恐れとともに
少女は侵食体の襲撃から身を守りながら避難所で暮らしていたが、子どもを救ったことで能力が露見する。
大人たちに「守る力」として扱われ、少女は能力の使用を強いられるようになるーー。
瓦礫と雨漏りの残る体育館。
少女は日々、能力を酷使されながら、恐怖と重圧に押し潰されそうになっていた。
侵食体の襲撃は日に何度もあり、そのたびに止める力を振るわされる。
小さな手で広い範囲を制御するには、あまりにも負荷が大きすぎた。
力を使うたび、身体の奥が軋み、意識が削れていく。
もう限界が近い――そう分かっていても、止めることはできなかった。
ある夜。
避難所の外で、何かが崩れる音がした。
次の瞬間、侵食体が群れとなって押し寄せてくる。
少女は息を止め、手を伸ばし、握りしめる。
必死に侵食体の動きを止めた。
だが範囲には限界があり、完全には守り切れない。
叫び声と瓦礫の崩れる音が渦巻く。
避難所は瞬く間に壊滅した――。
生き残ったのは少女だけ。
誰も守れなかった、守りきれなかった責任が肩を押しつぶす。
少女はただ、震える足で夜の闇の中へ逃げ延びた。
夜明け前、少女は荒れた道を歩き続けていた。
見渡す限りの廃墟――焼け焦げた街並みを抜けるたびに、胸に渦巻く孤独と絶望が重くのしかかる。
地面を踏む音だけが、やけに大きく響く。
誰もいないはずなのに、どこかで誰かに見られているような感覚が、消えない。
やがて、視界に小さな町が現れる。
壁で囲まれたその町の上、まるで神のように静かに佇む影が見えた。
その影は、巨大なライオンだった。
昔、動物園で見たものとは、まったく異なる存在。
筋肉の隆起も、毛並みも、圧倒的だった。
ただそこに立っているだけで、空気が重く沈む。
――見られている。
そう気づいた瞬間、背筋が凍りつく。
そして、目が合った。
少女は、その場に縫い付けられたように立ち尽くす。
その瞳には、人の言葉を理解し、考える知性が宿っているようだった。
ただの獣ではない。
神と崇められ、町を治める者。
少女はまだその名を知らない。
ただ――この町で、自分の運命を大きく変える相手がそこにいる、と肌で感じた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
この作品は、実際に見た夢をもとにしています。
そのため、雰囲気や感覚を大切にしながら描いていきました。
この出会いがこれからどのように繋がっていくのか、書き手としても楽しみながら進めています( ¯ᵕ¯ )
よければ、次のお話も読んでいただけると嬉しいです。




