オトコレの救出
今…オトコレって言った…?!
「えーなにそれ!間違えて一緒に出しちゃったのかなー」
「てかオトコレってなに?」
「4冊目らしいよ!④ってかいてあるー」
「中見よーぜ中!!」
「えーだめだよ勝手に見るのは」
「名前ないんだからいいだろ!クラスの人の可能性が高いから筆跡鑑定だ…!!」
まって、嘘でしょーーーーーーーー?!!?!
私以外のノートを拾っていた人たちが、私のオトコレノートを囲んで話し始めたのだ。
あんなの見られたら、もうおしまいだ。
「それはだめ…っ」
私がそう声を上げた時。
バッッ…!!
「返してくれる?」
誰かがオトコレノートを相澤君の手から奪い取った。そしてそれは、聞き覚えのある声。
伊東くん…!?!?!
伊東くんはオトコレノートを持ったまま、スタスタと歩いて行ってしまう。
「えっ誰?」
「なんだ違うクラスの人じゃーん」
私は迷わず伊東くんを追いかけた。
「待ってっ…!」
俺のって、どういうこと…?!
私の声に気づいた伊東くんは振り返ると、少し驚いた様子だった。でも、私はなんて言えば良いのか考えてなかった!
(それ私のなんだけど?それとも、それってホントに伊東くんの……?)
「これ…水谷さんの?」
「あっうん…!」
伊東くんは、私の様子からオトコレノートの持ち主なのだと察してくれたらしい。ノートをちゃんと私のほうに向けて返してくれた。
「ありがとう…」
「オトコレって何」
ドキーーーッ!!
突然の質問が来た。
「そっっっ!!…れは…!」
「…そ?」
え…それ聞く?!伊東くんって鋭そうだから、何の略かバレるかも…!!
「あー、創作でもやってんの」
「えっ…」
創作か!そういうことにすれば…!
「あっそうそう創作…!!」
私は必死にそういうことにしようとした。
フッ…と、伊東くんが笑った。
「ごめんごめん、聞いたこともない単語だったからふつーに気になった」
「!」
出た…!!
伊東くんの、あの柔らかい微笑み。
あの顔をされると、恥ずかしくなってつい目を逸らしてしまった。でも、笑ってくれたことがとっても嬉しい。
「あの、、中身って…」
「見てないよ。職員室に持ってくとこだったからちょうどよかった」
…てことは…騒ぎを大きくしないように助けてくれたってことだよね。
私はこれまでにないくらいにほっとした。一気に体の力が抜ける。
「名前書いてなくて良かったね」
そう言いながら、伊東くんはまた進んでいた方へと行ってしまった。
これは4冊目のオトコレノート。
最近3冊目がいっぱいになって新しいノートを出したばっかりだったのだ。ノートを出してからも2人の男子から告白を受けていたので、その人達の情報を記してあった。
本来はノートの表紙に名前を書いているのだが、幸いにもこのノートにはまだ名前を書いていなかった。中を見られて筆跡鑑定でもされていたら終わりだった…。
伊東くんがいてくれて、本当に良かった。
今度会ったときに、ちゃんとお礼を言おう。
ここまでが、ネームをもとにしつつ書いてきたお話となります。ここからは新たな話を考えて小説にしていきます。