プロローグ
――みんなの憧れである『異世界』という物は、あくまでフィクションの中だけだというのは誰でも知っていた。
だけど男なら(女でも)一度は行ってみたいというのも事実。何故なら現実世界は平凡で退屈だからだ。
毎日が平凡な事をありがたく思いなさい、と言う人もいるけれど、それでも人間というのは刺激を求めがちだ。
俺も、その中の一人だった。
そんなある日だった。俺は学校から帰る途中、トラックに轢かれて即死。
気が付けば俺は真っ白な部屋の中に閉じ込められていた。
何が起きてるのか分からないまま困惑していたら、俺の前に突然白い服を着た銀髪の少年が現れたんだ。
そして、その銀髪の少年は俺に向けてこう言い放った。
『――君には二つの道がある。あの世に行くか、もしくは別の世界で生活をするか』
別の世界。それは、俺が密かに望んでいた『異世界もの』でよくあるファンタジーな世界だった。
剣と魔法が当たり前のように存在する、中世ヨーロッパ風の世界。更に冒険者ギルドというのが存在し、そこでは色んな仕事をこなしていきながら報酬金を貰う…という、まさに『異世界もの』でよくある物だった。
それで俺はどうしたかって?
当然、あの世に行くよりも別の世界で生きていく事を選んださ。俺からすれば魅力的な要素しかないからね。
そして俺は銀髪の少年が用意してくれた『別の世界』への扉に入り、その場所で生活する事になったって訳だ。
――それからというもの、俺の人生は一瞬にして変わった。
剣を振るい、時には魔法を唱えながら強いモンスターを倒していく。
そして、俺の周りには可愛い女の子がたくさん…まさに『異世界もの』で見た展開にそっくりだ。
はっきりと言える。俺は間違いなく充実した人生を送っているってね!
どうだい?俺が異世界で充実した生活を送っている話、ちょっとだけでも聞いてみたいと思わないか?
人によっては興奮する話かもしれないし、もしかしたら退屈な話かもしれない。
まあとりあえず、俺の話がいい暇つぶしになってくれたらとても嬉しいよ。
それじゃあ、よろしく!