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止める力

終わりも分からず続く検査の中、少女の体には本来あり得ない特異な性質が見つかる。


侵食されないという安堵と、普通ではないという戸惑いが、少女の中で静かに揺れていたーー。



もう何度目の実験だろう。


音も、時間も、感覚さえも薄れていく。


ただ同じ光景だけが、何度も繰り返されている。



そんな日々の中で、施設内にわずかな異変が走った。


遠くで、誰かの慌ただしい足音が交差する。



直後、警報が鳴り響く。


鋭い音が空間を切り裂き、壁という壁に反響していく。



ーー記録。

重複実験による負荷蓄積。

検体、制御不能。暴走を確認。



赤い警告灯が点滅し、白一色だった空間を不気味に染め上げた。


逃げ惑う人々のなかで、少女は再び“それ”に遭遇する。



侵食体ーー。



形を持ちながらも、どこか現実味のない異質な存在。


その姿を目にした瞬間、幼い頃の記憶が蘇る。


あのとき止めたもの、逃げ出した自分。


曖昧だったはずの断片が、鮮明さを帯びていく。


少女は本能的に息を止めた。


そして両手を前へと突き出し、強く握りしめる。


次の瞬間だった。


周囲にいた数体の侵食体が、ぴたりと動きを止める。


その事実は、少女自身にとっても予想外だった。



――止められる。


しかも、複数を同時に。


初めて自分の力の輪郭を理解した瞬間。



それでも、少女の胸にあったのは恐怖だけだった。


誰かを守るという意識はない。ただ、自分が生き延びるために手を伸ばしたのだ。


その一瞬の静寂の中で、自分の中にある何かをはっきりと自覚し始めていた。



ここまで読んでいただきありがとうございます。


この作品は、実際に見た夢を元にしてます。

そのため、現実的な理屈よりも、雰囲気や感覚を大切に描いていきます。


歪んだ世界に救いはあるのか、少女がどんな風に成長していくのか、楽しんでいただけたら嬉しいです。


よければ、また次話も読んでいただけるとこっそり喜びます。

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