これから。
また会いたい。会って確かめたい。あなたはもしかして、小学生の頃からずっと頭の片隅にいる、あの男の子なの?そんなことあるはずないけど、違ったとしても、私にとってあの感覚はあの時と同じだった。
けれど、廊下を通るたびに辺りを見回しても、あの助けてくれた男子を見かけることはなかった。
幻…?いや、そんなわけ…。
でも本当にあの人のことが気になってしまっている。全クラス分の名簿を探して見つけ出すということもできるけど、そこまでするなんて私じゃないみたい。きっとどこかでまた会えるはず。
「あっ、水谷さーん!」
私の名前を呼んだのは、前に告白を断ったことのある成瀬君という男子だった。
彼は高校で初めて一緒になった、隣のクラスの男子。学校では女子からモテる人気者でもあって、女子とよく話しているのを見る。女の子には慣れているという印象があって、チャラいまでには行かないけれど、ピアスを付け、制服は崩して着ており、髪はパーマ掛かっている。顔は世間で言うイケメンの分類で、自分がモテていることをよく分かっているタイプ。運動部所属(オトコレより一部抜粋)。
「どう?オレと付き合う気になった?オレのこともそろそろ視野に入れてよ」
モテ男子だけあって、人の通る廊下なのに堂々と口説いてくる。
でも成瀬君は、こんな感じで何度か話してみたけどすごく優しくて、前の手紙のチャラめ男子みたいに強引なところもなく、私の気持ちを尊重しようとしてくれているように感じている。
いつものように私は、「いまはまだその気になれないから」などとかわした。最近ではなおさら「その気になれない」のだから。
「オレは全然待つからいいって」と爽やかな笑顔で返してくれた。告白を断ってきた男子のなかで、まだ関わりを持っている男子は成瀬君くらいかもしれない。
私は家に帰るとオトコレノートを見返した。それも成瀬君のページを。
1年3組、成瀬優一。帰り際、廊下を歩いていたら可愛いねなどと声をかけられ、その後も度々声をかけられるようになった。5月6日に突然、部活(バレーボール部)の試合を見に来るよう言われ見に行ったところ、他校に見事勝利。その後、体育倉庫に誘導されそこで告白を受けた。私は断ったがその気になるまで待つと言われた。
…あれから1ヶ月経っちゃったんだ…。そろそろはっきりさせないと…
「ふーん、そいつのことが気になるのか」
うわっっ!!
驚きで椅子から落ちそうになった。兄が耳元で囁いてきたのだ。
「お兄ちゃんっっ!!!ほんとびっくりしたんだけど…!」
「あぁ、すまんすまん」
兄はニヤニヤしながら私のベッドに腰掛けた。私は深くため息をついて落ち着こうとする。
「まったく…気になってるとかじゃないし。そろそろ返事しないと申し訳ないなって思っただけ!」
「ほぉ…まあまずお前的にそいつはどーなんだよ?正直に言え」
兄の恋愛相談室が始まった。
「まぁ…人としては良い人だとは思うよ。だけどなんかその気になれないと言うかなんというか…。」
「なるほどな。その気にはまだなれないけど付き合ってみてもいいのか悩んでるってわけだ」
すると兄は自信に満ちた様子で言う。
「なら俺が見極めてやるよ」
…は?




