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オトコレ!  作者: みなとかわ
第一章
17/17

伊東くんは今…

次はいつ、伊東くんに会えるかな。


伊東くんっていつも突然現れるから、無理に探そうとしても意味がないような気がしている。クラスも離れているし、わざわざ覗きに行くのもなあ。


またいつか偶然会えるだろうなどと考えているうちに、数日経った。

相変わらず、伊東くんの姿はどこにもない。無理に探さないようにはしていたけど、ついつい探してしまう自分もいた。


あまりに会えなさすぎて、その間に会う目的を考え直していた。この前のお礼を言うっていっても、わざわざ改めて言う必要なんてないんじゃないかと思うようになってしまった…


1週間過ぎた日の放課後。先週ここの廊下でオトコレノートを取り返してくれたんだよなぁと思いつつ、ふと窓の外に目をやったとき。外から突然女の子の力強い声が聞こえた。


「好きです…!」


告白…?!!私は今はっきり好きというワードを聞いた。

ここは1年生の教室のある2階。その女の子の声が聞こえたのは1階から。私は思わず、窓から身を乗り出した。


外のひっそりとした場所に男女2人が立っている。告白されていた相手は、少し遠いが誰なのかすぐに分かった。伊東くんだった。

女の子は、後ろ姿だし、誰なのかよく分からない。


私は瞬時に小学生の頃の出来事を思い出す。

告白の返事で相手の女の子を逆ギレさせ喧嘩に発展したあのときのことだ。そして私が初めて伊東くんの存在を知った日。


今の伊東くんなら、なんと返事をするのだろうか。なんだか少し心配になってきた。


「…なんで俺なの?」

「えっっ?!」


小さいけど、耳を澄ませてなんとか声が聞きとれた。だけど、それ以降の女の子の声はボソボソと小さくて聞こえない。下を向いて、恥ずかしそうに答えている。伊東くんは微動だにしていない。


会話が気になる。その一心で、私はもっと二人に近い窓に移動してそーっと覗いた。


「…悪いけど、俺は誰とも付き合う気はないから」


え……


その時。伊東くんが顔を上げた。

そして、目がばっちり合ってしまった。


!!!


伊東くんは、固まっている。相変わらずの真顔なもので、どういう感情なのか分からない。けど、こちらをまっすぐ見ていた。


気まずい…!!私もどうしていいかわからず、とりあえずしばらく固まってみた。


すると女の子が伊東君の様子に不審に思ったようで、こっちに振り向く…!と思った手前で私は手を合わせながら窓からサッと引っ込んだ。


会いたかった人が、会いたくない人に変わってしまった。


このままこっそり帰っていいのか、2人が帰るまで校内に隠れておくか、それともいっそのこと謝りに行くか……。(でも一応手を合わせて謝罪の意は伝えたし…)

どの選択肢を選んだとしても、伊東君にバレたという事実が怖くて冷や汗が止まらず、バクバクしている。どうしよう…!!


考えること以外何もせず、立ち尽くしていると、いつの間にか辺りには誰もいなくなった。校庭からは運動部の掛け声や、別の棟の校舎からは楽器の音が聞こえ始め、部活の時間らしい空気が流れてきた。


はっとして、恐る恐る窓の外を覗きさっきの場所に目をやると、何事もなかったかのように、もう人影はなくなっていた。2人は帰ったのかなと、ひとまず安心。


すると誰かが階段を登ってくる音がした。落ち着いた足取りで、一定のリズムが階段中に響き渡っている。ローファーか、革靴の音だ。


先生…?


とりあえずこっちに来られても気まずいので、私は窓の外をそのまま眺めながら、上の階に登っていってくれることを願う。


だが、次第に音が近づいてきた。


「何してんの?」


その声は、私にとってはすごく馴染みのある声。


「いっっ!伊東くん……?!」



一番会いたくなかった人に、2人っきりで会ってしまった。伊東くんは真顔だ。それもいつも通りの。そもそもなぜこっちまでやって来たの…?


怒られるっ…?!


この話は前回の下描き作成から20日も経ってしまってました。

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