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プロローグ
魔法、超能力。
それは、決して伝説でもなく、おとぎ話でもない。人々がそう認識し始めたのはいつのころだろうか。歴史によれば、二世紀前の第三次世界大戦の時、ある軍が超能力と称して、使ったのが始まりだとされている。
それらは、後に、『魔法、超能力』から『魔術』へと名前を変えた。誰しもが使える、そんな便利なものでもなく、才が必要なのも、人間の道理だ。
魔術を扱う人間を『魔術師』と呼び、ある地域では神に仕えし者と称え、またある地域では災害の調べと軽蔑される。
だが、それすらも、一世紀前のこと。今現在では、誰しもが魔術を使い、そして世界各国が魔術師の育成に勤しんでいた。
大都市グランダ。そこに建つ『神立サラヴァン学院』では、幼い年代から、妙齢まで、幅広い年代の魔術師を育成させていた。
入学するためには、魔術の開花のみが条件であり、それ以外の変わったものはない。
そこに通うある一組の兄妹が居た。
兄は、妹に魔術とは無縁の生活を送ってほしいがために、妹は、兄を支えるために魔術師を目指す。彼らの意思は交差しては、混じり合っていく――・・・。