眠る本能
生き延びた先に待っていたのは、決して救いとは言えない場所だった。
少女が足を踏み入れた施設で見たもの、そして知ることになる“自分の価値”。
その一端を、ぜひご覧ください。
少女は生き延びたものの、世界は容赦なく彼女を追い詰める。
生存者として、そして“価値ある存在”として――。
建物に足を踏み入れると、冷たい金属の床と消毒薬の匂いが鼻をついた。
施設内には、少女より幼い子どもたちが検体として隔離されていた。
怯えた瞳をこちらに向ける彼らの姿は、未来のない影のようだった。
その光景を前に、少女は無意識に視線を逸らした。
まっすぐに見返すことができず、胸の奥に小さなざわつきだけが残る。
検査は淡々と繰り返される。
血液の採取、画像による内部の確認、そして体内の変化や反応の観察。
白く無機質な空間の中で、規則的に機器の駆動音だけが響いていた。
時折、どこかの区画から子どもたちの泣き声が漏れ聞こえる。だがそれも長くは続かず、やがて機械音に紛れて消えていく。
その場所は、安心できる環境とは言い難かった。
冷えた空気の中で、ここにいる者たちの時間だけが切り取られているかのようだった。
やがて一連の検査の中で、少女の体には特異な性質があることが判明する。
通常であれば影響を受けるはずの変化が、彼女の体内では抑制されていた。
体内に潜む何かが、その進行を抑えている。
その事実に、少女は理由も意味も理解できず、ただ漠然とした安堵と戸惑いを胸に抱いたーー。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
この作品は、実際に見た夢を元にしてます。
そのため、現実的な理屈よりも、雰囲気や感覚を大切に描いていきます。
「侵食」や「止まる世界」といった要素が、これからどのように広がっていくのかも、楽しんでいただけたら嬉しいです。
よければ、また次話も読んでいただけると飛び跳ねて喜びます。




