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世界観と種族選択

 さぁ、新世界の始まりです♪


 ファイムの世界へリンクを始める私。

 ハードは『アイズ・デバイス』で接続可能です。

 アイズ・デバイスの普及率はほぼ100%という脅威の数値。

 どこよりもハイスペックで安価。アイズ・システムとの親和性が最高です。

 推奨環境と言って良いでしょう。現実を生きる上でも必須アイテム。

 そして、それはそのまま『ファイム』とも繋がるのです。

 ファイムの普及率も人口の60%を超えている。これは、どのSNSよりも高かった。

 老人や子供も含めてのこの数値は異常でした。

 そして、それをやっていない私もまた・・・異常者でした。


「まずはゲームの起動ですね」


 ファイズはサブキャラを創ることが出来ません。生体認証によって、余程の理由がない限り一人1キャラクターしか所持出来ない。ミスは一生付き纏います。別人としての転生は出来ない事もないですがそれには相応のリスクがあるのです。


 アプリケーションをダウンロードして早速、プログラムを起動しました。


 すると視界に広がるファンタジー世界。まるで鳥にでもなったかの様に世界を俯瞰で眺めている。美しい川、森、滝。見た事もない様な自然に感動すら覚えました。空に浮かぶ無数の色とりどりの月、時折横切る光の綿の様なもの。空に浮かぶ島。巨大なクジラが空を飛んでいる。そして精霊ともマナとも呼ばれる存在。それは物質とも分類されず意思を保つエネルギーと言われていた。


『ここはフロンティア・アイズ・マナの世界』


 美しい男性とも女性ともつかない声でナレーションの様な音声が流れ始めた。

 景色は一組の冒険者パーティの視点へと切り替わる。


『この世界はマナで満たされた、剣と魔法の世界。マナによって生み出される超常の現象『魔法』。世界は魔物を生み出し、人々は日々、魔物と戦う。それはまるで世界から供給される資源の様に人々の営みを支えます』


 剣と魔法戦う冒険者達の胸踊る戦闘シーン。魔法による補助。煌めくエフェクトと共に前衛の剣士の剣が輝く。対するは巨体のゴーレム。振り下ろされる拳を重騎士タンクが巨大な盾で受け止める!そして、その脇を抜けて剣士がゴーレムのコアを・・・。


 そこで映像は美しい城を中心とした城下町に。


『ファイムの中でも一二を争う勢力を持つ国『グラファリウス王国』の首都『グラン』。ファイムには六つの種族、八つの国が存在します。各国は各種族の王を持ち、各々独自の文化を形成しています』


 街には多種多様の人種、職種、露店、商店、教会、ギルド。石積みで少し荒々しい建物。

 文明は、定番の中世ヨーロッパを思わせる空気感。レトロな道具の数々には魔道具と呼ばれる物が存在した。火薬は存在せず、石油製品、化学繊維が存在しない世界。

 

 ワールド開設時は、これ程には発展していなかったらしい。

 つまりユーザーによって構築されていく世界。まさに仮想現実だと感じた。


 ここで映像は暗闇へ。


 まだ、胸がドキドキしています。魅せられた映像は現実と見間違う程に美しく鮮明で、リアルだったのです。そして、リアルでありながらも非現実的なファンタジー。

 リアルなファンタジー。矛盾している様でしていない、不思議な感覚。

 あの時の胸の高鳴りが蘇ったかの様でした・・・。

 

 あの時よりも、より鮮明に・・・直接的に補助され変換された・・・より高度な世界。

 長い社畜生活で凍りついていた心が熱を持つ。


 そう、私は今・・・ワクワクしている!!


・・・


『貴方の名前を教えて下さい』


 ついにキャラメイクが始まりました!

 私は名前を、昔MMORPGで使っていた名前にしました。


『タマモ ポテテ』


 我ながら何ともネタっぽい名前です。本名の『玉藻井たまもい もえ』から

玉藻、芋=ポテト+え、と分解した安直な発想。玉藻とは美しい水中の藻の古称。

 案外、気に入っていたりしているのです。


 もしかしたら昔の仲間に再会出来るかも、なんて淡い期待もあったのかもしれません。

 向こうはとっくに忘れているかも知れませんし、沢山の遊んだゲームの中の記憶の端にも残らない一つでしかないかも知れないのに・・・。


 種族は6種類。それぞれにメリット、デメリットがあります。


『人族』=最もバランスの取れた種族。


『エルフ族』=魔法が得意、力は他種族より劣る。寿命は人族より長い。精霊、妖精との親和性が高い。耳が長く人族には現れない淡く鮮やかな頭髪や瞳の色を持つ。


『獣人族』=身体能力が高く、動物、魔物との親和性が高い。道具の扱い、魔法が苦手。猫、犬、狼、狐、兎、虎、獅子、齧歯類、熊、フクロウ、鷲、に似た姿が確認さている。


「後半、獣じゃなくない?というか二足歩行だし」

『似た姿だから大丈夫ニャ』

「イパミニちゃん、いたんだ!?」


 どうやら、互換性がありゲーム内でもサポートしてくれるらしい。インテリジェンスパートナーは私程、旧世代を継続している人はいないが、普通持っているのでコンバートするのは一般的だそうだ。ただ、自力でキャラメイクから乱入してくるイパミニちゃんはちょっとおかしい気がする・・・。たまに、普通じゃありえない挙動をするんですよねぇ。


 気を取り直して、私は種族説明の続きを読み始める。


『ドワーフ族』=クラフトが得意。魔道具生成が可能。魔道具の扱いが得意。パワー型、スピードは遅い。魔法はクラフトに必要な魔法に偏っている。


『竜族』=道具の使用に制限がかかるが基礎能力が高い。イルカ、爬虫類、カエルに似た姿が確認されている。特化しやすい。竜族の一部のみ水中生活が可能。その場合、陸上生活に制限がかかる。


『魔族』=善悪はあまり関係ない。ごく稀に発生する異形の者の総称。高いステータス値、特化した能力を持つ反面、デメリットを抱える事が多い。虫やスライムの様な魔物に似た姿等、多種多様。一部の街のサービスを受けれない場合がある。


 各種族にはハーフ、クォーター等の遺伝要素を持つ混血が存在します。

 初期種族は純血統になるそうですが、転生をする事で混血種になる場合があるそうです。


『そう、この世界には転生システムが存在するそうです!』


 私は種族を『獣人族』の狐にする事にしました。

 玉藻って言うとどうしても・・・狐のイメージがあったのですよ!

 あと動物との親和性が高いと言う点を高く高く評価しました。

 

 そう、私は『モ・フ・りたかった』のです。

 ペットを飼う余裕なんてありませんでしたが、特に猫派です。


 現実では果たせなかったモフりの野望をこの世界で叶えるのです!!

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