街、そして生まれ故郷のことは忘れることはない。だが、俺の記憶していた街とは随分変わっていた。
今から、約4年前。この時は随分鮮明に覚えている。
なんてったって、俺が『魔術戦争』に加勢した初めての日なのだから。
――このころ、この街『グランダ』は『魔術向上都市』に認定された。
まず、人口が多い。それに、子供から妙齢まで魔術を教える学院みたいな場所があり、此処の人口の9割は魔術が使えると言ってもいいほどだ。
その時、俺の真下に大きな影が出来た。
「――なっ・・・。まさか、『浮上線』・・・!?」
真上を見上げると、そこには、小型の船のような形をして、人を乗せて動いているものがあった。
あれは、ここらでは見ないと思っていた『浮上線』だ。魔術の力で、アレを浮かし、そして遠くの所へ人を運ぶ乗り物、いわば、前時代のバスの役割を果たしている。
かなりの魔術力に加え、精密な組み立て、そして多額の生産コストを支払わなければ、作ることはおろか、導入することさえままならない代物なのだが――
「おや?・・・浮上線は初めてかね?」
俺が物珍しそうに、浮上線を見上げていると、突然、声がした。
顔を向けると、そこには、歴史に詳しそうな老人が立っていた。
「あ、はい・・・。というか、この街に久々に帰ったもので、なんか、変わったな・・・と」
「そうでしたか・・・。確かに、此処10年ですっかり変わりましたな」
「俺が此処に住んでいたのは、今から7年前で、面影がない・・・わけじゃないんですけど」
「7年前・・・だから、浮上線が珍しいと」
「・・・かなりの、成長ですね。・・・っと、それよりも、どこか、何も変わってない所、とかありませんかね?」
「・・・なら――」
と言って、老人は、指を指して「あそこなら」と親密そうにつぶやく。
あの方向は・・・。
「分かりました。ありがとうございます」
俺は、すぐにその場所へと、歩き出した。
俺にも、この方向は覚えがある。
歩き出して、数分。いかにも『都市』という感じの通路を通り抜けると、そこには―――
「・・・・・・・・・」
言葉が出なかった。
そこには、一つの大きな『桜』の木が、季節関係なく、満開だったのだから。
かわらねぇな・・・。今も、昔も・・・此処は。
俺はそっとの地面を噛みしめるかのようにじっくりと歩く。
「季節外れの『間違い桜』か・・・」
俺は、その桜の木の幹にそっと触れる。
此処は、俺のお気に入りだ。なんとなく気持ちが和らぐ。
間違い桜、それはなぜか枯れることは一切ない桜で、そしてなぜか桜の木はコレ一本しかない、という都市伝説みたいなものになっている。
「・・・ただいま。少し、遅くなったけど・・・わりぃな」
俺は桜に語りかけるように優しく呟くと、来た道をそっと戻って行った。
俺が帰ってきたのは、ただの桜観光でもなく、懐かし麗し感動の再会を期待しているのでもなく、ただ俺の唯一の家族『妹』を守りに来たのである。
今、この街は、あまりにも危険すぎる。
発展都市だか、発達都市だか知らないが、人間、誰でも力を持てば、使いたくなるのは当然だ。
故に、この大都市は、国内では至らず、世界までの脅威となっている。
そんなことを構わず、この都市は国内の進行を噂されている。つまり、今まさに、一発即発状態なのだ。
もし、この都市が進行、またはどこか過剰なほどの愛国家が危険とみなし、攻撃でも行えば、戦争に発展するのは目に見えている。
IFの可能性。決して『0』とは言えない。
だから俺は、そんなときのために、『妹』を守りに来たのだ――・・・。