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なめこ太郎/666文字奇譚  作者: 閉伊卓司
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おにぎり


 富山県某所にあるラブホテル。近くには神通川が流れ、井上陽水の歌ではないが、夜になると川面にネオンサインが映り込んでそこそこ風情がある。ただ今どきエアシューターを使うような古いホテルで、建物にも独特のにおいというか、雰囲気があった。

 こんな怪談話がある。

 チェックインして間もなく、頼んでもいないおにぎりが二つドアの横の小窓からそっと差し入れられる。フロントへ問い合わせると若い女の声で「サービスです」と言われ、なにか釈然としないものを感じて、ふと見ると、小皿にメッセージが添えられている。

 ひとつはハズレ

 クジでも入っているのだろうと、恋人と二人仲良く口にして帰ると、その一週間後に食べたうちの片ほうが事故に遭って死ぬというものである。もちろんホテル側はなにも関知していないし、そもそも軽食のメニューにおにぎりなどない。ちなみに食べずに帰ると問答無用で死ぬというから始末に悪い。

 以前このホテルでは殺人事件があり、おにぎりは殺された女の呪いだという。

 ただ多くの都市伝説がそうであるように、この怪談話にもひとつだけ回避方法がある。おにぎりを二つに割り、それぞれが半分ずつを食べれば良いのだ。とんちのような話だが、事実この方法で災厄をまぬがれたカップルが大勢いるらしい。

 おにぎりは表面をかるく焦がしてあり、香ばしい匂いがする。くだんの女性は生前、料理が得意だったに違いない。ただ幽霊にしてみれば、やはりタダ食いされては面白くないというものだ。

 最近になってメッセージの内容が変わった。

 りょうほうハズレ

 残念ながら、この回避方法はまだ見つかっていない。




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