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なめこ太郎/666文字奇譚  作者: 閉伊卓司
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スキンヘッド


「この頭のせいで実際よりも老けて見られるんですよ」

 そう前置きしてからAさんは語り始めた。

「あれは三年前の、夏休みを目前にひかえた週末のことでした……」

 Aさんは公立高校の教諭をしているが、その日は朝から体調がすぐれず午前の授業を終えた頃にはもう立っているのがやっとの状態だった。

「仕方なく午後は自習と決めて保健室で横になっていたんですが、昼休みが終わる頃には嘘のように元気になり午後はふつうに授業をつづけられました」

 やがて一日の仕事が終わり帰り支度をしていると、友人から電話があった。

「今日さあ、白上神社のわきでガキどもが騒いでたんで見に行くと、神木の幹に紙人形が打ち付けてあったんだ。呪いの人形。ほら、丑の刻参りって言うだろう」

「そういうのはふつう藁人形じゃないのか?」

「素材は関係ないらしい。大事なのは髪の毛が入れてあることさ、呪う相手のね……」

 そのときAさんは、なぜか嫌な予感がしたそうである。

「怖い話をしてくれるなあ」

「いや本当に怖いのはここからだ。その人形には顔写真が貼り付けてあったんだが……それ、お前の顔だったぞ」

「おい、悪い冗談はやめてくれよ」

「冗談なものか。はっきり見たんだ」

「それで……その人形どうなった?」

「神社の人に頼んで厄除してもらったよ。年に数回はそういう事があるそうだ」


 後日、生徒たちが怪談をしてくれとせがむのでその話をしてやると、どこからかチッと舌打ちするのが聞えた。Aさんは、ぞうっと怖気だったそうである。

「どこで生徒の恨みを買っているか分かりませんからね」

 以来、彼はスキンヘッドで通しているという。




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