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新たな勇者は現れる!

このエッセイはこれで終わりです。皆さんが楽しんでいただければ幸いです。


ここまでの議論を踏まえて、

一つの事実を改めて強調しておきたい。


日本の多くのファンが求めているものは、

実は非常に単純である。


それは三つの感覚だ。


認められること。

大切にされること。

そして、称賛されること。


日本社会の構造の中で、これらの感覚は決して容易に得られるものではない。

厳しい競争、過度な労働、絶え間ない評価。


その環境の中で、多くの人々は、

自分が本当に価値ある存在なのかどうかを確信できないまま生きている。


だからこそ、物語の世界は重要になる。


物語の中では、主人公は認められる。

仲間に必要とされる。

時には英雄として称えられる。


しかし、ここで一つ現実的な問題がある。


日本社会そのものを短期間で変えることはできない。

どんな社会であっても、構造的な変化には長い時間が必要である。


したがって、漫画、アニメ、ライトノベルの産業を変えるために、

ファンが求めているすべての要素を排除するという方法は、

現実的とは言えない。


もし、ファンが求めているものをすべて否定してしまえば、

それは単に市場そのものを破壊するだけになるだろう。


だが、ここで見落としてはならない重要な点がある。


ファンが楽しむ要素と、芸術的な実験性は、決して矛盾するものではない。


例えば、いわゆるエッチなファンサービスを考えてみよう。


一見すると、それは純粋な娯楽のための装置のように見える。

しかし、歴史を振り返れば、それに近い要素を含む作品は数多く存在する。


たとえば、スタンリー・キューブリックの映画『A Clockwork Orange』。

あるいはラルフ・バクシのアニメーション作品。


これらの作品には、

現代の異世界作品のファンが楽しむようなファンサービスが含まれている。


しかし同時に、それらは

映画史に残るほどの独創性と芸術性を持っている。


つまり、娯楽性と実験性は、

本来対立する概念ではないのである。


同じことは、異世界ジャンルについても言える。


異世界という設定それ自体は、

決して創造性を制限するものではない。


問題は設定ではなく、

その使い方である。


したがって、漫画、アニメ、ライトノベルの産業を再び活性化させるための道は、

それほど複雑ではない。


必要なのは、二つの要素を組み合わせることである。


一つは、ファンが求めているもの。

もう一つは、創造的な実験精神である。


例えば、魔法とファンタジーの異世界。

それ自体は何度も使われてきた設定だ。


しかし、その内部で行える実験は、

まだまだ多くがあります。


異世界、魔法、ファンタジー。


この三つの要素のうち、

どれか一つを取り除くだけでも、

物語の形は大きく変わる。


たとえば、魔法は存在するが、

エルフもドラゴンも存在しない世界。


巨人もドワーフもいない。

人間の魔術師だけが存在する社会。


それだけでも、

既存のテンプレートとは異なる物語が生まれる。


このような未開の可能性は、

異世界ジャンルの中に無数に存在している。


空に星があるのと同じくらい、

まだ誰も試していないアイデアが存在する。


必要なのは、ただ一つ。


本当に実験しようとする意志である。


かつて、手塚治虫という勇者が存在した。

彼は未知の領域に橋を架け、

想像力の地図を描いた。


しかし、今ではその勇者はもういない。


では、「和」という名の魔王に立ち向かう次の勇者は誰なのか。


答えは、すでに決まっている。


それは、あなたである。


読者であり、

書き手になり得るあなた自身だ。


既存の型をただ消費するだけではなく、

新しい物語を生み出すこと。


誰も試したことのない形式を試みること。

前例のない組み合わせを想像すること。


その一歩が、この産業を再び動かし始める。


幸いなことに、

そのための場所はすでに存在している。


小説家になろうである。


ここでは、

まだ誰にも知られていない作品が毎日生まれている。


ここでは、

形式よりもアイデアが先にある。


だからこそ、この場所は

新しい勇者が現れるのに最もふさわしい場所なのだ。


さあ、恐れる必要はない。


独創性を抱きしめよ。

実験を恐れるな。


そして、

「和」という名の魔王に剣を向けよ。


この産業を救えるかどうかは、

私たち自身にかかっているのだから。

このエッセイを楽しんでいただき、少しでも視点が変わったなら幸いです。最初からこのエッセイを読んでくださった皆様に心から感謝いたします。

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