表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オトコレ!  作者: みなとかわ
第一章
15/17

オトコレの危機

オトコレが…終わり?!



「ちょっと!私の10年の努力は何だったのっ!?」

「オトコレは決してムダになってない。コイツを元にお前の理想像を明確にするんだ。振り返ったらいろいろと見えてくるはずだ。

…これは俺が預からせてもらう。その時が来たらちゃんと返すから」


なっ…なんでお兄ちゃんが!

本人が見れないと意味ないじゃん!


「いやいーって!私のことは私がどうにかするから!」

「いや、客観的な考えが一番必要だろ」


そんなーーーーー…。



あのあと、口論の末、オトコレノートは兄によって回収された。いや、隠されたといった方が正しいだろう。



次の日。

「えー、それではお待ちかねのノートを回収するぞー」

「「えーー」」

「昨日のHRでも言っただろー。毎月恒例のことなんだからちゃんと覚えとけ。忘れたやつはプリント課題追加だからなー」

帰りのホームルームで先生がそう言うと、教室には一部生徒から嘆きの声が響いた。


この学校では授業態度を見るための一環として、月の終わりに全教科分のノートを回収される。偏差値がお高めの学校だけあって、この学校ならではの特殊なシステムだ。4月から数えて、これで3度目となる。

私はオトコレノートを取り返すことよりも、提出物を優先しなければならなかった。より良い成績を修めるためにも、加点対象となる提出物には力を入れたい。昨晩は徹夜して、追加で問題集を解いたり、授業のメモに補足を加えたりしていた。勉強の成果が少しでも多く先生たちに伝わるようにーーー…


「それじゃあ田中!悪いが残りのノートを職員室まで頼んだ。」

「はっはい!先生!任せてください!」


HR終了後、小柄な男子生徒が、先生の持ちきれなかったノートを運ぶよう頼まれた。あの人はたしか、学級委員の人だ。クラス全員分、全教科分だからかなりの量のノートを一人で持とうとしている。その人はノートを持つと、プルプルと危ない足取りで少しずつ進んでいる。

もしやそのまま行くつもり…?


「オイ田中ー。大丈夫かよ震えてんじゃん。手伝ってやろうか」

眼鏡の男子生徒が田中君に話しかけた。その人は私の隣の席の相澤君だ。

「いや…いい。任された任務は着実に遂行せねば…。」

「相変わらず強がりだなあ…。あと、『任された任務』じゃなくて、『任務』だけでいいんじゃないか?」

「う、うるさい…」


頼んだ先生もひどいけど、田中君も田中君だ…


すると、

「うわっっ!!」


廊下に出てからすぐ、田中君がバランスを崩し、ドサドサーッ!!という音とともにノートが床に散乱した。


ダッ…!


「だっ…大丈夫ですか?!」


やっぱりやらかしたな、と。反射的に体が動いていた。あんなたくさんのノート、2人だけでは拾うのが大変だ。私はササッとノートを拾う。仕方のないことだし、順番はもうどうでもいいだろう。


一旦何冊か拾ったノートを渡すと、

「女神…?」

田中君がそう言って見つめてきた。


こういう時って、なんと返せば……。


「これはこれは隣の席の水谷さんじゃないか!なんて優しい人なんだ…!僕は生徒会書記の相澤遥斗あいざわはると。改めてよろしく」

「ちょっ…何でおまえドサクサにまぎれて自己紹介してんだよっ!キミ、水谷さんって言うんだ…あっちなみにおれは学級委員の田中祐司たなかゆうじ。おれら初めて話すねー、よろしく!」


なんか急に改まって自己紹介してきたんだけど!初めて話すにしてはやけに馴れ馴れしい。

「よろしくお願いします…。」


相澤君は最近席替えをして隣の席になったのだが、話したことはなかった。私たちの席は教室の一番前の右端だ。廊下側が相澤君で、その左隣が私の席。田中君はというと、私のまた左隣に1人隔てた席、つまり教卓の目の前である。先生からよく見えるうえに学級委員なのもあり、頼みごとをされやすいわけだ。


2人とも、手が止まっていたので私は残りのノートを拾おうとした。すると、

「相澤くんたちじゃ~ん!うちらも手伝うよ!」

「え~これ田中君がひとりで持つの~?」


廊下を通っていた他クラスの親切な女子が手伝おうとしてくれた。これならすぐに片付けられる…!

と、安心したときだった。


「なにこれー?『オトコレノート』…?」


………え?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ