表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

侵されない者

初めての投稿になります。

本作はダーク寄りのSFパニック作品です。


正体不明の「侵食」を中心に、世界が少しずつ崩れていく様子と、その中で生きる少女の姿を描いています。

一部に残酷・不穏な表現を含みますので、ご注意ください。


拙い部分もあるかと思いますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。

世界は静かに崩れていた。


目に見えない異変の気配が街や人々を(むしば)み、日常は少しずつ、確実に歪んでいた。


人々はその変化に怯えながらも、正体の分からない脅威から身を潜め、限られた情報と僅かな光を頼りに生き延びている――。


数日前、その異変に関わる存在が初めて報道された。

ニュースは繰り返し同じ言葉を並べる。


「詳細は不明」

「調査中」


映像も証言も断片的で、どれも確証には至らない曖昧な内容ばかりだった。


ただ一つ、共通して語られていたのは、人間から変化した生き物ということ。


膨れ上がった腕、鋭く尖った牙、剥がれ落ちる皮膚。


常識では説明できないその姿は、見る者に本能的な恐怖を植え付ける。


牙をむき、腕を振りかざして襲いかかるその存在は、もはや人間とは呼べないものだった。


しかし、それはかつて人間だったとされている。


何らかの影響によって肉体が変化し、理性を失い、別の存在へと変わったもの。


そして、体液を介して増殖する。


人々はそれを「侵食体(しんしょくたい)」と呼んでいる。


その正体はいまだ解明されておらず、発生の理由も分かっていない。


不確かな情報だけが不安を増幅させ、恐怖は静かに広がり続けていた。


そして、現時点ではこの地域に侵食体は現れていない。


それが事実なのか、それとも単に確認されていないだけなのか。


確かなことは誰にも分からないまま、時間だけが過ぎていく――。


静まり返った街の空気を裂くように、遠くで何かが砕ける音が響く。


続いて、短く途切れる悲鳴。


それはすぐに連鎖した。

一つ、また一つと、叫びが重なり、夜の静寂を押し流していく。


街に火が広がる。

 

倒壊した建物からは煙が立ち上り、光と影が不規則に揺れていた。


逃げ惑う人々の足音。


崩れる瓦礫。


誰かを呼ぶ声。


その混乱の中心に、()()はいた。


形も色も、通常の生物とは明らかに異なる。


牙をむき出しにし、腕を振り上げ、逃げる人々へと突進する。


その動きに迷いはない。


ただ“獲物”を追う本能だけが、そこにあった。



その光景の中に、ひとりの少女が立ち尽くしていた。


暴走する侵食体の目が、少女を捉える。


次の瞬間、地面を蹴り、一直線に迫ってきた。


距離が一気に詰まる。


恐怖が身体を支配し、少女は息を止めた。


その瞬間――奇妙な感覚が走った。


音が遠ざかり、周囲の叫びが膜越しのようにくぐもって聞こえる。


母親の悲鳴が遠くで響き、父親が誰かに押し倒される音も、耳に届く。


ただ、目の前の侵食体だけが確かに"止まっている"。


空中で振り上げられた腕。


露出した牙。


そのすべてが、まるで時間から切り離されたかのように静止している。


現実味のない光景。


――「逃げろ!」


どこかから声が飛んだ。


その声に反応するように、少女はようやく身体を動かした。


震える足を踏み出し、止まった侵食体の横をすり抜ける。


瓦礫を避け、煙の中を駆ける。


息が上がり、視界が揺れる。


それでも、足は止まらなかった。


ほんの数秒……

その短い瞬間が少女を生かした。


背後では、世界がまだ崩れ続けている。


家族の声が途切れ、建物が倒れ、炎が広がっていく。


少女は振り返らなかった。


ただ前だけを見て、走り続けた。


その先に何が待っているのかも知らないまま、少女は研究施設へ送られることになる。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


この作品は、実際に見た夢を元に構成しています。

そのため、現実的な理屈よりも、雰囲気や感覚を重視した表現になっています。


「侵食」や「止まる世界」といった要素が、今後どのように広がっていくかを描いていく予定です。


よければ、また次話も読んでいただけるとマンモスうれぴーです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ