アイズロード開拓記 4話『シークレットステータスと痛覚システム』
「なんだか動きが早くスムーズになっている・・・と言うか筋力が上がっている気がする」
そう。微妙な違和感だったが以前は微妙にホーンラビットの方が俺より走るのが早かった。それが今はほぼ同じ速度になっている。
肉体強化スキルの調整でもしたのだろうか?
「気づきましたか♪実は結構前からシークレットステータスを導入しまして、使うほどに強く早く反応する肉体筋力パラメーターを各部位毎に追加しました!使う程に向上しますが使わないと時間経過で失われていきます。あと食べるモノも影響します♪」
なにそれ神ゲー。
ブラインド《目隠し》になっているパラメーターの存在はプレイヤーの認識の外に不明瞭な基準を創る。それは、可能性。それは希望にもなるのだ。全てが解析されてしまった世界に残っているのは、ただの作業なんじゃないだろうか?
今も世界は沢山の未知で満ちている。それはとても幸せな事だ。
それは意志あるシステムによって、この世界にも齎されるのかもしれない。
他にもシークレットステータスはいくつか存在するらしい。
マジ神ゲーなんだが?
もう、ここが新しい異世界でいいんじゃないか?
・・・
『しかし、ディアの負担が半端ない気がする。』
***
『痛覚のシステムを創ってみました♪』
「痛いのは嫌なのだが?」
『ちょっとピリっとするだけですよ?数箇所設置する事でダメージを受けた方向が分かりますし、リアリティも出ます!』
ん〜。ちょっとありかもと思ってきた。
『昨日、徹夜で創ったので使って貰えないと悲しいですぅ』
むぅ〜。確かに頑張って創ったモノを無下にするのもなぁ・・・。
「わかった。使ってみよう」
早速、近くに森に行き、森狼に遭遇。今や森狼は楽勝だ。しかしダメージは受ける。
案の定、腕に噛みつかれた。その瞬間だった・・・
「いっっっっってええええええ!?」
右腕の手首に激痛が走る。
『あ、出力間違えました♪』
手が焦げるんじゃないかと思うくらいの激痛が走った。静電気の何倍もの衝撃。
「わざとだろ!!なんの恨みがあるんだ?」
恨まれる様な事をした記憶はない。多少、暴言や迷惑はかけたかもだが・・・電流を流される様な謂れはないのだ。
『恨みなんてとんでもないです!モリスさんには本当に感謝してるんですよ?だからもっと戦闘を楽しめる様にという善意です!ちょっと出力調整のミステイクです♪テヘペロ』
おどけて冗談っぽく言う。が受けた衝撃が洒落にならん。
正直、恐怖を覚えるのだが・・・
『調整したのでリトライです♪』
仕事が早いな・・・。
しかし、こ・・・こえぇ・・・。
確かにこれはリアリティがあるかもしれないな・・・。
痛いのはやだけど。などと考え事をしていると、
『ガブッ!』
「いっっっっってええええええ!ちょっとマシになったけどまだ痛すぎるわ!!」
完全に考え事をして油断していた所、死角から右足首にガブリ。
マジで痛すぎる・・・。
『ん〜。まだ強いみたいですねぇ。もう少し下げたのでリトライですぅ〜♪』
まだやるのかよ!
「ただの人体実験じゃねぇか!!じい様達にこんな電流を流したら気絶するぞ?」
ここには年配のじい様、ばあ様も沢山いる。そんな人達がこの電流を喰らったら心臓が止まるんじゃないか?と俺は普通に心配する。すると、
『だからモリスさんで・・・あ、モリスさんに試して貰ってるんですよぉ♪』
俺で試すって言いかけただろ!!ふざけんな!
『まぁ、体に害はありませんので♪・・・(たぶん)』
いまちっさい声でたぶんって言っただろ!
『モリスさんなら大丈夫です!バイタルチェックも正常です♪さぁ、レッツリトライ!』
好き放題しやがって・・・。
『ガブッ!』
左足首を噛まれた。俺も油断し過ぎだろ・・・。
「いっってええええええ!!もっと一気に出力下げろよ!なんで刻むんだ!?普通、一気に下げて間を狙うだろうが!」
『ついでだから慣れに対してのデータも・・・』
「やってられっかぁ!!もうノーダメージで倒す!」
『あ、やめるとは言わないんだ。律儀ですねぇ』
『ガブッ!』
「いってぇ!!さっきからガブガブと森狼の分際で・・・オラァ!喰らえ!!」
結局、俺は森狼を狩まくった。痛みは良い緊張感をくれた。電流の調整も後半では良い感じになっていたが、それでもじい様達には刺激が強すぎると警告したら・・・
『モリスさん以外は10分の1以下の電流からチュートリアル形式で馴染ませるプログラムを組んでますよ?』
なんで俺以外?
『最大出力も試しておきたかったので♪』
「自分で試せよ!!」
『嫌ですよ?と言うか無理です♪なんで好き好んで痛い思いをしないといけないのです?』
「俺も痛いのは嫌だと言ったはずだが?」
『慣れたら気持ち良くなるかも?』
「ならんわ!まぁ、戦闘システムとしては面白いとは思うが・・・」
リアリティがあってちゃんと出力調整をすればありだとは思う。
『やっぱり気持ち良くなってきてるんじゃないですかぁ♪』
「なっとらん!!」
結局、特別報酬を貰って妥協点とした。




