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オトコレ!  作者: 湊川
第一章
7/18

新たな風

こちらも未公開ネームを元にしています。セリフは結構そのままです。

「水谷さんどうしたの話って」


私は兄から言われた通り、成瀬君を校舎裏に呼び出した。自分から誰かを呼び出すなんて、人生初だ。

「あの…まだ誰とも付き合う気になれないって言ってたけど、友達から始めるっていうのはどうかなと思って…」


成瀬君とは友達とまではいかない、時々廊下とかですれ違ったときに話しかけられるくらいの仲だ。それだけでも、良い人だってことはすぐに分かった。

恋に消極的な私に気を遣って、教室まで会いに来るなどのしつこいことはしなかったり、私だけではなく他の人にも平等に優しかったりする。だから、友達から始めてもう少し関わって、彼のことを知る機会を増やしてみるのも良いかもしれない。あの兄の提案だけど、それには私も納得した。



だが少しの沈黙の後、成瀬君はフッと笑ってから言った。

「…オレに興味持ってくれたの?」

突如、いつもの笑顔が消えた。

「友達ねー…」


ドンッ!


目の前で校舎に向かって右手を伸ばし、手のひらを私の首の真横くらいの場所に力強く打ち付けてきた。いわゆる「壁ドン」の状態に。

「友達から始めたら、じきに彼氏になっていいってことだよね?」

「え……」

成瀬君はもういつもの成瀬君じゃなかった。

「オレは友達だけじゃ満足できないんだけど」

まっすぐに見つめられ、真剣な眼差しを向けてくる。


「自分の発言には責任持たないとね。」

顔があまりに近くて、思わず私はぱっと横を向き顔をそらした。見るといつの間にか、もう片方の手も壁に添えられていた。両腕に挟まれていて、逃げ場がない。

この人…怖い!!

私は恐怖心から、何とか成瀬の左手をバッと勢い良く払いのけ、必死に逃げだした。


「待ってよ!」

成瀬は追ってくる。一番安全かもと思っていた人が、こんなだったなんて。

助けてお兄ちゃん!!

(きっとどっかで見てるんでしょ…?!)





「…何やってんの?」




成瀬に追いつかれ、肩を掴まれた瞬間だった。目の前から急に聞き覚えのある声。

この声は………伊東くん…!!!


「ジャマなんだけど。ここ通り道」


そう言うと伊東くんは、私の肩に触れていた成瀬の手首をぐいっと掴み、

「お前…フザけてんのか」

と言うと、伊東くんよりも大きな男を難なく地面へと突き倒した。

「…ってぇな」と成瀬は尻もちをついた体勢になる。


伊東くんは成瀬にゆっくりと近づき、言った。

「好きな女の前で態度変わるとか、男としての恥だと思わないのか…?」


そのとき、ザアッと風が吹いた。辺りの木々が揺れ、伊東くんのサラッとした髪も一緒に靡く。

成瀬に対する恐怖心と、走ったあとの動悸に、もう一つの感情が、私の鼓動を一層速くさせた。


「…ッ恥じゃねぇし!!これがオレなんだよ!!」

成瀬は起き上がり、秒で逃げていったのだった。




フッ……

「…見つけた。お前こそ香恋にふさわしい男だーーー!!!」





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